うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

支持率低下を売国で誤魔化す安倍政権

「日欧EPA大枠合意、首脳協議できょう宣言」(7/6 日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO18529550W7A700C1MM8000/?n_cid=NMAIL001
「日本政府と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)交渉の大枠合意を6日の首脳協議で宣言すると決めた。岸田文雄外相は5日午後(日本時間同日夜)、訪問先のブリュッセルでマルムストローム欧州委員(通商担当)との協議後、「閣僚間で大枠合意の達成を確認できた」と表明した。日欧間で関税がなくなる品目は全体の95%超に達する見込み。世界の経済・貿易の3割を占める大経済圏が誕生する。(略)
 岸田氏は協議後、記者団に「大枠合意によって保護主義的な動きのなかで世界に前向きで大きなメッセージを送ることができる」と意義を強調した(略)」

政府・自民党の連中は、先の都知事選大敗で大恥をかかされた腹いせのつもりか、あるいは、政権支持率暴落に対する失地挽回のつもりなのか、TPP騒ぎの時と同様に、国内議論をすっ飛ばしたまま勝手に日欧EPA合意の既成事実を創り上げている。

壊国と売国記事しか書かぬ日経も、“世界の経済・貿易の3割を占める大経済圏の誕生”、“保護主義的流れに対抗”、“欧州に自動車や日本酒を売りやすくなる”との印象操作により、政府の太鼓持ち記事をぶち上げた格好だ。

トランプ大統領が、せっかくぶち壊してくれたTPPの亡霊を復活させようと躍起になる新自由主義者の粘着ぶりと、自己の利益や意志のためなら国内産業や農業すら平気で足蹴にしようとする酷薄さに、表現しようのないほど強い憤りを覚える。

今回のEPA交渉でEU側から関税撤廃や引下げを要求された主な品目は、チーズ、バター、豚肉、ワイン、菓子、パスタなどで、逆に日本側から要求している品目は、自動車、電化製品、ホタテ、日本酒、緑茶などが挙げられている。

各品目をざっと見た印象では、EU側の要求品目の多くは、日本国内でも調達が可能、且つチーズや豚肉、ワインなど重点的に産業育成を図っている品目が目立つ。

一方、日本側の要求品目は、自動車を除くと、EUサイドで調達困難な品目、端的に言うと、日本が価格交渉力を有する品目が多い。
特に、日本酒や緑茶なんてEUでは造れないのだから、関税を課す方がどうかしてるし、欧州に根強い和食志向を後ろ盾とした強気の交渉ができるはずだ。

無論、自動車や電化製品分野では、韓国や中国、アメリカなどのメーカーとの競合があるものの、日本国内メーカーが競合国への人材・技術流出防止や知財保護の努力さえ怠らなければ、十分に競争力の優位性を維持できるはずだ。

要は、日欧EPA合意という外交成果(国民にとっての成果とは言えない)を得たいがために、政府は、国民や国内産業との合意調整を行う努力すらせずに、妥協すべきでない、あるいは、妥協する必要のない分野で安易に妥協を重ねたとしか思えない。

政府は、“農林水産業の高付加価値化”や“攻めの農業”といったスローガンの下で、六次産業化を推進してきたことは周知の事実で、その結果、国内には247社ものワイナリー(H27)が誕生し、チーズ工房の数も200者を超えたと言われている。

また、国内の養豚農家数はH16/8.9千戸→H26/5.3千戸と漸減一途で、一戸当たりの飼養頭数をH16/1,095頭→H26/1,810頭に拡大させて、何とか全体の頭数を維持しているような状況にある。(国内飼養頭数:H16/9,724頭→H26/9,537頭)

国内のワイナリーやチーズ工房、養豚業者は、何れも経営規模は小さく、財務力も脆弱で、産業育成の緒についたばかりの状態と言える。

個々のワイナリーやチーズ工房は中小零細業者がほとんどで、売上規模はせいぜい数百万円から1億円未満と小さすぎるゆえにコスト吸収力がない。
また、養豚業者は、口蹄疫豚流行性下痢といった外的脅威に加えて、輸入飼料(コストの7割近くを占める)の高止まりもあり、養豚経営安定対策事業などの支援策頼みの経営を余儀なくされている。

このため、いきおい販売価格も高く設定せざるを得ず、デフレ不況下で消費サイドの財布の紐が固い状況では、非常に厳しい経営を迫られるのだが、このタイミングで外国産ワインやチーズ、豚肉の関税を引き下げられては、ただでさえ価格競争力に乏しい国内産品は、強烈なアゲインストに晒されることになるだろう。

これでは攻めの農業どころではない。
零細なワイナリーやチーズ工房の経営者は、ファイティングポーズをとる以前に、リングに上がるチャンスの芽すら摘み取られてしまい、高付加価値化への道も断たれてしまう。

政府や自民党の連中は、六次産業化を推進してきた自らの政策を否定する醜悪な貿易協定に手を染めてはならない。

EUの連中は、各地で凄惨なテロを惹き起こす不法移民の輸入には熱心なくせに、不届きにも、我が国の農水産物には日本政府による放射能物質検査を義務付けるという輸入規制(一部緩和されてはいるが…)を頑なに崩そうとしない。
テロという顕在化したリスクには無頓着で、妄想と言いがかりに過ぎない放射能汚染に過剰反応するEUの傍若無人を放置したまま、我が国にとって大したメリットもないEPAに批准するなど、屈辱外交以外の何物でもない。

しかも、EPAには、投資家対国家紛争解決(ISD→途中でSICS(投資裁判制度)に名称変更)や金融・保険市場の開放、ビザ発給要件緩和、公共事業を巡る政府調達の参入障壁排除、インターネットを使った商取引、中小企業支援等々、TPP問題でお馴染みの司法制度を蔑ろにするバカげた条項が潜り込んでいる。

また、EU側が、日本郵政グループの簡保や農協などの共済組合の保険サービスが差別的だとイチャモンをつけているそうで、TPP同様に金融・保険・公的サービスに主戦場が移る恐れも強い。

政府が財界やエコノミスト、官僚、マスコミ、識者といった一部のインナーサークルの利益と意思だけを尊重し、国民や産業界との調整や合意取得を故意に怠る政治姿勢は、もはや議会制民主主義の体をなしていない。

政府にコケにされた国民は、都議選や加計学園だけじゃなく、こうした重要問題における政府のいい加減な対応をよく観察したうえで、政権に対する支持・不支持を判断すべきだ。

「他に受け皿がないから」なんて小学生みたいな理由で支持する者も多いが、そもそも、受け皿の有無など聞いていない。
そんなものに関係なく、いまの安倍政権を指示できるかどうかだけで判断できないような輩は、選挙権を返上させるべきだ。