うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

憎悪を生んだ真犯人

アメリカ大統領選挙の結果は、事前の予想を覆しトランプ氏の圧勝に終わった。

現時点の選挙人獲得数は、トランプ氏290・クリントン氏232と大差がついた。

単純な得票数では、クリントン氏の方が僅かに上回ったようだが、獲得選挙人数では惨敗と言える。

今回の結果を受けて筆者の感想や想いは次のとおりだ。

・欧米のバカマスコミは、冷静な分析よりも願望を優先させがちであり、彼らの選挙予想はまったく当てにならない。

・トランプ氏のひととなりがよく判らぬ現段階での過剰な期待は控えたい。

・氏が公約に掲げた「アメリカ・ファーストの原則」、「TPPからの脱退と関税率の引き上げ」、「行き過ぎたグローバリズムの是正」、「野放図な移民の制限」は、ぜひ実行に移してもらいたいが、「政府支出の無駄削減」や「法人税率引き下げ」はやるべきではない。

・日本は、トランプ氏の出方に右往左往するのではなく、「ジャパン・ファースト」の姿勢を貫き、粛々と自国と自国民の利益確保に努める行動を取ればよい。

一連の報道の中で、トランプ当選の報を受けた日本の政府高官が「誰に話せばいいのか分からない。トランプタワーに電話すればよいのか」と不安げに話していたそうだが、こんな低レベルのバカが政府の要職に就いていること自体に呆れるよりほかない。

トランプ氏は昨年から共和党候補レースを優位に進め、当選の可能性はゼロではないのだから、もっと早くからパイプ作りに手を付けておくべきだったろう。

この程度の寝技もできぬとは、日本政府の人材不足は後進国並みのお粗末さだ。

今回の大統領選の結果は、多くのマスコミが驚愕と落胆を以って報じているが、報道の中身は

サイレントマジョリティーの躍動を軸とする勝因分析に始まり、

②人種差別発言を繰り返し、アメリカを孤立主義へと導く(とレッテル貼りして)トランプ氏の姿勢に対して強い懸念を示す

といったワンパターンな内容ばかりで呆れている。

代表的なのが、次の北海道新聞のコラムで、他紙もだいたい同じような記事を書いている。

『トランプ氏勝利 変革求める怒り顕在化』(11月10日 北海道新聞 ワシントン駐在・橋本克法)

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/international/international/1-0336476.html

オバマ大統領が8年前の選挙戦で掲げた、明るい未来に向けた「チェンジ」とは全く異質の「変革」を求める怒りが、今回の大統領選で全米を包んでいたのだろう。誰もが驚く結果が待ち受けていた。しかしその怒りは、全米各所に垣間見えていた。

 オバマ政権の以前から、米国も例外なく襲ったグローバル化の波は、生産拠点の海外移転を促し、国内産業は空洞化した。低賃金で働く移民たちも増えた。国内外の競争激化にさらされて、中間層だった白人労働者たちは今、失業と低賃金にあえいでいる。チェンジが実現しないまま旧来の政治が続くという恐怖。そうした気持ちを抱く人たちに対しトランプ氏は、ベテラン政治家のクリントン氏こそが何も変えられなかった元凶だと決めつけ「すっきり流してしまえ」と訴えて熱狂させた。

 一方の若者たち。格差社会を勝ち抜く学歴を得ようとしても、大学の授業料はこの10年で約1・6倍に。平均3万7千ドル(約380万円)の奨学ローンを背負って卒業しても、好待遇の職が保証されているわけではない。既存政治への不満と絶望する姿は、トランプ氏支持者と重なる。

 しかし人々の不満や怒りをメキシコや中国、既存政治家、不法移民、イスラム教徒などに向けたトランプ氏の手法は、米国民の分断と孤立主義を招いた。(後略)」

グローバリズムと財政緊縮主義に蝕まれた米国社会は、産業の空洞化と雇用・所得の不安定化が常態化し、中間層だけでなく移民を含む低所得者層も過酷な労働環境と未来を見通せない失望感に苛まれ続けてきた。

これは、アメリカだけの問題ではなく、欧州や我が国にも共通する深刻な病なのだが、既存の政治家や官僚、識者、マスコミの連中は、こうした病魔を退治するどころか、「旧弊を打破するために避けられぬ改革だ」、「変革のために我慢すべき試練だ」と大嘘をつき、国民を騙し続けてきた。(率先して騙されるのを好むバカな国民も多くいるのだが…)

北海道新聞のコラムは、“トランプ氏が米国民の分断と孤立主義を招いた”と、単に批判するばかりで、全米の政治地図を塗り替えるだけの強烈なパワーを秘めた米国民のやり場のない憤りとエスタブリッシュメントたちへの計り知れぬ憎悪を癒し、改善しようとする姿勢はまったく見受けられない。

貧困化していく国民に向かって、ただただ我慢と忍耐を強いるしか能がない連中ばかりではないか。

「米国民を一部の富者と多数の貧者に分断したのは誰なのか?」

「過度な開放主義(=幼稚なグローバリスム)は、孤立主義を上回る便益や富を国民にもたらすことができると、定量的に説明できるのか?」

底の浅い識者どもは、こうした疑問に対して、正確に回答すべきだ。

北海道新聞の別の記事には、米国初の女性大統領の誕生を夢見ていた女子大生の「トランプ氏の支持者は少数だと思っていたが、サイレント・マジョリティーだった。憎悪をあおる人物が大統領にえらばれる社会はどこかおかしい」とのコメントが掲載されていたが、いかにも底の浅い意見だと思う。

そもそも、社会全体に憎悪を生み出した人物は誰なのか?

クリントン氏をはじめとする既存のエスタブリッシュメントの連中は、その憎悪に気づけなかったのか?、そして、憎悪を癒す努力をしてきたのか?

こんなことに疑問すら持てぬ連中に、政治を語る資格なんてない。