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うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

仕事は9回までに終えるべし

『プレ金、実際どうだった? 経産省の目論見外れる皮肉な結果に「自分には関係ない」』(SankeiBiz 2/28)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170228-00000500-fsi-bus_all
「月末金曜日は午後3時に退社し余暇を楽しもう-。停滞する消費を押し上げようと経産省が旗振り役となり、2月24日に鳴り物入りでスタートした「プレミアムフライデー」。
株式会社VSN(東京都港区)が実施した実態調査では、半数近くの人が「自分には関係ない」と他人事で、実際当日にイベントなどを楽しんだ人はわずか5.0%だった。
「今回は様子見」とひとまず見送った企業も少なくなかったようで、「中小企業はとてもじゃないけど無理」といった嘆き節も。(後略)」

月末金曜日の早帰りを促す『プレミアムフライデー』の初回は空振りに終わったようだ。

筆者も、「自分には関係ない」のうちの一人で、当日は急な仕事の依頼が入り泣く泣く残業を余儀なくされてしまった。(そもそも、筆者の勤務先では、プレ金の言葉すら囁かれることもなかったのだが…)

プレミアムフライデーの旗振り役が格好つけの経産省であり、かつ、世の中的には何の準備もなく急に出てきた話であったせいか、国民の反応がいま一つだったのは否めない。

“公式に実施したのは大手企業を中心に120社しかなかった”、“人手の足りない中小零細には無理”、“3時という終業時間設定は書き入れ時の飲食業にとっては営業妨害でしかない”などといった批判も多く、推進した側にとっては当てが外れたと言ってよい。

だが、筆者は、こうした取り組みを否定する気はない。
むしろ、ワーカホリックな日本人の労働観や生活観を改めるための一歩とすべきだと思う。

筆者の職場もそうだが、官民を問わず、我が国のサラリーマンは給料も上がらないのに働き過ぎだ。
日本企業にありがちな早出出勤や残業を無批判に尊ぶ風潮が、企業内社会と一般社会とを隔絶させ、『会社の常識=社会の常識』という勘違いを生み、パワハラ行為やセクハラ行為の横行を許容することにつながる。

こうした悪習の是正は、企業の自主的な取り組みだけに任せていては永遠に不可能であり、『企業や業界』というClosed worldの壁を取り払い、『世間の常識』という風に晒す必要があるだろう。

昨年12月15日にエクスペディア・ジャパンから公表された有給休暇の国際比較調査の結果によると、
①2016年の日本の有給消化率は50%と、3年ぶりに世界28か国中最下位となり、2年連続ワーストだった韓国を3%下回った
②休みを取ることに「罪悪感がある」と考える日本人の割合は約6割にものぼり、韓国に次いで世界で2番目に多い結果となった
③自身の有休支給日数を知らない日本人は約半数にものぼった。これは2位の韓国を二倍以上引き離しダントツでトップの結果だった
④日本人の22%が、休暇中にも関わらず仕事のメールを「一日中」見てしまうと回答。韓国に次いで2位の結果となった
という惨状で、日本の労働環境は最悪に近い。
【参照先URL】http://news.mynavi.jp/news/2016/12/15/402/

また、昨年10月12日に一般社団法人日本能率協会から公表された「第7回ビジネスパーソン1,000人調査(仕事と健康編)」の結果によると、
①残業をする理由は、「自身の日常業務が終わらないから」が最多で45.7%。次いで「突発的なことに対応する必要があるから」(27.6%)、「残業手当(時間外給与)が欲しいから」(15.8%)だった
②1日あたりの平均残業時間が3時間以上の人では、「自身の日常業務が終わらないから(50.0%)に次いで多いのが「職場が残業をする雰囲気だから」(27.1%)。長時間残業の背景には、職場風土の影響がうかがえる
③残業を減らすために職場に求めることは、1位「必要ない業務をやめること」(29.8%)、2位「残業をしない職場の雰囲気づくり」(28.6%)、3位「特定の人に負荷がかからない仕事の割り振り」(24.9%)となった
となり、残業の理由として、業務量の多さや職場の風潮などを指摘する声が多く、残業削減には、業務のスクラップ&ビルドや残業に対する意識改善が必要との意見が目立つ。
【参照先URL】http://news.mynavi.jp/news/2016/10/12/302/

筆者も、残業を減らし、無くすためには、
・経営者層の意識改革(権限移譲、内部向け業務の削減、会議の削減、適切な人員配置、残業=コストUPという意識の徹底、残業手当に頼らぬ給与体系実現)
・労働者側の意識改革(生活残業・付き合い残業・自己満足残業の停止、“残業=延長戦”だという意識の徹底)
という具合に、労使双方の考え方を根本から改める必要があると思う。

先ずは、自社内の企業内業務(内部向けの資料作りや決裁事務などのほか、社内政治も…)の削減に本気で取り組むべきだ。
企業の規模が大きくなればなるほど、業務量に占める企業内業務の割合が8~9割近くなっていると思われる。

例えば、
・役員に提出する新規プロジェクトのプレゼン資料を作るのに、役員ごとにフォントの指定が異なる
・企画部と購買部に提出する稟議書の様式がまったく異なり、作成が二度手間になるうえ、購買部の決裁日数は倍もかかる
・市場開発部に話と通す際には、A統括部長だけでなく、別ラインのB部長にも事前に根回しが必要になるのだが、B部長にアポ入れする前に、子飼いのD代理に話を通さねばならない
・お客様からの苦情処理専門部署がなく、総務部と管理部双方に報告せねばならないが、別々に対応指示が下りてくるから、対顧客よりも両者間の調整に手間取る
・同じ企画書を作る際に、管理部にはエクセルで、営業部にはワードで、しかも、D部長の分だけゴジック体の別バージョンで提出する社内ルールがある
等々、くだらぬ企業内業務に忙殺されているサラリーマン諸氏も多いだろう。

こうした悪弊を整理すれば、余計な残業時間を減らせ、対外的な業務に専念できるだけの十分な労働時間を確保できるはずだ。

さらに、「残業=イレギュラーな労働時間、余計なコスト、悪習、禁じ手」といったイメージや慣習を世間の常識として浸透させる努力が重要だ。

何だかんだ言っても、経営者という生き物は、周囲や業界の動きを横目で見て自社の方針を固めがちで、官公庁の取り組みや業界トップ企業の動きに右に倣えだったり、ライバル企業の取り組みを追随したりするなど、思った以上に周りの目を気にするものだ。

よって、「●●だから、残業するのは当たり前だ」という企業の常識は時代遅れで世間的にはまったく通用しない、という強い姿勢を見せつけることは相応の効果がある。

企業は、個々人が地経した労働の対価を得る場であり、自身の生活や人生を朝貢する場ではないという当たり前の常識を認識し、広く共有せねばならない。

労使ともに、残業という『延長戦』を前提にした仕事のやり方を廃し、9回までに仕事を片付けるという意識を持たない限り、働き方改革なんて絵に描いた餅に終わるだろう。