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うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

欲しいモノを躊躇なく買える世の中に

『自販機離れに悩むメーカーがとった「苦肉の策」』(NEWS ポストセブン 1月24日(日)、

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160124-00000005-pseven-bus_all

上記のニュースサイトによると、消費税増税に伴う消費の減退やスーパーなど量販店との価格差による消費者の「自販機離れ」が起こり、販売チャネルとしての飲料自動販売機の在り方が踊り場を迎えているそうだ。

一般社団法人日本自動販売機工業会が作成した「自販機普及台数及び年間自販金額(2014年版)」によると、日本には約503万台(台数ベースで対前年比1.1%、金額ベースで同5.0%)の自販機が設置されており、その内訳は、「飲料」256万台、「たばこ」23万台、「券類(乗車券等)」4万台、「カード類(プリカ等)」86万台、「自動サービス機(コインロッカー等)」125万台、その他9万台となっており、飲料自販機がおよそ半数を占める。

また、自販機による総売上金額は4.9兆円に上り、うち飲料自販機によるものが2.2兆円と44%近くを占めている。(ちなみに、アメリカの自販機設置台数は645万台、自販機売上は4.1兆円ほど)

ポストセブンの記事では、「自販機の台数は減るどころか増え続けて飽和状態になっている」という記述があったが、上記資料のデータから、増税や電気料金値上げ、コンビニのカウンターコーヒー人気などの影響を受けて設置台数は減少しているとされており、この部分は誤りだろう。(飲料自販機の台数は対前年比で0.9%)

さて、飲料自販機は清涼飲料販売数量の約30%を占めるだけでなく、唯一の「定価販売チャネル」として、清涼飲料メーカーの収益の6割以上を稼ぎ出すドル箱とも言われている。

このため、メーカー各社では、何とか販売量を死守すべく、ライバルメーカーとの連携に取り組んでおり、様々なメーカーの売れ筋飲料が混在する“オールスター機”の設置に励んでいるそうだ。

特に、昨年5月に、業界2位のサントリー日本たばこ産業JT)の飲料自販機事業を約1500億円で買収し、JT子会社のジャパンビバレッジホールディングスが保有する飲料自販機17万台を手中に収め、既存の自販機49万台と合わせて66万台となり、飲料自販機83万台を有する業界トップの日本コカ・コーラグループに肉薄したことから「2強多弱体制」が確立された。

これを機に上位メーカーと下位メーカーとの差が一気に広がり、下位メーカーが生き残り策として他社との乗り合いを進めているようだが、対症療法の域を出ず、根本治療には至らないだろう。

確かに、自販機でジュース類やお茶を買う機会は減っている。

量販店に行けば、自販機の6割から半額近い金額で缶ジュースやペットボトル飲料が販売されており、ただでさえ不況下での財布の紐を緩めようとしない消費者にとって、自販機で定価買いするのがバカバカしく思える。

また、高齢者人口比率の高まりに伴い、元々、自販機で物を買う習慣がない層が増えた影響もあるだろう。

こうした事態を踏まえて、メーカー側では、先の他社との乗り合いのほか、内容量を減らした低価格商品や自販機専用商品を開発するなど試行錯誤しているようだが、いずれも決定打に欠ける印象だ。

このままでは、マクドナルドやユニクロのように、勝手に高付加価値戦略を強行し自爆するパターンを辿ることになる。

財布の中身が増えず支出に対して非常にシビアになっている家計の眼は、供給サイドが考えているよりはるかに厳しい。

マックのように、“高付加価値化”は口だけで、実態は、単なる便乗値上げに過ぎないことを消費者に見破られると、売上げ下落に歯止めが効かなくなるだろう。

消費税増税前に100円で買えた缶コーヒーが、税額8%になってから130円にも値上がりしたのでは、消費者の納得も得られまい。

もろもろの経費UPを勘案しての価格設定だろうが、消費者はそんな事情まで考慮しない。

多くの消費者は、税額が8%しか上がっていないのに価格が30%も上がることに納得していない。

しかも、パッケージを変えただけで、商品そのものの付加価値に何の変化も見受けられないようでは、都合のよい便乗値上げではないかと反感を買うだけだ。

マイボイスコム株式会社による調査(自動販売機に関するアンケート調査、2014年5月実施)によると、自動販売機選定時の重視点として、「種類が豊富」(47.0%)、「価格の安さ」(34.4%)が上位を占めており、購買において価格が持つ訴求力が大きいことが解かる。

缶ジュース単体でモノを考えると、100円から130円という値上げ幅は30%にもなり、かなり大幅な値上げ率に見える。

しかし、10万円のPCが13万円に値上がりしたのとは訳が違い、金額だけで見れば値上げ幅は、たったの30円に過ぎない。

しかも、先ほどのマイボイスコム株式会社による調査でも、缶ジュースを自販機で購入する頻度は、月に1~3本以下という回答が7割以上にもなり、支出金額の絶対額で見れば、せいぜい、月に90円ほど支出が増えるだけのことで、大した金額ではない。

問題なのは、その程度の些細な支出にも目くじらを立てざるを得ないほど、消費者が追い詰められているということだろう。

総務省が公表する消費支出(二人以上の世帯)は、平成27年11月に対前年同月比2.5%となり3か月連続でマイナスを記録し、昨年は11月までの11か月のうち8か月でマイナスを記録している。

個々の業界の売上状況を見ると、コンビニ、スーパー、ドラッグストアなどのように好調な業界もあるが、その分、大型家電量販店や自動車、タクシー乗客などの売上が減っている。

全体の消費額が伸びていない以上、何処かが儲かれば、何処かが割りを食うだけのことだ。

業界ごとの売上推移を横に並べてグラフにプロットすると、高い山と深い谷が混在し、“山高ければ谷深し”という格言を地で行くようなグラフが描かれるだろう。

だが、マクロ視点での経済成長を目指すのであれば、こんな有様を放置すべきではない。

“民間のことは民間に任せて”なんて呑気なことを言っているうちに、山の数が減り谷ばかりになってしまう可能性もあるのだ。

実体経済を積極的に刺激し、売上拡大の恩恵に与ることができる業種を増やし、プロットしたグラフに険峻な頂を数多く出現させる一方で、可能な限り谷の部分を少なくするような経済政策が必要だろう。

21世紀にもなって、缶ジュース一本を買うのに逡巡させられる国民が、いまだに多くいることに対して疑問を持つべきだ。

安倍政権が苦し紛れに打ち出した「新三本の矢」のようなフワフワした目標をいくら立てても何の役にも立たない。

まずは、現在の長期不況の原因が、所得の低迷や雇用の不安定化に起因する需要不足にあることを認めるべきだ。

そのうえで、少なくとも、一般的な所得水準の国民であれば、欲しいと思ったモノや食べたいと思ったモノを躊躇なく買ったり食べたりできるような経済環境を創り出すことを目指したい。

数値的な目標に当て嵌めると、現在410万円ほどのサラリーマンの平均給与を4~5年以内に750万円程度に引き上げ、ゆくゆくは900万円程度を目指すことを当面の目標とすべきだ。

バブル崩壊後の逆噴射政策さえなければ、この程度の水準は軽くクリアできていたはずだから、これまで怠けていた分も含めて、強めに財政金融政策のアクセルを踏み込めばよい。

供給制約だの、人手不足だのといった文句も出るだろうが、こうした文句や障害の存在こそが生産性アップへの財源となり、そうした課題をクリアするための対価を生み経済成長の栄養源になるだろう。