うずらのブログ

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真のニーズに応えよ

『4時間切り祝い乗客歓迎 北海道新幹線』(産経新聞)

https://www.sankei.com/life/news/190316/lif1903160039-n1.html

北海道新幹線ダイヤ改正で東京-新函館北斗(約863キロ)の所要時間が最短で4時間を切り、3時間58分となった16日、JR北海道函館駅で祝賀セレモニーを開いた。(略) 東京都葛飾区の女性会社員(25)は「東京からでも長くは感じなかったが、数分の短縮ではそんなに変わらない」と話した(略)」

 

JR北海道北海道新幹線の東京~新函館北斗間4時間切りに躍起になるのは乗車率の低下にある。

北海道新幹線の乗車率は、開業した2016年/32%以降、2017年/26%、2018年/24%と下落に歯止めが掛からず、「4時間の壁」と呼ばれる飛行機との競争に打ち勝たぬ限り乗車率UPは望めないとの判断だろう。

 

筆者も出張で北海道の函館方面を訪れ、新函館北斗駅を見物したことがあるが、人影もまばらで閑散とし、駅に隣接する商業施設はテナントの撤退で空きだらけという、新幹線の終着駅としてはなんとも寂しい場所だった。

 

北海道新幹線不調の原因は、4時間の壁以前に、

函館駅から約20㎞、列車で20分近くもかかる新函館北斗駅の立地の悪さ

②上下それぞれの運行本数がたったの一日13本(一時間に1本未満)という利便性の低さ

にある。

 

函館という全国区の知名度(※函館周辺の有名観光スポットはJR函館駅からのアクセスが便利らしい)を誇る街をスルーして、隣接する北斗市郊外の田園地帯にポツンと佇む新函館北斗駅を初めて見た時、「地元自治体やJRは、いったい何を考えているのか???」と呆気にとられたのを覚えている。

 

ひとつ前の木古内駅を出てすぐにある函館湾の海底にトンネルを通し、函館駅に直接乗り入れていれば、ここまで乗車率が落ち込むこともなかったろう。(函館湾海底トンネルは5~6㎞程度の掘削で済んだと思われる)

 

なにせ、函館市内の観光入込客数は、2014年/4,840千人→2015年/4,947千人→2016年/5,607千人→2017年/5,247千人と堅調に推移(函館市観光部資料より)しており、函館空港の本州便運航本数が一日15便しかないのを考慮すれば、新幹線にたいする輸送需要は非常に強いものがあるはずだ。

 

それを思えば、北海道新幹線の一日13本という運行本数はあまりにも少なすぎる。

 

函館市内から遠く離れているうえに、一時間1本しか列車が走らないというのでは勝負になるまい。

かの銚子電鉄とて、時間帯によっては一時間に2本運行しているというのに、北海道新幹線の時刻表を見ると、どこのローカル線のダイヤか? こんな体たらくでは多大なる苦労と犠牲を払って掘りあげた青函トンネルも泣いているぞと情けなくなる。

 

ちなみに、九州新幹線鹿児島中央駅の新大阪行は一日24本、北陸新幹線金沢駅の東京行は28本もあり(秋田新幹線だって16本も走っているのに…)、九州新幹線の乗車率は50%を超え、北陸新幹線も2018年の利用者数は869万人と微増している。

 

いくら待っても来やしない列車に好んで乗ろうとする暇人などいない。

 

JR北海道は4時間切り(と言っても、上下合わせてたったの3本だけ)を乗車率UPの切り札と勘違いしているようだが、スカスカの時刻表の隙間を埋める努力をせぬうちは、乗車数や乗車率UPなど不可能だろう。

 

カネをかけたくないばかりにスピードアップという“質”の改善(実際は大した改善ではないが…)に固執し、カネも人手もかかる“量”の改善(増便)は見向きもしないという態度は、消費者ニーズをガン無視し踏みにじる行為であり、需要家のニーズに応えようとしない以上、来年以降も乗車率低下は免れまい。

 

今回、北海道新幹線の話題を取り上げたのは、優秀な(はずの)経営スタッフを抱えながら、

・困窮に至る原因や理由の分析

・改革手法の方向性

のいずれも、まったく見当違いなまま突っ走ろうとする愚行を示す格好の事例だったからだ。

 

国民向けの世論調査では、毎回、「社会保障制度を充実・拡充してほしい」、「景気や雇用をもっとよくしてほしい」という意見がワン・ツー・フィニッシュするが、当の政府は社会保障の切り下げや聖域なき歳出カット、移民促進といった逆噴射政策ばかりに血道を上げ、国民の政策ニーズなど端から相手にしようとしない。

 

ニーズを無視され続ける国民も政府に対する憤りや怒りを露わにせず、ダラダラ支持を続け政府の勘違いを助長する始末だ。

 

現政権や与党の連中のみならず、それを批判する立場の野党も、我が国を覆う長期不況の真因をきちんと分析せず、まったく見当違いの対策(=改悪策)を打ち出すだけで自己満足し、その結果が出ないのを国民の怠惰や高望みの所為にしようとしている。

 

赤字続きでカネのないJR北海道なら許される勘違いでも、通貨発行権という誰の負債にもならない貨幣創造権を有する政府に、“カネがない”という言い訳は通用しない。