うずらのブログ

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海外依存リスク

穀物や食肉などの基幹食糧の海外依存度を高めすぎるのは、やはりリスクが大きい。

日本では、年間約220万tの鶏肉が消費され、うち3割ほどを輸入に頼り、輸入国別ではブラジルが7~8割を占めるらしい。
実際に筆者も、スーパーの店頭でブラジル産鶏肉が安売りされているのをよく目にする。

ブラジルは2014年の鶏肉輸出量が356万tにも及ぶ世界最大の鶏肉輸出国なのだが、既に報じられているとおり、とんでもない食肉不正事件が発覚した。

『ブラジルで食肉不正問題、緊急閣議招集へ』(AFP 3/19)
http://www.afpbb.com/articles/-/3121962
「ブラジルのミシェル・テメル大統領は19日、世界有数の食肉生産国で国内外に広く鶏肉などを販売している同国において、食肉の安全性をめぐり不正問題が発覚したことを受け、緊急閣議を開くと発表した。
 2年間にわたる警察の捜査によって17日、公衆衛生検査官数十人が賄賂を受け取り、衛生基準を満たさない食品を消費に適しているとして承認していたとの不正が明らかになった。
 不正に関わったとされる多数のブラジル企業は18日、自社製品は安全だと主張したが、国民の不安は高まるばかりだ。(中略)
当局は、衛生基準を満たさない食品が見つかった場所について言及していないが、南部クリチバでの記者会見で、腐った肉の悪臭を隠すために「発がん性物質」が使われていた事例もあったと述べた。(中略)
 リオデジャネイロのスーパーマーケットでよく買い物するというシルビア・ファリアス教授は、鶏肉製品の一部には段ボールが混入しているとの報告もあり、懸念していると述べた。
 ブラジルは少なくとも世界150か国に鶏肉などの食肉を販売しており、この不正問題は同国にとって深刻な懸念事項となっている。」

今回のニュースには、「賄賂」、「衛生基準未達」、「発がん性物質」、「段ボール混入」という悪臭の強いワードが目立ち、事の重大さと深刻さを浮き彫りにしている。

衛生基準未達は健康被害に直結するリスクが高まり、それを糊塗するのに賄賂や発がん性物質を使う、あるいは、段ボールまで混入するに至っては、悪質性が極めて高く、昨年、我が国でも大騒ぎした鳥インフルエンザどころの話ではない。

鳥インフルエンザの場合は、ウイルス感染した鶏肉を食べても人への感染が起こったという事例は世界的に報告されておらず、単なる過剰反応(※鳥インフルは大袈裟に騒ぎ過ぎというのが筆者の私見)の域を出ないが、ブラジルの不正問題は、中国で起こったマックチキンの消費期限切れ&薬漬け(疑惑)問題以上に悪質だ。

しかも、ブラジル国内で少なくとも21カ所もの施設が不正に手を染めていた事実は、同国の食肉処理施設の衛生管理システムが、相当いい加減なレベルにあることが判る。

同国のテメル大統領は、国内4,800以上の加工施設のうち、不正が発覚したのは21カ所に過ぎないと火消しに躍起だが、21カ所という数字は尋常な数ではないし、何より食肉加工最大手のJBS、BRFのほか中小合わせて数十社に衛生管理基準違反の嫌疑が掛けられているそうだから、法令違反の加工施設の数の実態はこの数倍に膨らむだろう。

世の中には、「食料なんて、海外から安く買えばいいじゃん」、「日本の農家は怠け者。あんな奴らを甘やかす必要はない」、「食べ物が安くなるのは消費者の利益」云々と腑抜けたことをぬかすバカ者が多い。

今回は、たまたま、国内の自給率が比較的高い鶏肉だったからよいが、基幹食糧で輸入依存度が高い原料であれば、小売店や食品加工業者、飲食店、観光業者などを中心に、かなり大きな打撃を受けることになる。

鶏肉の年間消費量は一人当たり12kgと、豚肉と同じくらい日本人の食卓を支える大事な存在であり、こうした基幹食糧は、できるだけ内製化に努める必要がある。

食糧安全保障という観点は無論のこと、飼育から出荷に至るまで、国内の関連産業に与える経済的波及効果が大きいのと、飼育・給餌・温度管理・採卵・包装・物流等々、その過程ごとに行われる技術開発や省力化・高付加価値化技術など有形無形の産業財が培われるからだ。

トリュフやキャビアのように、消費量が少なく日本が産地として不適なものとは違い、鶏肉や豚肉、牛肉など、十分に国内での生産・出荷が可能な畜産物は、できるだけ内製化を促進して、日本というマーケット内での域内循環を進めるべきだ。