うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

環境の変化に対応しきれない(自称)経営者たち

ユニクロ、大幅減益 暖冬で冬物不振 昨年9~11月』

“衣料品大手「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、暖冬で大幅減益となった。7日に発表した20159~11月(第1四半期)の決算は、売上高は海外出店などで前年同期比8.5%増の5203億円だったが、営業利益は同16.9%減の759億円にとどまった。

 ユニクロの国内の既存店売上高は9,10月は前年を上回ったものの、平年より気温が高かった11月は8.9%減と大幅ダウン。保温機能のあるヒートテックやフリースなどの売れ行きが苦戦したという。世界的にも暖冬で、海外でも冬物衣料がふるわなかった。

 12月も暖かさは続き、国内の既存店売上高は前年より11.9%減だった。ファーストリテイリングは通期の業績予想を下方修正し、売上高を19千億円から18千億円に、営業利益を2千億円から1800億円に引き下げた。(201617朝日新聞デジタル)“

 

 

国内衣料品販売大手のユニクロの経営が踊り場を迎えている。

 

上記の報道に関する東洋経済オンラインでは、最近の業績不振の要因を

ユニクロは円安に伴う原価の上昇を理由に、秋冬商品から約2割の商品を平均1割値上げしている。2014年に続く2年連続の値上げとなり、割高感は強まっている。岡崎CFOは「値上げの影響は限定的」とするが、客離れが起きていることは否めない。

 国内大手証券のアナリストは「暖冬の影響が一番大きいが、値上げが消費者に十分支持されていないことも国内不振の背景にある」としたうえで、「たとえばウルトラライトダウンは3割近い値上げなっているが、それに消費者がおカネを払うか疑問だ」“

と解説している。

 

今回の決算説明において、ユニクロの岡崎グループ上席執行役員CFOから、「想定を超える暖冬だったことに加え、暖冬でも売れる商品構成になっていなかった」、「品番数の増加により焦点がぼやけ、(テレビCMやチラシで)個々の商品の付加価値を伝えきれなかった」との説明があったが、要するに、企業の都合でコストプッシュ分の値上げを強行したが、それが商品自体の付加価値向上を伴わない一方的な値上げであったため、実質賃金が伸びていない消費者から敬遠されてしまった、ということだろう。

 

ユニクロ側は「暖冬という環境の変化」を言い訳にしたいようだが、それは、当社の柳井社長の経営哲学を否定する考え方ではないか。

 

当の柳井社長は、2010年に上梓した「ユニクロ柳井正一 仕掛けて売り切るヒット力」(ぱる出版)の中で、次のように力説している。

<インタビュアー>

ユニクロがよく売れるのはデフレやバブル崩壊と関係があるのか。

 

<柳井氏>

“「全く関係ない。日本国内以上に海外でよく売れている。景気が良い中国でも、ニューヨークやパリでも、韓国でもよく売れる。客単価も昨年より増えた。

私たちの名前を取り上げてデフレを合理化するのは受け入れられない。どこがデフレなのか。

私たちの看板商品のヒートテックセーターは1500円だ。ほとんどの競合他社の商品は1000円以下だ。それでも売れない。

私たちは05年、主要国内新聞の1面で‘ユニクロは低価格をやめる’と宣言した。価格に比べて良い商品という言葉は聞きたくない。ただ良い商品だと評価されたい」“

 

当のユニクロは、柳井社長の宣言どおり2年連続で商品価格を値上げし、文字通り“低価格を止めた”わけだが、結果はご覧のとおり惨憺たるものだった。

 

柳井氏の哲学が正解ならば、“商品力さえあればデフレなんて関係ない”はずだが、現実はそれほど甘くはない。

国内市場で大幅な減収減益に転落したばかりか、頼みの海外市場でも、中国以外の韓国、米国、台湾、香港では、景気低迷の影響を受けて計画を大きく下回ったり、大幅な減益を余儀なくされている。

 

同書のまえがきには、こう書かれている。

「小売りを取り巻く環境は常に激変している。複雑な要素が絡み合い、今日の小売り環境は昨日のそれとは一変している。小売りの経営者はそうした日々激変する環境にビビッドに対応しなければならない。」

 

この書籍では、山口の田舎のみすぼらしい衣料品店に過ぎなかったユニクロを、一代で国内を代表するトップメーカーに育て上げた柳井氏こそが、激変する経営環境を上手く乗り切ってきた真の成功者であるとヨイショしているのだが、果たして、激変する環境にビビッドに対応して値上げを強行した柳井氏の経営判断は正解だったのだろうか?

 

今回採り上げた書籍だけではなく、「環境の変化に適応した者こそが真の勝者」という言葉は、経営学を語るうえで、もはや定石の域に達していると言ってよいだろう。

 

しかし、本当に環境の変化を読み取れる経営者は、案外少ないものだ。

 

多くの経営者は、「実体経済の環境の変化」よりも、自社や自身の経営目標の方を優先させがちになる。

家計の実質所得は減り続けているにもかかわらず、ユニクロのように、自社のブランド力を過信して、原材料の高騰を消費者に押し付けて反発を食らい失着を重ねる事例は枚挙に暇がない。(マクドナルドも同じ失敗を繰り返している)

 

今回のような経営判断のミスが横行するのも、大手企業の経営者自身が、デフレや不況を直接的に体感できていないせいだろう。

 

経団連の連中のように、“アベノミクスと旺盛な外需の取り込みにより日本経済は着実に回復している(はず)という「物語」”を前提に経営判断しようとするバカ者が後を絶たないが、切迫する実体経済から目を背け、自分が勝手に創り上げたサクセスストーリーに溺れているだけだ。

 

彼らのような現実を読み切れない無能な経営者こそ、“環境の変化に対応しきれない絶滅危惧種”だと言ってよいだろう。