うずらのブログ

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口先だけの官僚なら要らない

「赤字バス路線補助削減へ 国交省 経費の40%上限に」(北海道新聞 04/08)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0387502.html
「全国の赤字バス路線への補助金をめぐり、国土交通省は、運行経費の45%までとしている上限を40%に引き下げる方針を固めた。2018年度分(今年10月~来年9月の運行が対象)から実施する方向で、すでに業界団体に説明を始めた。利用促進に取り組んだ事業者を支援する仕組みも盛り込み、補助金依存からの脱却を促す狙いだが、補助の割合が大きい道内事業者にとって、打撃は必至だ。
 補助金は、「地域間幹線系統確保維持費」と呼ばれ、複数の市町村にまたがる地域の生活路線などの赤字を国と道が2分の1ずつ負担する国の制度。上限引き下げで補助金は最大1割余り減る。その分、事業者や市町村の負担が増える。
利用促進に取り組み、前年より営業収入を改善させた事業者には補助を増やす仕組みも設ける。国交省は「営業努力で成果を上げれば減少分を取り戻せる。予算も前年並みを確保したい」(自動車局旅客課)と強調。事業者に運行形態見直しや路線合理化など、地域に適した路線の在り方を、9月までに市町村などと協議するよう求めている。(後略)」

北海道といえば、昨今、JR北海道の赤字路線廃止問題が大きくクローズアップされたばかりだが、北海道を含む全国の路線バスも深刻な財政問題を抱えている。

全国の路線バス運行の維持に要する国交省補助金(地域間幹線系統確保維持費)は2016年度に総額で90億円と、ここ5年間で20億円近く増加しているそうだ。
しかし、全国のバス路線維持にかかる費用が僅か90億円あまりと聞けば、削減するどころか、倍増させてもよいくらいだ。

公共交通機関というものは、そもそも、一部の都市部を除き黒字になるはずがない。
「安全運行・定時運行・利便性の確保」の3本柱を実現し、地域住民の生活向上に資することこそが公共交通機関の最大の使命だから、収支を理由に存廃論議をすること自体がおかしい。

税金の無駄遣い云々といった類のレベルの低いクレームに付き合っていたら、国土全体の毛細血管が寸断され、日本の交通体系はズタズタになってしまう。

特に豪雪地域では、路線バスの有無は、バスを通過する道路の除排雪の優先順位にも大きな影響を与えるから、赤字路線バスを無くすことは、道路管理レベルの低下に直結し、道路を利用する国民の利便性を低下させる。

路線バスの赤字は地方の問題だと高を括っている者も多いだろうが、都心部や大都市圏でもほとんどの路線バスは赤字なのだ。

実際に、東京都や横浜市川崎市神戸市などの例を拾ってみても、都営・市営バスの黒字路線は、東京都交通局127路線のうち29路線、横浜市150路線のうち36路線、川崎市31路線のうち7路線、神戸市82路線のうち26路線に止まる。

世界が誇る日本のメガロポリスでさえ、多くのバス路線が赤字なのだから、地方のバス路線を黒字化できると考える方がどうかしている。

この手の話になると、市営バスの運転手の人件費が高過ぎるのではないかというゲスなクレームが入るが、公営バス運転手の平均年収は440万円程度とされており、何の根拠もないし、一度に数十名もの命を運ぶ責任ある職業に就く者の給与水準が低くてよいはずがない。

バスや鉄道は公共交通機関として定時運行・安全運行・利便性向上のみを求めておればよい。

収支云々よりも、現に路線が存在し、いざとなれば人里離れた地域にも足を延ばせるという安心感を維持するのが重要で、地域における日常の足としてだけではなく、他地域からの流入者にとっても便利で心強い存在になる。

昨今、高齢者ドライバーの事故が社会問題化し、地域交通網の重要性は今後増すばかりで、路線バスの維持・拡充は、地域交通網の発展や大型バス運転者の運行技術を維持向上させる実践の場にもなる。

また、上記記事において、筆者が最も腹立たしく思うのは、バス事業者に「営業努力」というエサをぶら下げて補助率の差異を付けようとする国交省の役人の態度だ。
おまけに、“事業者に運行形態見直しや路線合理化など、地域に適した路線の在り方を、9月までに市町村などと協議するよう求め(る)”とは何事か。

官僚の思い上がりも甚だしく、当事者意識がまったく感じられない。
地方が補助金に甘えているという発想は、国家の財布を自分の財布だと勘違いした不遜な態度だ。

国交省の役人は、上から目線で地方のバス会社を見下し、誰にも不可能な自助努力を強要するのではなく、積極的に利用促進や営業収支改善の知恵を振り絞るべきだ。

地方のバス事業者が営業努力をしやすくなるように、路線の見直しや運行本数増便、停留所の増設や移設など変更手続きの簡素化を図るなど、役人サイドが努力すべき項目は山ほどある。(現状では、路線変更は新設と同様の手間と時間かかる)

他の省庁にも言えることだが、補助金支出権限を振りかざし、事業者や地方自治体に対して、“良い案を出してみろ”とばかりに踏ん反り返るだけなら、端から役人なんて要らない。

机上のあるべき論や理想論を語るだけなら誰にでも出来る。
偉そうな口を叩くなら、地方バス会社の増収に資するベストプランを自ら提案すべきだ。