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うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

成長戦略の「矢」は、規制緩和ではなく、『需要の創出』であるべき

4月28日に公表された日銀の金融政策決定会合の資料では、熊本地震の被災地の金融機関を対象にした総額 3,000 億円の被災地金融機関支援オペ(ゼロ金利貸出)以外に、これといった追加材料がなく、日経平均も急落した。

肝心の経済や物価の見通しについては、「わが国の景気は、(中略)2018 年度までを展望すると、当面、輸出・生産面に鈍さが残るとみられるが、家計・企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、新興国経済が減速した状態から脱していくことなどを背景に、緩やかに増加するとみられる。このため、わが国経済は、基調として緩やかに拡大していくと考えられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面0%程度で推移するとみられるが、物価の基調は着実に高まり、(中略)消費者物価の前年比が、「物価安定の目標」である2%程度に達する時期は、2017 年度中になると予想される」とし、相変わらず、“景気は緩やかな拡大基調にあるものの、物価目標の達成はまたもや先送り”の一点張りで、まるで「そば屋の出前」のような嘘をつき続けている。

日銀が満を持して世に問うた「マイナス金利政策」の効果がさっぱり見えず、資金運用益の低下という実害を被った身内の金融機関からも、公然と不平不満が出る有り様で、各方面から、金融政策の在り方に対する異論が噴出している。

ただし、異論といっても、筆者のような機能的財政論の立場からのものはほんの僅かで、その多くは、野放図な規制緩和万能論や財政シバキ上げ論に則った頭のおかしな連中らの口から発せられている。

その一つが、同日の日経朝刊のコラム「大機小機」で、『マイナス金利と政策論の倒錯』という表題を掲げてマイナス金利政策を批判している。

コラムの要旨は次のとおり。

・一部の経済学者はマイナス金利政策を肯定するが、現行のマイナス金利政策は、名目金利をマイナスにして、プラス状態にある実質金利を自然利子率(需給ギャップが埋まり完全雇用状態となる利子率)に近づけ、投資の活性化による景気回復を狙うものだが、この話は倒錯している。

短期金利をマイナスの自然利子率に近づけて、一時的に不況脱出をしても長期的なマイナス成長は不可避のままだ。

・日本経済研究センターのリポートによると、日本の自然利子率がマイナスになっているのは供給要因のせいであり、ここを改善せぬ限り長期的な成長は望めない。

・一時的に需給ギャップを埋める政策ではなく、長期的な視野に立ち、構造改革などの成長戦略に本気で取り組むべき。

要は、

・マイナス金利政策なんて、プラス状態にある実質金利を一時的に引き下げるだけの弥縫策に過ぎない。

・マイナス金利需給ギャップを埋めるためのカンフル剤(=財政政策)みたいな如何わしい政策に頼るな。

構造改革規制緩和のような成長戦略で日本経済を筋肉質に変化させないと、長期的な経済成長は望めない。

と言いたいわけだろう。

だが、当該コラムには、緩みきった日本経済の救世主たるべき「成長戦略」とやらについての具体的な記述はまったくなかった。

そこで、同日の日経新聞を嘗め回すように見てみると、『「的」ばかりの成長戦略に「矢」をこめよ』という社説に答えが書かれてあるのを見つけた。

“日経流成長戦略の矢”とは、

・女性・高齢者・外国人材の就労増を柱とした働き方改革による生産性向上

・企業や個人が自由に動けるための規制緩和

・個人が持つモノや能力、時間をインターネット経由で他人に貸し出し、対価を得る仕組み

・民泊の促進

・自家用車による有償の配車サービス

だそうで、これらを「第4次産業革命」と称し、日本を“世界で一番ビジネスのしやすい国”にすべきだと力説している。

天下の日経新聞が主張する「成長戦略の矢」の内容が、こんな幼稚なレベルなのかとがっかりさせられる。

この程度の内容なら、社会に興味のある高校生の学級新聞でも書けるだろう。

綺麗な言葉で修飾したつもりだろうが、平たく言えば、“パート労働の増加、定年の延長、不良外国移民への門戸開放、ノマドワーカーの活用、違法宿泊施設や白タク行為の追認”が第4次産業革命のカギとなる、と言っているに過ぎない。

これで“産業革命”を称するとは聞いて呆れる。

胸を張ってこんなくだらぬ提言をして恥ずかしくないのだろうか?

違法宿泊施設や白タクを公認するくらいで景気が回復するのなら、とっくの昔にデフレ不況など終わっているはずだし、高度なスキルを持つノマドワーカーも引く手あまたになっているはずだが、厳しい現実はそんな夢想を許してはくれない。

日経新聞は、“規制緩和を徹底して世界で一番ビジネスのしやすい国にすることこそが、成長戦略の原点である”という趣旨の主張を繰り返しているが、それは違う。

ビジネスしやすさは、規制の緩急よりも需要力の高さによって決まると考えるのが自然だからだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙および米ワシントン最大手のシンクタンクヘリテージ財団が公表している「経済自由度指数ランキング(通貨安定・汚職・労働の自由・財産権の保護・ビジネスの自由度など10項目で評価)」で144位(2016年)に沈んでいる中国が、対内直接投資ランキングでは堂々の1位(2014年)に輝いていること一つを取っても、規制の有無なんて、ビジネスのしやすさにほとんど関係ないことが解る。

中国が144位になった主な理由は、「財産権の保護」、「汚職」、「労働の自由」への低評価によるものだが、アメリカを抜き去り圧倒的なトップの地位を築いている。

ビジネスの世界では、儲けのネタさえあれば規制なんて大した障害にはならない。

必要とあらば、現地の役人にちょっと賄賂を握らせれば済む程度の話なのだ。

日経新聞のような規制緩和万能教の信者は、改革や規制緩和さえ唱えておれば、万事丸く収まると勘違いしているようだが、白タクを追認したところで、いったい誰が利用するというのか?

全国ハイヤー・タクシー連合会のデータによると、2013年の全国タクシー業界の営業収入は1,752,092百万円とピーク時(1991年)の2,757,034百万円と比較して37%近くも縮小しており、回復の兆しがまったく見えていない。

一方、車両数は2014年で24万台と、ピーク時(2006年)の27万台から12%しか減っておらず、マーケットが縮小する中での減車が進んでいない。

かような過当競争状態を放置して、白タクの新規参入を認めるなど本末転倒であり、増車する白タクの利用者は、いったいどこから湧いて出てくるのかと釈明を求めたい。

奇しくも、総務省による3月の家計調査にて1世帯当たりの消費支出が前年同月比5.3%減と大きく落ち込んだと公表されたばかりであり、長引く不況の要因が供給要因ではなく需要不足によるものであることは誰の目にも明らかだ。

日経新聞に群がり、構造改革教や規制緩和万能教を唱えるだけの寄生虫は、いい加減に現実を理解すべきだろう。