うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

株価と改革だけで経済を語るバカ者

本原稿を書いている時点で、日経平均株価は前日比800円以上値下がりし、15,000円を割り込んでいる。

しかし、筆者は株価の動向に一喜一憂する気はない。

年金基金機関投資家の運用、企業の決算などを考慮すれば、当然、株価は高いに越したことはないが、ここ2年間くらいのチャートを見ると、日経平均は上下7,000円くらいの値幅で変動しており、少々値下がりしたとて大騒ぎする必要もなかろう。

問題なのは、『日経平均株価=日本経済を映す鏡』だとばかりに、株価が上がるたびに“一喜”するバカな連中が、政官財の要所要所に充満していることだ。

こうしたマヌケな連中が、株価上昇に乗じて、“景気回復だ”、“トリクルダウン効果だ”と大騒ぎするが、そのたびに、経済政策は金融政策のみで事足れりという風潮が蔓延し、肝心要の財政政策が選択肢から巧みに除外されてしまう。

昨年10~12月期のGDPも、多くのエコノミストがマイナス成長を予測しており、景気の減速が顕在化しているにも関わらず、特効薬たる財政政策を求める声は皆無に近い。

株価がちょっとでも上がると“景気は着実に回復している”と鼻息が荒くなるくせに、株価が暴落しても、不思議と景気対策を求める声は上がってこないものだ。

さて、ここ数日の株価下落を受けて、その要因を日銀のマイナス金利政策に求める意見が相次いでいる。

先月29日にサプライズ発表されたマイナス金利政策の狙いは、実質金利引き下げによる投融資の活発化や円安・株高の演出にあると言われ、中には、最大の借り手である日本国の財政救済だという暴論まで飛び出すありさまだ。

確かに、マイナス金利が発動して2週間余りの間に起ったことは、当初の目論見を裏切ることばかりだが、その功罪について現時点の株価のみで判断するべきではない。

個人的に、マイナス金利政策は、日銀が望むような効果、特に、投融資の活発化につながる可能性はゼロに近いと思う。

なぜなら、日銀やリフレ派の連中が夢想するほど、実体経済の投融資は『実質金利の高低』の影響を受けていないからだ。

企業や家計が積極的な投融資に踏み切るには、調達した元本+利子分以上の収益を得る確信が必要になるはずだが、現状の実体経済には、そのような収益のチャンスが転がっているようには思えず、少々金利(実質金利)が下がったからといって、投融資に前のめりになれる者は、そう多くは居るまい。

一方の為替や株価の動向については、マイナス金利政策のみに影響を受ける性質のものではないから、現状の円高・株安の責めを、マイナス金利のみに負わせるのは酷だろう。

所詮、マイナス金利政策なんて金融政策の一アイテムに過ぎず、そもそも、マクロ経済を大きく動かすほどのパワーは持っておらず、せいぜい、金融市場の低金利をダラダラ継続させるだけに終わるだろう。

そんな些末な政策に目くじらを立てる必要もない。

また、“マイナス金利の失敗でアベノミクスの限界が見えた”という台詞にも違和感を覚える。

アベノミクスは、マイナス金利のような奇策に頼るより遥か以前の、政権発足直後以降の経済運営において財政政策を蔑ろにしている時点で、既に限界を迎えていたからだ。

アベノミクスは、とうの昔に限界を迎え、その効力を失っている。

先日、とあるニュース番組でマイナス金利が取り上げられ、番組の司会者が訳知り顔で、「黒田総裁はマイナス金利という思い切った賭けに出た。日銀はやるべきことはやっており、いまやボールは政府側にある。政府は、早急に財政健全化の道筋をつけ、構造改革規制緩和を断行すべきだ」と意味不明な解説をぶっていた。

この寝惚けた司会者のように、政府側のやるべき政策オプションとして、「マイナス金利+緊縮財政+構造改革規制緩和」の四点セットを挙げるバカ者の無神経さと不勉強ぶりには激しい憤りを覚える。

「マイナス金利+緊縮財政+構造改革規制緩和」と景気回復との間に、いったい何の関係があるのか?

経済の本質を理解できずに、「緊縮・改革=良いこと」という思い込みに酔っているから、こんな周回遅れの台詞が口をつくのだろう。

この類いの“改革バカ”こそ、前述したとおり、株さえ上げれば景気が良いと錯覚する幼稚な「株価経済主義者」の最たるものだろう。

だが、経済に無頓着なのは、マスコミだけではない。

政府は経済政策を日銀の金融政策に丸投げするだけで、自らタクトを振ろうとする気概は全く感じられない。

「景気回復」という言葉が躍るだけで、そのために何が必要なのかを全く理解できていないから、株価や為替の動向に右往左往するばかりで、イニシアティブを取ろうとしない。

また、日銀も、異次元緩和政策やマイナス金利をはじめ、マーケットに対するサプライズや市場に与えるインパクトの大きさばかりを気にするだけで、その先にある実体経済への気配りが足りない。

だが、実体経済の主役は企業や家計であり、そこを直接的に刺激する経済政策でなければ何の意味もない。

玄人ぶって、日銀にマーケットとの対話の重要性を説くバカをよく見かけるが、政府日銀とマーケットとの“内輪話”や“サプライズごっこ”なんて、どうでもよいのだ。

円安や株高だと騒いでも、そういった経済因子を実業の糧にするだけの資金力がなければ、そんなものはただの雑音に過ぎない。

政府や日銀が真に対話すべきは、実体経済を司る企業や家計であり、そこへ投ずべきは、「緊縮財政+構造改革規制緩和」の毒薬3点セットではなく、そうした経済主体の懐を直接的に潤せる政策でなければなるまい。

果たして、「マイナス金利+緊縮財政+構造改革規制緩和」のような愚策がそれに相応しいものか否か、ちょっと考えれば子供でも解かるはずだが……