うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

目的の達成こそが最優先

6月12日(日)に言論ポータルサイト「進撃の庶民」に寄稿したコラム『働き者の日本人は、もっと幸せになってよいはず』(http://ameblo.jp/shingekinosyomin/theme-10086866565.html)について、本日、同じくコラムを寄稿なさっておられる『みぬさ よりかず様』の『お金と仕事の話し』(6月15日付け「進撃の庶民」に掲載)というコラムで本稿をお採り上げ頂き、様々な御指摘を頂戴しました。

みぬさ様の御指摘を受けて、別の角度から自分の論考を見つめ直すことができ、とても勉強になりました。

改めて御礼を申し上げるとともに、本エントリーを以って、ご指摘に対する当方の見解を添えたいと思います。

(※本来であれば、進撃の庶民のサイトのコメント欄に回答すべきですが、文書が長くなったため、こちらに掲載させていただきます)

さて、私自身は、積極的な財政金融政策を主張する者ですが、常識的なお考えをお持ちの方から見れば、経済成長や国民所得向上のためには、日銀による国債の直受けや政府紙幣の発行、ベーシックインカムさえも辞さず、といった具合で、まさに“重度の積極財政金融論者”と呼ばれても仕方ありません。

自ブログでも、毎度くどくどと財金政策を訴えている私ですが、経済政策を論じる際には、次の5点に立脚して論考しています。

1.たとえ高度な職能スキルを有していなくとも、相応の収入を得ることができ普通に暮らせる社会を実現すること(しがないサラリーマン、タクシーやトラック運転手、居酒屋の店員、警備員、あるいは、女手ひとつでも十分に生活できる社会)

2.国民が、今日より明日の暮らしが良くなることに一片の疑問を抱かずに済むよう、連続的且つ永続的に経済成長を続ける社会を実現すること

3.付加価値を生み出し国民生活向上に資する「供給力」こそが真の国富であり、それを維持向上させるためには栄養分や燃料となる「需要力の創出」が欠かせぬこと。

4.バブル崩壊以降、25年以上も続いている経済停滞によって逸失した累計数千兆円にも及ぶ莫大な国富や国民所得を絶対に且つ速やかに取り戻し、国民に還元する必要があること

5.人類が営む社会活動や経済活動は、所詮、人間の都合で行われているものに過ぎないから、プレーヤーたる人間が最大限の利益や幸福を得られるよう、トレードオフ的思考や二項対立的な発想を捨て、ルールや仕組みを柔軟に変えればよいと考えていること

以上の点を踏まえて、今回のご指摘に対してお答えしたいと思います。

【インフレ懸念について】

現在の日本経済は、身の丈に比べて着る服のサイズが大き過ぎる状態にあり、GDPの1割程度の実需(実際には貯蓄分がかなりレスされると思いますが…)であれば、インフレ率はせいぜい4%以内に収まると思います。

GDPの膨張は、数量だけではなく、製品やサービスの単価UP(付加価値向上)という形でも生じますので、現有の供給力でもかなり無難にこなせると思っており、“所得増加=需要急増=悪性インフレ”になるような懸念はないでしょう。

また、日本のような経済構造においては、供給が需要を喚起する力よりも、需要が供給を成長させる力の方が遥かに強力ですから、実需を狙って企業の新規参入や技術革新が活発化し、瞬く間に供給力が増強され、インフレも沈静化されるでしょう。

私も、実社会において企業の技術開発熱を間近で見てきましたが、デフレ不況の間であってもそうした企業の研究熱は衰えることを知らないものです。

ましてや、需要がより確実視されるインフレ期であれば、より積極的な研究投資や生産能力UPのための投資が行われ、一時的なインフレギャップなど瞬く間に解消させるでしょう。

こうした好況下なら、企業の技術開発投資も実需によって報われて、より強力な投資資金を得て、さらなる供給力拡大が実現されるでしょう。

【勤労意欲の減退懸念について】

「勤労意欲」の定義をどのように捉えるかによって、この点に関する懸念の度合いは変わってくると思います。

私は、仕事に対して、

①自発的且つ意欲的な態度で臨むこと

②クリエイティブな発想、収益を追求する貪欲さを持って臨むこと

が勤労意欲だと考えており、生活のために仕方なく、あるいは、不本意な雇用形態に甘んじたままで嫌々働かせられる状態を「勤労意欲が満たされている状態」とは捉えておりません。

