うずらのブログ

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生産性が上がらないのは、緊縮癖が抜けないバカのせい

『安倍政権の「生産性革命」をダメ政策の寄せ集めにしそうな3大課題』(DIAMOND online岸博幸/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)
http://diamond.jp/articles/-/150616

「安倍政権は“生産性革命”の具体策の検討を急いでいますが、新聞などで報道されるその内容を見る限り、残念ながら名前が示す方向性こそ正しいものの、中身はまったく伴っておらず、かなり空疎なものになりつつあるように見受けられます。(略)
 その最大の理由は、日本経済の生産性の向上のためには、生産性が低いままとなっているセクターにおいて岩盤規制の改革を進めることが一番必要であるにもかかわらず、それがほとんど進みそうにないことです。(略)」

岸氏が書きそうな中身なんてコラムの内容を見ずとも容易に判るが、案の定、
“非効率な中小企業を淘汰しろ。余剰人材は人材不足が深刻な地方に振り分ければよい”、
“高い賃上げを行うこと自体は労働生産性の向上とは無関係” 、
“賃上げとか設備投資といった条件を付けず、法人税自体の引き下げを行うべき”、
“物流ネットワークの整備を言い訳にした公共インフラ投資は無駄”、
といった趣旨の薄っぺらな改革万能論をぶちまけている。
(※ただし、コラム中の「経済界は、総理の一声で3000億円も出すくらいなら、その巨額の資金を賃上げや投資に使うべき」とのくだりには同意する)

岸氏のような改革バカは「生産性」という言葉を好んで使うが、改革好きの人種ほど生産性の定義を狭めたがるものだ。

彼らの云う生産性には“付加価値”という概念の一部が抜け落ち、「コストカット&生産量UP=生産性向上」というイメージでしか語れないから、AI化やロボット化、外国人や女性といった低賃金労働者の活用、雇用流動化による労働コスト縮減などを生産性革命の主軸に据えたがる。

生産性(付加価値生産性)を計算する際に分子となる“付加価値”とは、「生産額(売上高)から原材料費や外注加工費、機械の修繕費、動力費など外部から購入した費用を除いたもの」(日本生産性本部HPより)と定義され、人件費や賃借料・金融費用・租税公課・配当金・内部留保減価償却などの費用項目で構成される。

だが、改革バカどもは、本来、付加価値の主要項目であるはずの“人件費”を意図的に排除し、一方で“配当金と内部留保”を極大化することばかりに熱を上げ、コストカット優先主義をゴリ押ししてきた。

企業の付加価値に“人件費”が含まれているのは、企業という経済主体の存在意義が、一義的には「人件費(=国民の所得)を創出するための器」であることを示しているからに他ならない。

彼らの口から出てくる「生産性」という言葉に冷酷な空気しか感じられないのは、生産性向上と国民所得の増加とを、相容れない対立概念として位置づけ、人件費や労働分配率の向上を生産性低下の病原菌だと蔑む守銭奴特有の妄想に起因するものだろう

岸氏は、非効率な中小企業淘汰論を主張するが、国税庁のデータによると、H27年度時点の欠損法人(=赤字企業)の割合は64.3%と、ほぼ3社のうち2社が赤字に陥っている。
しかも、中小企業白書によると、国内企業の99%かつ従業員数の70%あまりが中小企業であり、岸氏の暴論どおりゾンビ企業を淘汰してしまうと、6,600万人ともされる就業者のうち3,000万人近い人材が路頭に迷うことになる。

これだけ大量の失業者を、残った黒字企業が吸収できるわけがないことくらい容易に想像がつくだろうが、脳幹を妄想に支配された改革バカには理解できぬらしい。

また、賃上げや設備よりも法人税引き下げを優先すべきとの彼の主張から、人件費(賃金)をまったく考慮せずに生産性や付加価値を騙っているのがよく解る。

ここ20年余りというもの、企業サイドは、法人税引き下げや低金利・雇用流動化といった政策の恩恵を受け続けてきたにもかかわらず、労働者への分配(賃上げ)を蔑ろにし、サラリーマンの平均所得は減り続けてきた。

最近の人手不足の深刻化(※筆者は、賃金水準引き上げに対する企業側の努力不足が惹き起こした“エア人手不足”でしかないと考えているが…)は、そうした経営層の「反国民的行為」に対する“警告”と理解すべきであり、労働者への分配と雇用条件の改善努力を怠ってきた経営層に法人税減税をプレゼントするなんて絶対にありえない愚策だろう。

最後に、岸氏の公共事業悪玉論の幼稚さを指摘しておく。

彼は、「生産性向上のために公共事業を増額するならば、どのセクターの生産性を高めるのか、そのために本当に必要なインフラの範囲はどこまでか、といった戦略的な分析が不可欠です」と尤もらしいことを述べているが、公共事業だけでなく、あらゆる分野の科学技術や産業技術において、どれだけ資金を集中投下すれば、どの分野の生産性がどの程度向上するかなんて、誰も正確に測ることなどできるはずがない。

彼みたいな守銭奴は、「ワイズスペンディングのためには投資効果の戦略的分析が必要だ」云々と文句ばかりつけて、予算執行の邪魔をしたいだけなのだから、そんな戯言をまともに相手にする必要はない。

公共投資や予算執行の効果なんて正確に測れるはずがないのだから、できるだけ広範囲に、より多くの量をバラ撒くしかないし、効果測定ができないからとケチケチして財布の紐を〆るよりは、よっぽど効果的なのだ。

政府が広範な分野に多額の財源をバラ撒けば、それを拾おうとして、民間企業や大学、研究機関などがこぞって競争し、そこから生まれた研究開発が技術開発を高度化させ、商行為が活性化する。
それこそがGDPを成長させ、企業収益や労働所得を創出し、付加価値生産性の向上に直結するのだ。

人件費を削り公共投資をケチるだけの改革バカに、生産性の真の意味を理解させるのは、野良犬に言葉を教えるよりも難しい。