うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

"ダメノミクス"との決別を

今月16日に総務省が公表した「労働力調査(詳細集計) 平成27年(2015年)平均(速報)」によると、“2015年平均の役員を除く雇用者5284万人のうち正規の職員・従業員は,前年に比べ26万人増加し3304万人、非正規の職員・従業員は18万人増加し1980万人”となったそうだ。

これを受けて、“それみろっ! アベノミクスの成果が(やっと)出たじゃないか”と大喜びしている論者(リフレ系金融緩和万能論者)が若干いるようだが、すっかり冷え込んだ国民や企業の消費・投資マインドを勘案すれば、大負け確定の試合で贔屓の選手がヒットを打ったとはしゃいでいるだけにしか見えない。

総務省の公表データを見れば、確かに、2015年平均の正規職員数は対前年比で26万人ほど増えている。(非正規雇用数も順調に増えているが…)

その内訳を収入別にみると、100~199万円/13万人と低所得層の人数が減る一方で、300~399万円/+11万人、400~499万円/+11万人、700~999万円/+17万人、1000~1499万円/+8万人と増加しており、良い傾向にあると言える。

また、年齢層別に確認すると、最も多いのが45~54歳で+26万人、次いで55~64歳/+7万人、65歳以上/+7万人と中高齢層の増加が目立つ。

一方、15~24歳/+4万人、25~34歳/―7万人、35~44歳/―8万人と、若年層では、一部を除いて全体的に減少傾向にある。

つまり、雇用者のうち中高齢者が増え、若年層は減っており、収入ベースでも比較的上位の階層の人数が増えているのは、こうした人口動態が影響していると思われる。

加えて、人口の多かった団塊世代が徐々に職場から去り、定年退職や再雇用後の定年を迎える世代の人口ボリュームが小さくなっていることもあるだろう。

ちなみに、1949年生まれの人口は269万人もいるが、その後は、1950年/233万人、1951年/213万人、1952年/200万人と十万人単位で減っている。

つまり、高齢層の雇用者人数が増えているのは、単に定年を迎える年代の人口ボリュームが細まったところに、比較的人口の多い1967~1976年生まれの年代の遷移が重なっただけのことだろう。

正規雇用者数は、長期トレンドで見ると、データのある2002年の3489万人をピークに、一時期を除いて減少の一途を辿っており、2015年の数値がちょっとだけ増えたというだけのことで、それも人口動態による要素が大きいと推測する。

過去にも、2005年〜2006年/+40万人、2006年〜2007年/+34万人と大きく増えた例があるが、その後の景気回復につながったかといえば、結果は見てのとおりだ。

昨年に正規雇用者数が増え、収入階層のレベルも向上しているとしたら、多くの国民がアベノミクスの成果を実感できず、消費を減らしているのは、いったいなぜだろうか?

産経新聞社とFNNの合同世論調査(1月24~25日実施)では、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」による景気回復について「実感していない」が78.2%に達し、「実感している」は16.3%に止まっている。

また、「アベノミクスが成功しているかどうか」については、「成功している」は22.4%と「成功していない」の61.3%を大幅に下回ったそうだ。

総務省の家計調査(二人以上の世帯)平成27年(2015年)12月分速報 (平成28年1月29日公表)でも、消費支出は、1世帯当たり 318,254円と前年同月比実質4.4%の減少(名目4.2%の減少)となり、勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり900,229円と前年同月比実質2.9%の減少(名目2.7%の減少)と、こちらも減り続けている。

しかも、消費税増税のおかげでガクンと落ちた2014年比でマイナスなのだから、事態は深刻だ。

さらに、正規雇用者が増えているはずの職場の労働環境は悪化している。

厚生労働省は23日、長時間労働が疑われる企業5031事業所に対し重点監督を実施した結果、74%にあたる3718事業所に労働基準法違反があったと発表した。46%の2311事業所で労使協定を超えるなど違法な時間外労働があり、24%の1195事業所は厚労省が過労死のリスクが高まると位置づける「過労死ライン」(月80時間の残業)を超え、過酷な長時間労働が浮き彫りになった。(2月23日付け毎日新聞ニュース)」

http://www.cybozu.net/news/national/20160224k0000m040073000c.html

嵐の合間に訪れた一過性の晴天を喜びたい気持ちも解かるが、国民の肌感覚や消費行動をつぶさに見れば、アベノミクスの成果など全く信用できない。

リフレ派の連中は、相変わらず、金融緩和政策は間違っていない、アベノミクスの成果は出ている、と現実から目を反らして強弁し、何か都合の悪い指標が出ると、消費税増税のせいだ、と言えば済むと思っているようだ。

しかし、経済財政諮問会議産業競争力会議に提出された資料を見ても、アベノミクスの真髄は、経済成長ではなく「財政健全化」にあり、消費税増税はその根幹を成す重要政策である。

つまり、不可分の関係にあるアベノミクスと消費税増税を切り分けること自体に無理があり、アベノミクスを支持しながら消費税増税を否定するのは大いなる矛盾だと言える。

現実逃避しかできないリフレ派の連中が、「正規雇用数は増えている」、「失業率は下がっているじゃないか」、「非正規雇用といえども失業するよりマシだろ?」と強がるのはいいが、そんな屁理屈は、生活苦に喘ぐ多くの国民の耳には届くまい。

先に紹介したアンケート調査結果と消費支出のデータが、現実を如実に物語っている。

他人から、景気は良くなっているはずだと諭されても、実際に自分の収入が増えていないのなら、余計なお金を使う気にはなれない。

アベノミクス信者がどう思おうと勝手だが、一般の家計なら、毎月の収入が少なくとも2~3万円は増えないと、収入アップを実感することはできないだろう。

日銀の黒田総裁は、いまだに、異次元緩和やマイナス金利の効果を信じて疑わない(疑えない)ようだが、残念ながら、それらは実体経済にとって、せいぜい、温熱効果くらいの影響しかない。

身体が温まるのは良いとして、長年の空腹に耐えかねている企業や家計の身になれば、それで十分とは言えない。

いま、何より必要なのは、携帯用カイロなどではなく、空腹感を満たせるだけの大量かつ良質な食料と飲料であり、売上や所得に直結する経済政策だろう。

リフレ派の連中は、虫眼鏡でしか見えない小さな手柄を見つけてはしゃいだり、効果の出ない経済政策に固執したりするのではなく、企業や家計のフローとストックを直接的かつ速やかに改善できる政策をきちんと提案すべきだ。