よって、現状のように、非正規雇用者の割合が4割近く(厚労省統計より)に達し、正規雇用であっても7割近くがストレスを抱えたまま止むを得ず働かざるを得ない状態(エン・ジャパン社調査より)においては、すでに国民の勤労意欲は実質的に崩壊しているものと理解しています。

つまり、長年の経済無策により労働意欲は地に堕ちかかっていると認識しており、家計支出の一部を国庫で補填したとしても、勤労意欲はこれ以上悪化するどころか、労働者は大きな経済的サポートを得て、より前向きに働ける環境が整うことになります。

こうした現状を打開するには、家計支出において大きなウエートを占める住宅費負担をサポートするのが、最も早道且つ消費者心理を好転させるインパクトも大きいだろうと考えます。

家計の資金繰りに掛かるストレスを軽減することにより、労働者は、より集中して仕事に向き合えますし、生活費を稼ぐため、無理矢理、意に沿わぬ仕事に執着する必要もなることで前向きな意味での転職に対する垣根も低くなり、労働者自体の価値向上にもつながるでしょう。

貧困ビジネスの暗躍について】

大きな経済政策の裏には必ず影の部分がつきまとうもので、あらゆる汚れやシミを一掃するという訳には参りません。

低賃金労働者に集る悪徳業者による貧困ビジネスの件も、そうした汚れの一部と言えるでしょう。

個々の事例を看過する訳には行きませんが、大きな船を動かす際には、船底にへばりつく雑魚をいちいち気にするよりも、船を出航させることを優先すべきで、そうした雑魚は、長い航海の途中で、司法の手を借りて個々に除去するしかありません。

【格差是正策としての適性(給付金or税制改正)】

格差是正を検討するうえで最も重要なのは、上下格差の拡大云々よりも、中下位層の所得の絶対値を維持して、中間層や低所得者層の没落をいかに防ぐか、という点だと思います。

ややもすると、エセ分配派の連中のように「格差社会=金持ちがより金持ちになる社会」だと誤解する者もいますが、本当に深刻なのは、中間層や低所得者層のフローとストックが棄損され、絶対的な貧困層が増え続ける点でしょう。

本来なら700~800万円くらいになっていてもおかしくないサラリーマンの平均年収が、いまや400万円を切りかねない有り様です。

こうした所得の絶対的な不足感と折りからの日配品の値上げや増税等が相俟って、個人消費は長らく低迷し、それが企業収益を圧迫してさらに家計所得を締め付ける、という負のスパイラルに陥っています。

こうした負のスパイラルから抜け出すためには、中低所得者層の所得の絶対値を上げてやる必要があります。

年収300万円の家計の年間の税負担は30~35万円くらい(社保料除く)でしょう。

私は、所得税負担の見直しや消費税廃止を支持する立場ですので、中低所得層に寄り添った税制改正をやること自体には賛成なのですが、それを完璧にやったとしても、年間に増やせる実質所得は、せいぜい30万円程度が限界です。

これだけでは、実質所得の絶対値が、あまりに足りなさ過ぎます。

家計の消費意欲を前向きに転換させるには力不足を否めず、真の意味で格差を是正するためには、所得そのものをもっと大きな単位で増やせる政策が必要です。

そのためには、強力且つ長期間にわたる財政金融政策が欠かせませんが、その効果が隅々まで浸透するまでには若干の時間を要するでしょう。

それゆえ、本筋である財政金融政策の波及効果の到着を待つ間に、人々がいらぬ疑問を抱かぬよう、家計の期待を先取りできる強力な経済政策を同時に打っておく必要があります。

以上が、みぬさ様の御指摘に対する私なりの回答になります。

最後に、改めて、貴重なご指摘を頂いたみぬさ様に御礼を申し上げるとともに、引き続きのご指導をお願いしたいと存じます。