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うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

事業承継対策は急務、国や金融機関は実のあるサポートを!

筆者も業務の関係上、中小企業の経営者と話をする機会が多いが、経営者の高齢化が年々進んでいることを実感する。

東京商工リサーチの調査によると、2015年の全国社長の平均年齢は、前年より0.2歳延びて60.8歳になったそうで、事業承継手続きが遅れていることが窺える。

社長の年齢分布は、特に70代以上の社長の構成比が上昇する一方、30代以下は伸び悩み、社長の高齢化に拍車がかかっているようで、社長年齢と業績の相関では、社長が若年なほど「増収増益」企業の比率が高い傾向がある一方で、社長が70代以上ほど「赤字」企業率が高らしい。

また、2015年の「休廃業・解散」企業は、社長が70代以上の企業が全体の4割(46.5%)を占めており、承継が進まぬうちに廃業せざるを得ない企業が数多くある。

筆者が話をする経営者(たいがいは50~70歳代)も、元気な経営者ほど、業績の良し悪しに関係なく後進に道を譲ろうとする気がさらさらなく、辞めたがっている経営者ほど、バトンを受けてくれる後継者がいない、というジレンマに陥っているケースが多いように思う。

特にバブル崩壊後は、親族間承継の割合がめっきり減り、内部昇格や外部招聘など第三者承継との逆転現象が起こっている。

高齢の経営者の口から、「こんな貧乏会社を息子に継がせるのは忍びない。借金をできるだけ増やさないようにして、早いうちに会社を畳んでしまいたい」という愚痴をよく聞かされる。

地方の企業経営者の中には、早い段階で息子を役所や農協、商工会などに就職させ、会社は自分の代で閉める、と廃業に向けた準備をしているところも多い。

国においても、国内企業のほとんどを占める中小企業の事業承継問題を大きな課題と捉えており、毎年の中小企業白書に必ず問題を指摘する記載があるし、承継の相談窓口として、全国に「事業引継ぎセンター」を設置して専門の相談員を配置している。

また、事業承継税制の創設や拡充により、後継者の相続税・贈与税の負担軽減に関する支援策を整備している。

だが、企業の休廃業・解散件数は、2013年をピークにやや減少傾向にあるものの、2015年には約2.7万件にも達し倒産件数の3倍以上にも上っている。

廃業の理由としては、経営者の高齢化や後継者難、業績ジリ貧などが上位を占めるが、廃業に追い込まれるのは赤字企業ばかりではない。

中企庁のデータによると廃業企業の44%が黒字経営だったそうで、本来なら企業として存続できる可能性のあったものまで、後継者難を理由に廃業を余儀なくされるのは、雇用の受け皿を失うという意味で大きな損失である。

このままでは、あと20年もすると国内企業の20%くらいは消失してしまい、700万人分近い雇用の場が失われるだろう。

事業承継が一向に進まぬ背景には、中小企業の業績悪化と承継に際しての資金問題(相続税・贈与税、金融機関に対する個人保証)の二点に集約されよう。

ろくな売上も上がらぬ中小零細企業の社長の椅子なんか譲られても、年収300~400万円くらいしか取れないうえに、製造から営業、総務、クレーム対応まであらゆる業務をおっかぶされた挙句、年がら年中、元請けや銀行に頭を下げっぱなしといったところが関の山で、まさに「名ばかり社長」もいいところだ。

こうした事態を打開するには、実体経済に溢れんばかりの資金を供給して、笊で掃いて捨てるほどの事業機会を創出してやる必要があろう。

そうでもせぬ限り、これといった経営資源や特殊な独自性を持ちえない中小零細企業に生き残る術はない。

たとえゾンビ企業と揶揄されようとも、事業を継続し雇用を維持できる方が、廃業や倒産により雇用の場を失ってしまうよりも百万倍もマシだと思う。

新規に起業して一から事業基盤を構築するまでには、多大なリスクと膨大な時間を要するため、同じ企業とはいえ、場末のゾンビ企業と比較すると、非常な危うさと脆さを内包しており、雇用の場としては心許ない。

腐っても既存の事業基盤を有している企業は、新規創業者とは違う安定感を有している。

また、承継に当たっての後継者の資金問題解消については、既存の事業承継税制や経営者保証ガイドラインの大幅な見直しが必要だろう。

現在の事業承継税制は、一定の条件下で相続税・贈与税の納税を“猶予する”に止まり、“免除する”わけではない。

2015年に制度が拡充されたが、その内容は、親族外承継を対象化、雇用8 割維持条件の一部緩和など小手先の改正に過ぎず、大半の企業から“まったく使い物にならない”と無視されたままだ。

中小企業の株式なんて、どうせ流通性はゼロの紙切れ同然(株主総会もやってないし…)なんだから、そもそも時価評価する必要もない。(筆者は、中小企業に「株式」なんて必要なのか、「株式会社」という形態をとる必要があるのか? とさえ考えている)

誰にでも解かりやすいように、後継者に簿価での取得を認め、相続税や贈与税なんて免除してやればよい。

そんなものは、税として搾り上げてもたかが知れているし、事業承継対策費として毎年度予算化している莫大な量の事業費の削減にもつながる。

後継者の個人保証についても、300~500万円を限度とし、それを超過する金額は無保証で取り扱うべきだ。

中小企業経営者の資力など端から当てにできないし、経営が傾いて銀行が個人保証を求める頃には、どうせ資力はゼロどころかマイナスになっているケースがほとんどで、いくら金消契約にサインしていても、実効性はゼロに近い。

後継者が思い切って承継という選択に踏み切れるよう金融機関も協力すべきだし、個人保証免除によるリスク増加分は、貸出金利の上乗せ(2~3%くらい)でカバーすればよい。

いざという時に当てにならない個人保証に頼るよりも、日常の貸出取引において利息として徴求しておく方が、確実にリスクヘッジできるだろう。

我が国においては、ここ10年余りで40万社近い企業が消失し雇用の場は崩壊の一途を辿っている。

中でも、国内企業の99%以上を占める中小企業は雇用の受け皿として欠かせない存在であり、その維持存続のために、国や金融機関はさらなる譲歩に踏み切るべきだ。