読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

アクセルを踏み込む勇気

『デフレの淵か? コンビニ、スーパー、値下げ続々 消費者心理5か月ぶり悪化』
J-CASTニュース 5/14)
https://www.j-cast.com/2017/05/14297864.html?p=all
「実感なき好景気なのか――。消費者心理が晴れない状況が続くなか、日用品の値下げが相次いでいる。
2017年3月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は29万7942円で、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同月比1.3%減。これでマイナスは13か月連続だ。前月比(季節調整値)では実質2.0%の減少だった。(略)
原料の牛乳の価格高騰を理由に、雪印メグミルクでは5月の出荷分から、バターやチーズを値上げ。大王製紙王子ネピアの製紙大手も5月から、トイレットペーパーなどの家庭紙の値段を10% 程度引き上げた。(略)
そうしたなか、勃発したのがコンビニエンスストアの値下げ競争だ。先手を打ったセブン‐イレブン・ジャパンは2017年4月19日から、ナショナルブランドの洗濯用洗剤やオーラルケア用品、掃除用品、紙製品などの61商品を平均で5%値下げした。 (略)」

アベノミクスを評価する向きからは、経済好調で安倍政権も盤石などと恍けた声も聞こえてくる。

「最低・最悪状態」からの脱却を以って“好景気”呼ばわりするような変わり者の真意は測りかねるが、多くの国民は、長期トレンドベースの賃金水準低迷や日用品を中心とする諸物価の値上がり、社会保険料・税負担の増加といった「不況下の収入減&負担増」に苦しめられ、1年半にもわたり実質消費を減らす結果となっている。

また、内閣府による「消費動向調査(H29/4)」の消費者態度指数は43.2ポイントと、昨年11月以来、前月比で0.7ポイント低下した。
個別項目では、「耐久消費財の買い時判断」が1.6ポイント低下し42.2、「暮らし向き」が1.2ポイント低下し41.5、「収入の増え方」が0.8ポイント低下し41.4、「資産価値」が1.7ポイント低下し41.1と軒並み低下している。
唯一上昇したのは「雇用環境」(+0.8ポイント)だが、これとて47.7ポイントと、半分の50ポイントに届いていない。

巷では、アベノミクス春闘相場を先導しているかのように喧伝されているが、大手各社のベースアップ率は2年連続の前年比割れとなり、2017年の一時金は5.76月と2016年実績(5.98月)を下回っている。

一部の中小企業では、人手不足解消のため大手を上回る賃上げを示唆するケースもあるが、そんな奇特な企業はごく一部でしかなく、国内事業所の99%を占める中小企業の大半は、販売の頭打ちや仕入れコスト高騰などの厳しい台所事情から、賃金据え置きを余儀なくされている。(※大阪シティ信金の調査では、取引先の中小企業のうち70.2%が「据え置き」と回答)

厚労省の毎月勤労統計調査によると、3月の実質賃金は前年同月比で▲0.3%、名目賃金は▲0.4%と冴えない数字で、何れも長期トレンドで比較するとピーク時(1996~1997年)の水準から12~13%も低下している。

我が国が、せめて他国並みのペースで経済成長を遂げていれば、今頃は20年前の1.5倍近い賃金水準に達していても何の不思議もないのだが、現実には増えるどころか、20年も前の賃金より1割以上も減っているのだから、あまりにも情けない。
先進国で、20年前と比べて収入が減っている国なんて日本以外にはないだろう。

“10年ひとむかし”とはよく言ったものだが、ふたむかし分も賃金が減り続けた国の消費者心理の冷え込み加減は永久凍土並みで、アベノミクス礼賛者はその強固さを軽く見すぎている。

収入や賃金に対する消費者の見方は「疑念と不安と不満」しかなく、ほんの2~3年ばかり、1~2%の賃上げがあったところで財布の紐が簡単に緩むはずがない。
僅かな賃上げによる果実の大半は既に貯蓄要員としてカウントされ、余暇を楽しむための消費や小遣いに廻されることはない。

冒頭にご紹介した記事で、大手メーカーやコンビニ・流通各社が、製造コストや仕入れコスト増加という負担を抱える中で、思い切って食品や日配品の値下げに踏み切る背景には、流通現場における買い控え圧力が想像以上に強烈であることによるものだ。

今回の値下げは、洗剤やシャンプー、食用油などが中心のようだが、メーカーや流通各社は、恐らく消費者の不満を満足させられぬまま、買い控えの荒波の第二波を喰らうことになるだろう。

なぜなら、消費者の不満の根源は、購入頻度の低い日配品ではなく、毎日消費する食品(青果・食肉・鮮魚等)の高騰や内容量を減らした実質値上げにあるからだ。

各社の値下げは、比較的利益率の低い日配品の値下げで消費者の気を惹こうという作戦のようだが、これは、購入頻度の高い食料品の値下げを求める消費者ニーズにダイレクトに応えたものではなく、消費者の不満を鎮静化できずに終わるだろう。

安倍政権が、官製春闘との批判を余所に、大手企業に賃上げ要請をするのは良いが、大手企業に限らず中小企業を含めて、賃上げの原資を生む売上や収益をしっかり確保し続けられる経済環境無くして思い切った賃上げに踏み切ることは難しい。

また、賃金低下に慣れ切った国民の消費心理のベクトルを積極的なものに転換させるには、年1~2%程度のチマチマした賃上げ(現実にはこれすら難しいのだが…)ではなく、7~8%くらいの伸びを期待させるようなサプライズが必要になる。

今まで20年間も賃金が上がっていない現実を踏まえて、「急激な賃上げなど非現実的だから、少しずつ上げていくしかない」と諦めるのか、「過去の逸失利益を取り戻すために、思い切って賃上げのアクセルを踏み込むべき」と決断するかは個々人の意志によるだろう。

しかし、大負けしている試合で敢えて慎重策を採ることの無意味さとバカバカしさを勘案すれば、どちらを選択すべきか、自然に答えが出るはずだ。