うずらのブログ

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所得アップなくしてリスクマネーなし

『日銀「33兆円過大計上」問題で見えた、貧困化する日本』(10/4 Forbes JAPAN 藤野英人:ファンドマネージャー

https://news.biglobe.ne.jp/economy/1004/fbj_181004_8271747939.html

「日銀の投資信託過大計上はあってはならない誤りだが、長期投資の実情がわかったのも事実だ。(略)

資産運用の業界を揺るがす大事件があった。以下、毎日新聞(Web、7月23日付)から引用する。「個人の代表的投資商品である『投資信託』の家計保有額が、日銀の統計作成時の誤りで30兆円以上も過大計上されていたことが判明した。近年順調に増加しているとされてきた投信保有額が、実際は減っていたことになり、『貯蓄から投資』が進んでいると信じてきた証券業界に衝が広がっている。」(略)

起きてしまったことは仕方がない。間違った統計は正し、現実を直視すべきだ。これは証券業協会、投資信託協会、金融業界はもちろんのこと、金融庁や政府もこのことを重大な問題と捉え、貯蓄から投資への流れに本気で取り組む必要がある。投資の税制優遇はもちろんであるが、投資の必要性と投資のイメージもよくしなければいけない。(略)」

 

日銀から7月下旬に資金循環統計の計上ミスがあったことが公表され、証券業界に動揺が走ったことは記憶に新しい。

 

日銀の説明によると、ゆうちょ銀行が保有していた投資信託を家計保有分と誤カウントしたものとのことだが、ミスった金額があまりに巨額ゆえに、単純な集計ミスとか、定期的な改定作業の一環だという日銀の説明を信じる者はいない。

 

“貯蓄から投資へ”の流れを強引に進めてきた金融庁の森前長官の退任というタイミングで、政府や業界挙げての旗振りにブレが生じ、これまでの「意図的な修飾や装飾」を隠し切れなくなったのではないか。

 

今回の訂正により、「2017年12月時点では、家計の投信の保有額は、109兆円から76兆円に大幅に下方修正された。個人の金融資産に占める投信残高の割合は、5.8%から4.1%に下がった。これまでは、11年以降右肩上がりだったとみられていたが、15年6月をピークに下がっていた(朝日新聞記事より)」という実態が明らかになり、貯蓄から投資への流れは完全に“逆流”していたことが判明した。

 

日経やエコノミスト、ダイヤモンドなど経済各誌が“これからは投資の時代だ、日本もリスクマネーを積極的に供給せよ”と胸を張っていたが、素人経済誌の連中は見事にはしごを外されたことになる。

 

朝日新聞の報道によると、「今回の改定前は、家計の投信保有額は、投信の総額に一定の割合をかけて推計していた」そうで、投信などの金融商品の個人保有額は、かなりいい加減な手法で計算されていたようだ。

 

このため、証券業界や素人経済誌の連中は日銀のミスをこぞって批難しているが、個々の証券会社は、個人・法人・機関投資家別の投信売買データを保有していたはずであり、自社のデータの推移を見れば、個人投資家の長期低落傾向を把握できていたはずだ。

足元のデータを碌にチェックもせず、ずさんな推計方法しかしていない日銀の公表データを頭から信じてきたのなら、あまりにもマヌケすぎるだろう。

 

コラムを書いた藤野氏は、政府や業界に投資の税制優遇やイメージ向上を訴えているが、既にNISA(少額投資非課税制度)の口座数が今年3月末時点で1,168万口座にも達し、近年の新規加入数は漸減傾向にあることから、ニーズは限界に達したと判断すべきで、これ以上の拡大は不要だ。

 

また、株や債券、投信に対するイメージも相変わらずパッとしない。

 

金融庁によるNISAを通じた投資へのアンケート調査結果によると、

「投資未経験者(※調査対象者の約67%)のうち、約8割が「有価証券への投資は資産形成のために必要ない」と回答しており、その理由としては「そもそも投資に興味がない」が約6割、「投資はリスクがあり怖い」、「投資の知識がない」がそれぞれ約3割となった。

また、「有価証券投資は資産形成のために必要だ」と認識しながらこれまで投資したことがない層は、その理由として「まとまった資金がない」との回答が7割強を占めたほか、「投資の知識がない」、「投資はリスクがあり怖い」という回答もそれぞれ約5割、約4割となった」

という結果が出ている。

 

つまり、国民のマジョリティを占める投資未経験者の大半が「リスク商品への投資を不要」と判断し、その多くが、そもそも興味がないとか、まとまったお金がないと答えている以上、投資に対するイメージ向上なんて100%不可能だろう。

 

個人資産に占める現預金の割合が長期間50%を割り込み、株や債券といったリスク商品の割合が20%を超えていたのはバブル経済期だけであり、貯蓄から投資への流れを実現したいのなら、まず実体経済をきちんと成長させ、家計所得をグンと引き上げて、投資に回せるリスクマネーの総量を増やすしか方法がない。

 

実体経済が過熱し、人々の所得が毎年20~30%も増え続け(過去の高度成長期には実際にこういうことが起きていた)てカネの使い道に困り、「何か面白い投資はないの?」と証券会社に押し掛ける、あるいは、ネット検索しまくるくらいのエネルギーがないと、貯蓄から投資への流れは増幅しない。

 

NISAの細部を弄り、ちまちました投資セミナーを開いたところで、国民の投資熱が上がることはない。

 

投資を盛り上げ、リスクマネーの供給を増やしたいのなら、積極的な財政金融政策を断行して景気や雇用を良くし、家計の所得を上げ、この先も給料が上がり続けるという期待を抱かせるのが先決だろう。

 

証券業界の連中は、“家計における優先順位は「貯蓄>>消費>>>>>投資」である”、“十分な所得なきところに投資なし”という当たり前の事実を認識すべきだ。