うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

消費習慣を思い出させる政策

『いま、節約を意識していますか?』(アサヒグループホールディングス 青山ハッピー研究所調査)

http://www.asahigroup-holdings.com/company/research/hapiken/maian/201802/00666/

調査によると、『節約を意識して生活しているか?』との問いに対して、「強く意識している」32.5%、「まあまあ意識している」59.2%を合わせて全体の9割以上が「節約意識を持ちながら毎日の暮らしを送っている」ことが明らかになったそうだ。

 

また、『景気の上向きを実感しているか?』との問いには、8割以上が「(景気回復を)実感していない」と答え、一番の要因は「給料アップがないこと」らしい。

節約策の上位は「節電」や「節水」、「食費の抑制」で、待機電力の削減や、食器のまとめ洗い、自炊・家飲みなどと、まことにみみっちい対策が並んでおり、これが世界に冠たる経済大国で暮らす国民の生活かと惨めな気持ちになる。

 

安倍信者の中には、「アベノミクスで景気爆上げwww」、「いまだに給料が上がっていないなんて、どこの底辺だよ(笑)」と見栄を張り大嘘をまき散らす大バカ者もいるが、現実はご覧のとおり。

 

このほかにも、“若者の○○離れ”や新築住宅着工件数の落ち込み、自動車販売台数の低迷など雇用の不安定化や所得不足に起因する国内消費の長期低落傾向は鮮明だ。

 

橋本行革や小泉構造改悪が日本経済を破壊し、需要不足状態があまりにも長く放置されてきたせいで、家計や企業を問わず我が国に節約志向が蔓延しており、もはや、日本人の心には「消費=浪費=悪」という不況固定化スパイラルの種がビルドインされていると言っていいだろう。

 

需要不足、つまり、カネが使われないのは二つの原因がある。

 

一つ目は、所得(収入)の長期的な低下と将来的な所得逓増期待の喪失である。

平成6年に664万円だった全世帯平均所得は、増えるどころか平成27年には545万円まで18%も下がり、国民はまじめに働いて年齢を重ねれば所得が増えるという当然の権利に対する自信を完全に失っている。

 

二つ目は、消費という行為そのものへの忌避感や罪悪感の高まりで、いわば「消費習慣の衰え」とでも言えようか。

所得が伸びそうな気配すらないうえに、税や社保料、公共料金の負担増ばかりが先行し、名実ともに支出に割ける金額が減り、消費に対して自暴自棄になっている国民が多い。

自分が満足に好きなモノを買えない腹いせに、インフラ整備・社会保障費・防衛費・地方交付税などの事業費支出を無駄遣いだと批判した挙句に、「自分がこれだけ我慢してるんだから、他の人も我慢すべき」と“我慢#Me Too運動”を展開し、消費税増税にも賛成する者が続出する。

 

消費忌避病を患った国民を放置したままでは、更に需要不足が深刻化し、需要を栄養分とする供給力の陳腐化を招き、技術力・サービス提供力の低下につながり、やがて国力低下→後進国化という没落のスパイラルを突き進むことになるだろう。

 

遠くない将来に直面する転落へのシナリオを反転させるには、国民に消費への積極性を取り戻させることが不可欠だ。

消費は、生活を豊かにし、人生の質や価値を高め、働く意欲を醸成させる特効薬であることを思い出させねばならない。

 

だが、それには、国民が消費に邁進し、没頭できるだけの原資が要る。

 

原資の配分ルートは二種類ある。

 

一つ目は、インフラや科学技術費、地方交付税などの政策経費の大規模な支出による民間経済の売上や所得増加策であり、民間需要の刺激に付随する家計の名目所得引き上げ策であり、二つ目は、減税や社保料負担軽減、教育費無償化、ベーシックインカムによる給付型生活補填の実施による家計の実質所得引き上げ策だ。

 

論者の中には、「ベーシックインカムは国民を怠けものにする」、「インフラ投資は無駄の温床。国民への直接給付だけでよい」と極論を吐く者も多いが、別に両者が喧嘩する必要はない。

どちらも国民にはメリットしかないのだから、事業を喚起する財政支出と国民の懐を潤す直接給付制度のいずれも大規模に実施すればよい。

 

特に、国民が消費や投資に意欲や自信を失いつつある現状では、所得増加を実感させるためのスピード感が重要であり、「減税+社保料負担軽減+直接給付」をセットにした大規模な財出が必要だ。

 

筆者は「消費税撤廃+社保負担50%減+一人月3~4万円の直接給付(≒家賃・住宅ローン相当額)」を提唱しており、年収500万円世帯で年間150~180万円くらいの実質所得増加を見込む。

