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うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

需要不足の解消が、人手不足の解消にもつながる

『24時間営業、もうもたない 人手不足に加え「働き方改革」』(J-CASTニュース 1/22)
https://news.biglobe.ne.jp/economy/0122/jc_170122_7113432912.html
「人手不足が深刻化する中、外食や小売業界で、24時間営業をやめたり、正月の休業を増やす検討をしたりする動きが広がっている。広告大手の電通が昨2016年末、違法な長時間労働を理由に書類送検され、長時間労働の是正が社会的課題となっており、営業時間を減らす動きに拍車がかかっているようだ。
外食チェーン大手のすかいらーくは17年1月半ばから順次、主力のファミリーレストラン「ガスト」と「ジョナサン」の深夜営業を大幅に縮小する。24時間を含め、深夜にも営業している店舗は現在約1000店あり、このうち約750店の営業時間を短縮。原則として深夜2時に閉店し、早朝7時に開店する体制に改める計画だ。(後略)」

新聞やニュースで人手不足の声を聴かぬ日はないほどで、これを機に、女性やシニアの活用とか、外国人移民の受入を促す戯言もよく聞かれるが、失業者やニートなどの国内人材を活用すべきという正論は不思議なほど聞こえてこない。

実際に、各種データを見ても建設業やサービス業で不足感が強まっているようだ。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が、全国の中小企業約1 万9千社を対象に調査した「中小企業業景況調査」(2016年10-12月期)の結果によると、
「従業員数過不足DI(「過剰」-「不足」、今期の水準)は、(前期▲15.3→)▲16.2(前
期差0.9ポイント減)と2期連続してマイナス幅が拡大し、不足感が高まっている。
産業別に見ると、サービス業で(前期▲20.0→)▲20.0(前期差0.0ポイント)と横ばいとなった以外は、建設業で(前期▲23.2→)▲27.3(前期差4.1ポイント減)、製造業で(前期▲12.0→)▲13.5(前期差1.5ポイント減)、卸売業で(前期▲9.5→)▲10.4(前期差0.9ポイント減)などすべての産業でマイナス幅が拡大した」
とのコメントがある。

だが、同調査で「今期直面している経営上の問題点」を尋ねたところ、次のような結果となった。
【製造業】
①需要の停28.0% ②生産設備の不足・老朽化11.7% ③製品ニーズの変化への対応11.3%
【建設業】
官公需要の停滞16.2% ②従業員の確保難14.8% ③民間需要の停滞14.0%
【卸売業】
①需要の停滞35.5% ②販売単価の低下・上昇難9.3% ③大企業の進出による競争の激化8.6%
【小売業】
①需要の停滞19.2% ②大・中型店の進出による競争の激化17.7% ③購買力の他地域への流出15.7%
【サービス業】
①需要の停滞18.4% ②利用者ニーズの変化への対応18.2% ③従業員の確保難12.0%

何れの業種も経営上の最大の悩みは「需要不足」や、競合激化など需要不足に関連するものばかりであり、「人手不足」は、巷で云われるほど大きなトピックスにではない。
(ついでに、「デフレの原因は需要不足ではない」とほざくエセ論者の大嘘もバレバレだけど…)

従業員数過不足DIで大きなマイナス値を示した建設業やサービス業でも、人手不足を課題とする割合は12~15%程度でしかない。
製造業や卸売業では一桁に止まり、小売業に至ってはランク外だ。

マスコミや経営者が口にする「人手不足」という言葉の本気度が、実際にはどれくらい深刻なのか、その真意が疑われる。

筆者もあちこちの店舗に貼り出されている求人票に目を通している。
先日立ち寄った総合スーパーでは、婦人服や食品売り場の求人票があり、何れも、「1日8時間勤務、月21日程度、時給800円」という条件で、ほぼフルタイムで、たったこれだけの時給なのかと、他人事ながらガッカリさせられた。

これでは、諸手当などを加味しても月収15~18万円ほどにしかならず、「土日出勤必須&時間が不規則な立ち仕事&クレーマー対応込み」の面倒くさい職に歓んで応募する者は限られるだろう。

経営者が“足りない、足りない”と嘆くのは、「奴隷並みの最低賃金でも黙って働く奇特な人材」が見つからない、と愚痴を溢しているだけのことだ。

とは言え、需要不足のデフレ不況下で「仕入高の売値安」により、販売単価を上げられず、多くの企業が赤字経営に苦しむ現状で、雇用条件を易々と引上げられぬ事情もよく解る。

先述の景況調査のデータからも、企業サイドの最大のネックが「需要不足」にあることは一目瞭然だから、先ずは、これを解消して売上や収益の改善につなげ、賃金引上げの原資を確保できる経済政策を打てばよい。

同時に、労働分配に消極的な企業が内部留保を貯め込みに走らぬよう、損金算入経費の拡大や法人税の強化、労働分配率に応じた減税、社会保険料の国庫負担率引上げなどの施策も必要だ。

何より重要なのは、「景気を回復させ、給料が毎年上昇するのが当たり前」という機運を国民や企業間で遍く共有することだ。
こうした空気の醸成は、意外と効き目があるもので、経営者(特に、企業規模が大きくなるほど)は、世間の空気を気にしがちだから、100%とは行かぬまでも、それなりの効果は期待できる。

いま実行すべきは、外国人労働者受入のための体制整備などではない。
そんなくだらぬことに労力を使う暇があれば、企業にとって喫緊の課題である「需要不足問題」を早急に解消することに全力を尽くすべきだろう。