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うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

名目値も、実質値も重要

先月末に公表された家計調査(二人以上の世帯)の平成28年12月分速報では、二人以上の世帯の消費支出は318,488円で前年同月比実質▲0.3%、名目+0.1%と、相変わらず冴えない数値だった。

一方、勤労者世帯の実収入は1世帯当たり924,920円で、前年同月比実質+2.3%、 名目+2.7%と、11月に続き増加しており良い傾向と言える。
(比較対象となる平成27年の数値があまりに悪すぎるため、増加して当たり前とも言えるが…)
しかし、平成28年の実収入は、第一四半期~第三四半期の実績が、前年同期比で▲2.1%に止まるため、通年ベースでは、良くて±ゼロか、マイナスになる可能性が高い。

家計消費支出にしろ、実収入にしろ、ここ数年は増減が交錯し、たまに増加する月があっても、その上昇幅が小さすぎる。

経済政策の効果が浸透するには時間が掛かるとの反論もあるだろうが、長期間に亘り低迷が続いたということは、比較対象となる数値の土台も低くなるはずだから、本当に適切な経済政策が打たれたのなら、もっと劇的な伸びが確認できてしかるべきだ。

テストの成績でも、90点を91点に伸ばす(+1%)のと、30点を33点(+1%)に伸ばすのとでは、その難易度に大きな差異があるはずで、低いレベルからの伸長幅は、より大きなものが求められる。

昨年の8月以降、実収入の名目値は増加傾向にあるが、そもそも実収入の値自体が低すぎるのが問題だ。
現に、消費支出が対前年比で減り続けているのは、収入が期待以上に増えないことに対する家計サイドの強い警戒感や失望感の表れだろう。

実際に、新日本スーパーマーケット協会による「消費者調査 2015」でも、
●「約8割の消費者は、この1年を支出が多すぎたと実感しています。生活必需品などの上昇により、相対的に収入の低い層や20、30代でその傾向は強く、多すぎたと感じる頻度も多くなっていることがうかがえます」
●「今回の物価高の中心は、消費者にとって最も身近な食品ということもあり、実際に観測される物価と比べて消費者が感じる「体感物価」は高止まりしています」
と指摘されており、生活必需品の値上がりによる支出増に対して、家計が圧迫感を感じている様子が解る。

実収入が長期的に減っているというデータを検証すると、平成12年~27年までの15年間の実収入平均額(1カ月の平均値)は、平成12年/508,984円→平成27年/469,200円へと推移し、この間に7.9%も減っている。
15年間もの間、家計収入が減り続ける国なんて、もはや“異常”としか言えない。
【参考データ】http://www.garbagenews.net/archives/2045729.html

さらに、各世帯が自由に使えるお金「可処分所得」ベースでは、平成12年/429,338円→平成27年/381,193円と、こちらは11.3%も減っている。
これは、実収入に占める「非消費支出(税金・社会保険料の割合)」の割合が、平成12年/15.6%→平成27年/18.8%に増え続けたことによるものだ。

家計は、給料が減り続ける中で、税金や社会保険料の負担増加と食料品・日用品の値上がりというダブルパンチを喰らってフラフラで、立っているのもやっとの状態であり、消費支出が減り続けるのも頷ける。
モノを買いたくても原資(=収入)が無ければ、どうしようもないではないか。

これだけ実収入の絶対値が低いままだと、今後、ガソリンや食料品が少々値下がりして実質値が増えたところで、何の足しもなるまい。

先日公表された昨年10-12月期のGDP速報値でも個人消費の低迷が顕著だったが、このどん底から這い上がるためには、「実収入」と「可処分所得」の両方を増やす、それも1~2%というチマチマしたレベルではなく、最低でも7~8%、可能なら二桁以上伸ばす気概が必要だろう。

家計の消費心理を強烈に刺激し、その姿勢を「消極から積極へ」と劇的に転換させるには、誰もが実現を訝しむほど大胆な目標設定をせねばならない。

「可処分所得」や実質所得を増やす施策として、社会保険料の国費補填割合の引き上げや消費税やガソリン税自動車税など諸税の廃止や税率引き下げ辺りが有効で、即効性もあるだろう。

一方、「実収入」という所得の名目値を大幅に引き上げるには、大胆な財政支出を通じた実体経済への所得原資の供給が欠かせないし、企業間の雇用条件引き上げ競争を促すために、「景気回復に乗じた給与引き上げが当然の流れだ」という機運を国民が共有することも必要になる。

何だかんだ言っても、企業経営者は周囲の空気や社会の潮流を気にする性質だから、世間の空気が醸し出す力をうまく活用すべきだ。
また、国民の所得増収に取り組む政府の姿勢の本気度を示すためには、金融緩和によるサポートも必要になる。

重要なのは、政府が「国民の所得ターゲット」にコミットし、それを実現するための具体的な政策を打ち出すことにより、国民の心理に「収入増加期待」を醸成させることだ。

金融政策一本足打法や緊縮財政、構造改革みたいなやり方で、収入増加期待を創り出せるならよいが、これまでの実績から、それが120%無理であることは明白であろう。