うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

毛虫はモノを騙るなかれ

世に経済論は数あれども、まともに検討に値するものはごく稀だ。
なぜなら、世に蔓延る自称経済論のほとんどは、“経済”とは何かという基本ルールを知らぬまま、己の観念論や、べき論を騙っているにすぎないからだ。

「経済」という語句を検索すると、
『経済とは、人間が自分達の生活環境をよくするために行う活動で、サービス・商品の生産・分配・消費・浪費などをすることによってお金を循環させること。
また、それらを通じて形成される社会関係である。
元々は中国の古典の言葉、経世済民。世を経(おさ)め、民を済(すく)う、の意味である。(ニコニコ大百科)』
と説明されている。

ここで重要なポイントは、
①民(国民)の生活向上に資するための活動であること
②商品やサービス生産活動とそれらの消費活動との間断なき循環を指すこと
③お金は生産と消費との循環に用いる道具に過ぎず、消費であれ、浪費であれ、その行為の清濁よりも循環という行為そのものが尊ばれること
の三点であり、これこそが経済を語るうえでの原理原則だ。

・財政健全化を最優先したがる緊縮財政派
・改革こそが生産性を上げると信じて疑わぬ構造改革
・インフレ予想が実質金利を引き下げ投資や消費を刺激すると主張するリフレ派
・大量生産・大量消費は地球環境を破壊すると妄想する成長否定派
等々、経済論壇は群雄割拠(とは言っても、緊縮財政派が圧倒的多数を占めるが…)の状況だが、いずれも経済の基本ルールを無視したまま、知ったかぶりをして理想の観念論をがなり立てているだけだから、景気が良くなるはずがない。

彼らは、口先ではロケットをうまく飛ばそうと構造や設計を弄り回し、軽量化を図るのには熱心だが、肝心の燃料だけは絶対に入れようとしない。
挙句に、ロケットを飛ばすと近所迷惑だからと打ち上げそのものを止めるよう主張するバカもいるから困ったものだ。

そんな経済論議を眺めていると、時々、上記のいずれにも属さぬ“珍種”がチョロついているのが目に入る。

その珍種は、口では庶民への分配を騙りながら、その方法や財源はまったく示さぬという如何わしさで、敢えて分類するなら「寄生目(もく)-私怨科-エセ分配属」とでも呼ぶべきか。

そのエセ分配属は次のとおり主張する。
GDPを構成する政府支出や投資は国民を幸せにできない
財政支出を増やしても国民の収入は増えず、却って税金が上がるだけ
③全額企業負担による最低賃金引き上げこそ救国の秘策
④しかし、最賃をいくら引き上げるべきか計算できない

彼らは庶民への分配が第一と叫ぶが、肝心の政策スケールは芋虫みたいにこじんまりしている。
生来気が小さいせいか、寝ても覚めても分配・分配と繰り言を吐く割りに、どうしても緊縮派に遠慮してしまうのか?

企業収益を削ってでも最賃を上げろと言いながら、投資(=企業が行う支出)は国民の懐を豊かにできない、と小学生以下の矛盾を堂々と主張する様には、こちらが恥ずかしくなる。

「政府支出で、あなた、幸せになりますか?」なんて妄言をうっかり吐いてしまうのも、実社会の経験が浅く、乗数効果や経済の連環を知らぬからだろう。
自分の給料がどこから来るのか想像できぬ幼子の視野は、針の孔より小さく狭いものだ。

最賃引き上げには筆者も賛成だし、いまの700~800円から1,000円を目指すなんて生易しいものではなく、思い切って2,000~2,500円くらいを要求すべきだ。
1,000円程度の最賃なんて、フルに働いても年収200万円台にしかならず貧困から抜け出せない。

だが、反射神経でしかモノを騙れないエセ分配属みたいに、最賃引き上げの責任をすべて企業におっ被せるのは無謀な暴論でしかない。

空前収益を上げる一部の上場企業ならまだしも、全企業の99%を占める中小零細企業で黒字なのは全体の1/3しかなく、しかも、そのうちの8割近くは、財務上の利益はごくわずかで実質は赤字なのに、銀行対策上の理由で決算書を粉飾していると主張する大手税理士法人もある。(=本当に黒字を出せるのは全体の5~6%だけ)

こんな状態で、中小零細企業に最賃引き上げ原資を全額負担させてしまえば、我が国の中小企業は財務パニックを引き起こすこと必定だ。

これだから、反射神経でモノを騙る毛虫は信用されないのだ。

財務力がペラペラの零細企業に人件費負担を押し付けても経営者を夜逃げに追い込むだけだ。

国民の実質所得を増やすためには、モノの順序というものがある。

政府が大規模な財政支出を打ち続け、下請けに対する取引条件改善と労働分配率向上を、法律強化と世論醸成の硬軟織り交ぜて普及させるという間接的給付ルートが一つ。

加えて、減税や社保負担軽減、教育無償化、医療負担軽減、児童・介護給付金、年金受給条件緩和などといった直接的給付ルートを同時に刺激し、国民の所得水準を名目・実質ともに大幅に引き上げるべきだ。

我が国の喫緊の課題は、あまりにも低過ぎる家計収入水準の絶対値を引き上げることであり、それをスピード感を以って実現するには、企業負担もあることながら、政府による大規模な財政支援が不可欠だ。

それくらいの理屈が解らぬから、いつまで経ってもエセ分配属は毛虫や蛆虫扱いされるのだ。

まぁ、「財政支出を増やしても国民の収入は増えず、却って税金が上がるだけ」なんて程度の低い寝言をほざくなら、試しに、最大の効果を狙って財政支出をゼロにしてみればよかろう。
毛虫の勤務先が倒産し、失業保険も吹っ飛ぶかもしれぬが、そのくらいの荒療治をせぬ限り、バカの目が覚めることもあるまい。