うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

財政支出は成長を顕在化させる

『日銀の「出口」の先には何があるのか~地方銀行の危機は日本経済の危機』(8/24 JBPRESS 池田信夫

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53893

 

池田信夫のトンチンカン経済論の結論は「緊縮財政」に行き着くのがオチだが、上記コラムでも相変わらず妄想を振り撒いている。

 

緊縮信者たちは、20年以上前から、日本経済は財政破綻国債の紙くず化、円の大暴落、キャピタルフライトetcに襲われ壊滅すると国民を脅かし続けてきたが、市場金利は史上稀にみる超低金利で推移し、為替ディーラーは有事の円高に怯える始末で、“アンゴルモアの大王”が襲来する気配は一向にない。

毎年大恥をかかされ続けた信者たちが、かえって気の毒になるほどだ。

 

さて、コラムの中で池田氏は、次のように主張している。

①日銀が長期金利をコントロールできるというのは錯覚で、国債相場の暴落で日銀や市中銀行の財務が大打撃を喰うリスクがある

②潜在成長率下落の主因は労働人口の減少であり、金融緩和ではカバーできない

③長期停滞は財政出動で脱出するしかないという反緊縮思想は、EUでは意味あるが、日本には当てはまらない

④日本の財政支出(社会保障特別会計補正予算を含む)は2000年代以降、ほぼ一貫して増えており、日本は「反緊縮」の先進国だ

財政支出で潜在成長率は上がらない。潜在成長力は民間部門の成長力だから、財政出動が終わると元に戻ってしまう。持続的に経済を成長させるには、潜在成長率を上げることが重要だ

 

緊縮絶対主義の“池田流詭弁術”にかかると、事実が簡単に歪められてしまうから注意が必要だ。

 

まず①の日銀によるイールドカーブコントロールについて、日銀は長短金利のコントロールにある程度成功しているが、現状みたいに極端すぎる低金利誘導は不要というのが筆者の意見だ。

 

日銀は量的緩和政策を通じて国債をもっと買取り、政府の実質債務削減に貢献しておればよい。

日銀にこの先の政策を要求するとしたら、量的緩和で政府債務を骨抜きにする間に、政府に対して、積極的な財政政策を打ち金融緩和効果を実体化するよう提言することだろう。

 

次に②だが、成長率低下の要因を労働人口減少といった供給サイドに求めるのは、根底から間違っている。

 

そもそも、“潜在成長率”なんて言葉自体が非常に怪しい概念に過ぎず、こんなものは需要量の調整で何とでもなる。

最新のハイテク工場やスーパーコンピューターも、その生産力に対価を与える「需要」がなければ、ただのゴミに過ぎない。

 

成長率UPに最も効果的な需要創出を毛嫌いし、生産力を無駄に遊ばせておけば、雇用の質は低下し、雇用の口も減らざるを得ないのは必然であろう。

 

労働人口の多寡に拘る周回遅れのバカ者は、労働生産性や付加価値の向上を前近代的人海戦術で実現できるとでも思っているのか

 

また、③の反緊縮思想(=積極財政主義)は、EU以上に我が国に当てはまるのは子供でも解る。

バブル崩壊以降平成9年辺りまで日本経済が成長し続けられたのは、紛れもなく公共投資をはじめとする財政支出の伸びによるものであったし、その後に蔓延した緊縮財政下で日本経済が沈滞を余儀なくされた間に、一時的に成長できたのは、小渕政権や麻生政権、鳩山政権、安倍政権(初期限定)に財政支出を増やした時だけ、という結果がすべてを物語っている。

 

民間企業は、口先では政府の無駄遣い云々と愚痴をこぼすくせに、いざ政府投資(財政支出)がなされると、小躍りしてビジネスチャンスの回収に走り回っているではないか。

 

構造改革だ、人づくり革命だと、いくらきれいごとを言っても、現実の経済がピクリとも動かない。

消費や投資を誘発するのに、言葉や理念の力だけではあまりにも弱すぎる。

 

