うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

呪術経済論者に危機感なし

読者の皆様が、とある高校のクラス担任だとしよう。

このクラスには、かつて、学校で一・二を争うほどトップクラスの成績を収めた生徒がいる。仮にJ君とする。

J君は、元々勤勉な性質で、決して裕福な家庭ではなかったが、猛勉強の甲斐もあって急激に成績を伸ばし続けていた。

しかし、夏休み明けのテストでのちょっとしたミスを境に成績が低迷し、以降、「自己改革」だと称して、他校の生徒との交流に熱を上げたり、参考書を熱心に買い集めたりと格好はつけるものの、肝心の勉強はそっちのけ、という状態が続いていた。

そんな中、J君の冬休み前のテストが1000点満点中504点と散々な出来だったので、呼び出して注意すると、J君は反省するどころか、「ここ3回の成績は上がっています。成績が上がってさえいれば何の問題もないでしょ?うちは勉強時間に制約があるから、1~2点ずつしか伸ばせません(# ゚Д゚)」と気色張って反論してきた。

ちなみに、J君の成績の推移は、479点→486点→499点→504点と僅かながら上がってはいるが、J君の実力なら900点以上取っても何の不思議もない。

彼は、勉強時間に制約があると言い訳しているが、実は、他校の生徒とカラオケに行ったり、スマホゲームに熱中して遊んだりしているだけなのだ。
しかも、見栄っ張りのJ君は、小遣いが足りないと親に文句を言うくせに、他校の生徒に気前よく奢っているらしい。

高いポテンシャル無駄にしてまで遊びを優先させ、現実逃避を続けるJ君の将来や如何に?

同僚のS先生(インチキ教科書理論を開陳して、生徒から冷笑を買っている人物)は、“実際、成績が上がってるんだから、問題ないんじゃないの?”なんて甘いことを言っているが、J君は難関国立大学を志望しており、こんな成績では、到底、合格は覚束ない。

読者の皆様なら、J君をどう評価するだろうか?


さて、同じような問題は、我が国にも起こっている。

橋本行革以降、日本の名目GDPはダウントレンドに陥り、小泉改悪によって更なる打撃を被った。
その後、対米輸出増加を柱とする輸出偏重型経済で糊口を凌いできたが、民主党政権や安倍政権が緊縮型の経済運営を継続させてきたため、名目GDPは470兆円台から500兆円前後をウロつくばかりで、力強く漸増する気配はまったく感じられない。

2016年の名目GDPは前年比1.1%増の504兆円を見込むが、これとて、20年以上も前(1995年/501兆円)の水準と大して変わっておらず、“情けない”の一言に尽きる。

日本の名目GDPは、1995年/501兆円(ドルベースで5,335 billion$)→2014年/486兆円(同4,595billion$)と減少しているが、この間の世界全体の名目GDPは、1995年/30,859billion$→2014年/78,045billion$と2.5倍以上に拡大している。

このため、世界のGDPに占める日本の割合も17.2%→5.9%へと大幅に縮小しており、あたかも、「世界に冠たる経済大国」から「one of them」に降格処分を受けたようなものだ。
しかも、IMFの見通しでは、日本のシェアは2016年に5.5%に低下すると予想されており、プレゼンスの低下に歯止めが掛からぬ状況だ。

世界各国が猛烈な勢いで所得を増やす中で、我が国だけが立ち遅れている。
それが、相対的な日本の購買力低下をもたらし、牛肉や豚肉、大豆、小麦、サケやタラなどの水産物等々、様々な産品で外国との競合に敗れ、買い負けを起こしている。

GDPの成長により着実に購買力を増している外国と、成長から取り残されて購買力が縮小する一方の我が国の財務力の差は拡がるばかりで、多くの一次産品を輸入に頼る我が国にとって非常に由々しき問題である。

東南アジアや中南米諸国のように、貧弱なサプライパワーしか持たぬ国なら仕方ないが、我が国には、掃いて捨てるほど十二分な供給力が備わっており、ことサプライサイドに限れば、経済成長を実現させるだけの糧に不安はない。

最大の問題は、ヤル気十分のサプライサイドを活かし切るだけのディマンドパワーが決定的に欠けていることに尽きる。

要は、根拠薄弱な緊縮思考や改革礼賛主義に騙されて、ディマンドサイドの刺激を怠ってきただけなのだ。

こうした惨状を目の当たりにしても、アベノミクス万能論に酔いしれる茹で蛙たちは、「GDPは3年連続増。総生産増=総所得増、GDP増=総所得増だから、何も問題ない、アベノミクス万歳‼」と賛美するだけで、危機感の「危」の字も感じていない。

GDPは3年連続増」と言っても、3年も掛かって479兆円から504兆円へ、僅か25兆円しか増えておらず、増加率は年率でたったの1.7%でしかない。
これまで高度成長を続けてきた国なら、2%以下の成長率でも許されるかもしれないが、20年以上も成長できていない国が、そんな低レベルの成績で許されるはずがない。

成長から逃げ回る「ナマケモノ論者」の中には、“日本の潜在成長率は1%にも満たない”と嘯くバカ者もいる。

だが、高度成長期終了後の1980年辺りから橋本行革がとん挫する直前の1997年まで、我が国の名目GDPの平均成長率は4.6%であり、1998年以降も、せめてこの半分程度の水準で成長を続けていたら、今年の名目GDPは805兆円と推計され、現実の予想値(504兆円)を300兆円も上回ることになる。

この300兆円の差だけでも巨額だが、この間に逸失した名目GDPの累計額は、実に3,140兆円にも及ぶ。
緊縮と改革を柱とする呪術経済学に騙された挙句に、目眩がするほど莫大な富を失い、世界の経済成長レースから取り残されるという大失態を演じてしまったのだ。


冒頭にご紹介した事例のように、100点満点のテストに換算して50点くらいしか取れぬ落ちこぼれが、「前回より1点“も”上がったぞ。問題ないだろ?」と強弁するのを許してはなるまい。
49点でも、50点でも、こちらが求めるレベルに全然足りていないことに変わりはない。
こんなありさまでは、受験どころか落第してしまう。

今すぐに、言い訳ばかりのバカ生徒に鞭を入れて、80~90点を目指し、更なる勉強と追試を課さねばならない。
なにせ、受験の時期(=需要不足の継続により、国富たる供給力が瓦解してしまうデッドライン)は迫っており、暢気に構えていられる余裕なんて1秒もないからだ。