 

国民の消費・投資意欲に火を点けるには年率1~2%程度のちっぽけな賃上げではまったく役に立たない。

「俺の手取りがこんなに増えていいのか?」と空恐ろしくなるくらいのインパクトが必要だ。

なにせ、四半世紀近くも不況に苦しみ、その間所得が減り続けてきたのだから、人々は重度の消費恐怖症を患っているから、尋常な手段では消費を上向かせることは叶うまい。

 

高度成長期を経て世界トップクラスの経済大国へとのし上がる過程で日本に根付いた消費や投資への歓びや楽しみをもう一度取り戻したい。

 

長期不況下ですっかり萎えてしまった消費習慣を復活させなければ、国や他人がカネを使うことへの醜い嫌悪感を払拭することはできないだろう。

 

巷には、ベーシックインカム(BI)や直接給付型の財政政策を批判する意見が根強く、

「BIは新自由主義者発の思想ゆえ国家解体につながる」

「BI導入は既存の社会保障制度破壊につながる」

ハイパーインフレを招く」

「国民の勤労意欲を失わせる」

「金持ちにも給付するのはおかしい」

などと異論や反論が上がってくる。

 

こうした異見に対して、筆者は何度か誤りを指摘してきたが、改めて簡潔に反論して稿を締めくくりたい。

 

まず、BIの起源に拘るのは無意味であり、BIの源泉がM.フリードマンみたいな頭でっかちの経済音痴であっても別に構わない。

 

彼の信奉者たちが提唱する既存の社会保障制度の代替手段としてのBIは悪質な紛い物であることをきちんと指摘し、既存の社会保障生徒と並立させる新たな概念を提示すればよかろう。(※現在の社会保障制度の歪さや複雑さの問題は、BI導入とは別次元で解決すべき問題)

 

次に、BIによる数十兆円規模の財出がハイパーインフレを招くとの妄想だが、日本人の貯蓄選考型の性格や支出増加が世に及ぼす技術革新や生産性向上を軽視しすぎている。

 

日本の貯蓄率は元々20%を超え世界有数の水準だったのが、不況による所得低下により近年2%台にまで下がっている。

元来貯蓄性向の高い日本人の性格から推して、大規模な給付政策を打っても、初めの数年は、これまで抑圧されてきた貯蓄への欲求が暴発し、貯蓄率が急伸すると予測する。

よって、数十兆円規模の給付をバラまいても全額が消費に回るわけではない。

(※貯蓄→企業借入→投資というルートが熱を帯びるのも暫く時間がかかるだろう)

 

しかし、一部が貯蓄に回るとはいえ、少なからぬ消費が世に出ていくわけだから、当然、企業は溢れ返る商機獲得と機会損失防止を狙って技術革新や生産性向上を強化する。

こうした民間の動きが実体経済の供給能力をさらに強化し、国内のインフレ吸収力は飛躍的に高まっていく。

 

「消費力UP=高インフレ」と早とちりする者も多いが、いくら所得大幅に増えても、国内にある膨大な量のモノやサービスすべてが消費されるわけではなく、その多くが売れ残る運命にあり、数十兆円単位の消費がもたらすインフレ率はせいぜい一桁台に止まるだろう。

 

また、筆者の提案するBIの規模は一人当たり月3~4万円と、あくまで生活資金の補填の意味あいに止まるから、これをもって勤労意欲を失うものなどいない。

 

むしろ、実質所得が増え、家賃や住宅ローンの心配が不要になるのだから、勤労意欲を萎えさせるどころか、ますます仕事に邁進できるはずだ。

 

金持ちにもBIを配るのは不公平だというのなら、年収1,500万円あたりに給付額の減額・廃止ラインを設定すればよかろう。

そもそも、一部の金持ちへの給付の是非に拘って議論を停止し、大多数の受益権をドブに捨てようとするのは愚か者の所業である。

 

我が国の需要不足や消費習慣の衰えは本当に深刻な問題だ。

これを放置したまま先進国として今世紀を生き延びるのは不可能だろう。

 

財出拡大によるインフラ整備・国防強化・教育科学技術振興・福祉充実といった事業支出の増額を通じた名目所得向上と技術レベルの維持更新は最優先の取り組み事項である。

 

だが、現実には、消費を億劫がり、財出を卑下する国民の歪んだ心情がそれを邪魔する。

 

そうした邪心を取り払うためにも、国民への直接給付を同時に実行に移し、消費への忌避感を治療しておく必要があるだろう。