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うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

妬みは何も生まない

『「財政政策シフト」が新トレンドを読み解くキーワード!』(ダイヤモンドオンライン 3/13 村上尚己 アライアンス・バーンスタイン㈱マーケット・ストラテジスト)
http://diamond.jp/articles/-/116555
「トランポノミクスは、レーガノミクスよりはむしろアベノミクスとの共通点が多いことを前回に指摘した。どちらも長引く不況からの脱却を目指し、従来の金融政策に加えて財政政策による後押しを重視している。この政策によって日米がともに結果を出していけば、世界各国のポリシーメーカーたちにも大きな影響を与え、経済政策のスタンスが大きく変わっていく可能性がある。(中略)
 実際、サマーズ(元米国財務長官)は「実質均衡金利が大幅なマイナスとなっているなら、金融緩和だけでは景気刺激効果は限られる以上、総需要を直接増やす財政政策などが必要になる」という具体的な政策提言をしていた。
これ以来、従来の金融緩和策に拡張的な財政政策を組み合わせる必要性が、欧米で盛んに議論されるようになったのは事実である。ポール・クルーグマンやジョセフ・スティグリッツといったノーベル賞経済学者も、財政政策による景気拡大を訴えていたし、英金融サービス機構の元長官であるアデア・ターナーに至っては、中央銀行保有する国債を永久債化するヘリコプターマネー政策の提言にまで踏み込んでいる。(後略)」

アベノミクス財政支出政策の旗手的に扱う部分には異論があるものの、「世界各国の経済政策スタンスが、金融政策オンリーから、財政政策と金融政策とのポリシーミックス型へ移行すべき」との村上氏の主張には同意する。

村上氏は、英国キャメロン政権時の増税断行や、ギリシャやイタリア・ポルトガルなど南欧諸国の財政赤字問題について、問題の本質がユーロという通貨システム自体にあることを無視して、各国の放漫財政に問題の所在をすり替えたことを批判している。

こうした「経済危機・財政危機=放漫財政」という誤ったレッテル貼りが大手を振ってのし歩き、ユーロ圏ではドイツ主導で強烈な歳出抑制が課され、米国では議会多数派を握る共和党の均衡財政主義が罷り通ってきた。

洋の東西を問わず、“経済危機は財政のムダが原因”、“緊縮による無駄の削減こそ財政危機の特効薬”と誤解したがる輩が多いようで、経済政策の緊縮シフトはあっという間に拡大し、「成長限界論」や「低成長宿命論」が持て囃されるに至ったのだ。

縮小するだけの経済は、人々から雇用と所得と将来への希望を奪い、先進諸国の生産性を低下させたが、緊縮絶対主義に駆られた各国の政権が選択した政策は、規制緩和と緊縮策の継続、グローバル化の推進といった逆噴射型のオプションばかりであった。

質の悪い緊縮主義者たちは、答案に何度✕点を付けられても、何の反省もなく「緊縮・構造改革規制緩和」としか書いてこない。

その理由として、彼らは、
❶経済的効果を度外視して「緊縮・構造改革規制緩和」こそが絶対善だと妄信していること
❷経済成長に対する興味や関心を持っていないこと
❸「経済」の基本的な仕組みや原理をまったく理解できていないこと
が挙げられる。

特に、経済の在り方をカネの動きと切り離して論じたがる緊縮主義者の幼稚さと稚拙さには、常々閉口させられる。

彼らは、『グローバル化推進・外国人材の活用・生産性向上・労働改革』といった類の言葉を好むが、そこにカネの匂いを感じさせないのが胡散臭い。

企業が「ヒト・モノ・カネ・情報」という経営資源を活用して事業を営むのは、すべて「売上&収益」という名のカネを得るためである。

だが、緊縮主義者の提案は肝心の“カネ”を稼ぐための要素が欠けている。
彼らの案は、労働意欲を削ぎ生産性を貶める『コスト削減策』ばかりで話にならない。

筆者も、村上氏の見方には賛成で、財政政策シフトが新トレンド化することを願うが、「国民総緊縮脳化」している現状を鑑みると、現実には相当ハードルが高いと感じている。

財政政策が積極的に支持されるには、“所得向上や用の質の改善”に対する国民の強い渇望感が必要だが、機能的財政論など微塵も知らぬ国民の多くは、Aの予算を削ってBに付け替えるくらいしか能がないから、「公務員給与を削り、貧困対策予算に廻せ」なんてレベルの低い妄言を吐きかねない。

公務員や土木建設業者、農業者、医療関係者、金融機関など、市井の人々の下種な妬みを買いやすい職種の人件費削減論に話が逸れてばかりでは、まともな財政政策など打てるはずもない。

財政政策と金融政策の強力なポリシーミックスを断行するためには、予算の付け替え論争や公務員給与削減論といった類の下種な妬み根性は一旦脇に置き、マクロ視点から見て、何を優先すべきかを真摯に考えるべきだ。

くだらぬ足の引っ張り合いで得をする者は誰もいないのだから。