「経済」の真の意味やメカニズムを理解している者なら、経済活動を活性化するために何が必要か、たちどころに解るはずだが、素人の池田氏には難しすぎるのか…

 

次いで④の日本の財政は反緊縮だという妄想は、新聞社説をライバル視するバカブロガー(兼ポエマー)もよく唱えているが、国債費を除く政策経費や社会保障費の推移を見れば、我が国の財政運営は間違いなく「緊縮主義」であり、それこそが、先進国で唯一の低成長国に甘んじてきた醜態の最大の原因だ。

(参照先)

http://ecodb.net/country/JP/imf_ggrx.html

https://www.nikkei.com/edit/interactive/budget2015/

 

誰の懐も傷めない財政支出を危険視するあまり、実体経済で行われる経済活動の食料や血流となるべき資金(所得やうりあげに直結する貨幣)が不足し、需要の停滞を招いたことが、雇用の質を悪化させ、ひいては成長率の低下を惹き起こしていることに気づこうとしないジャンク論者に経済を語る資格はない。

 

最後に⑤の「財政支出で潜在成長率は上がらない」というのは、経済を知らぬ池田氏の妄言だ。

 

財政支出は、家計や企業へ所得や売上・収益という“果実”を直接的に与える最高の経済政策だから、潜在成長率どころか「顕在成長率」を間違いなく上げることができる。

 

80年代後半から90年代初頭に潜在成長率が4~5%にも達していたのは、積極的な財政支出に裏打ちされた民間経済が競って投資や消費を増やし続けたことで、生産資本の稼働率が上がったことによるものだ。

 

池田氏は、「財政出動が終わると、(民間部門の)成長率は元に戻ってしまう」と、暗に財政支出の成長率引き上げ効果を認める発言をして墓穴を掘っているが、そもそも、財政支出を止める必要など微塵もないし、国家や政府が存続する限り財政支出が無くなることなどあり得ないから、財出を減らす前提で経済を語ること自体がどうかしている。

 

緊縮信者の連中は、よく「財出を止めた途端に経済が停滞するなら、財出の意味がない」なんて惚けたことをぬかすが、財出を止めるということは呼吸を止めるのと同じ自殺行為だから、そんなバカげた条件を出すのは、自らの低能ぶりを晒すだけだろう。

 

ついでにもう一つ池田氏の妄想を指摘しておく。

彼は、「(我が国の潜在成長率低下の)大きな原因は、日銀の論文も指摘しているように金融仲介機能の劣化だと考えられる。これは今、欧米で起こっている現象と似ている。債務危機によって銀行が融資に臆病になり、リスクを取らないで国債を買うようになったのだ。企業も銀行融資の引き上げでつぶれることを恐れ、「内部留保」を積み上げるようになった」と騙っているが、それは二重に間違っている。

 

一つは、金融機関は融資に臆病になどなっていないという点だ。

 

ここ7~8年の貸出態度判断DIを見ても、DI(「緩い」-「厳しい」)は大きくプラスを記録し、大企業と中小企業とのポイント差もほぼないくらい融資に積極的な姿勢を示している。

(参照先)http://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010501005000000010/9

 

世の中には、「銀行は決算書や担保ばかり見て、うちの事業を評価してくれない」と文句を言う経営者も絶えないが、これだけ融資が容易で超低金利下の環境で借りられないような財務不良先は、恐らくバブル期でも借りられまい。

銀行に文句をつける前に、自らの事業計画が評価に値するようエビデンスを揃える努力をすることだ。

 

もう一つは、企業が銀行融資の引き上げでつぶれることを恐れて内部留保を積み上げているという部分だ。

 

現状、内部留保を積み上げられるほど恵まれているのは、ごく一部の大企業や元々無借金経営を続けていた優良企業のみで、そういった企業は、そもそも銀行融資なんて頼っていないから、融資引上げ云々以前の話だ。

 

内部留保蓄積に専念できるほどの企業なら、銀行は土下座してでも借りて欲しいくらいだから、融資引上げなどあり得ない。

 

池田氏は、あちこちで独自の経済論を騙っているが、もう少し実体経済のリアルな動きを勉強すべきだろう。