うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

経済政策の目的は、国民生活を向上させること

8月24日に起こった中国発の世界同時株安により、東証株価は一時的に1,000円を超す下落に見舞われ、この原稿を書いている25日午前中の時点でも、前日のNYダウ下落の影響もあり続落の状態だ。

マスコミ各社は、マーケットを襲った大激震を大きく報じ、誌面には「世界同時株安」、「止まらぬ株安連鎖」等といった文字が躍っている。

今回の世界的な株安の報道を受けて、いまさら中国バブルの崩壊に驚く面々もいるようだが、中国の経済指標の如何わしさについては、かなり以前から、多くの識者によりGDP指標の水増しが指摘されていた。

また、数年前から、中国国内では、肝心の供給サイドがアンコントローラブル状態に陥っており、中国だけで、欧州全体の鉄鋼生産能力一年分を軽く上回るほど膨大な量の生産在庫を抱えるなど、もはや、産業とか事業の態を成していない。

需要サイドの無駄を揶揄する言葉が「穴を掘って埋める」だとすれば、中国の供給サイドの無様な有様は「鉄やマンションを造って捨てる」といったところか。

もしも、直近まで、中国経済が張子の虎だと気付かずに、成長市場だと本気で信じていた者がいるとしたら、早急に顔を洗って出直した方がよい。

さて、今回の株安を受けて、(筆者が仕方なく取っている)新聞に、とある外資系証券会社のチーフ・マーケット・ストラテジスト(名称が長過ぎ…)のコメントが載っていた。

コメントの内容は、今回の株価急落は楽観的見通しに基づいていた株価水準の修正だとしたうえで、中国経済の実態はかなり悪化しており、米国の成長力も落ちていると指摘している。

そして、「今後必要なのは(国内の)人口減対策や社会保障制度の持続性確保など、構造改革で日本経済への信認を高める政策だ」と結んでいる。

この手の“たこつぼエコノミスト”の言うことは、寝ても覚めても“構造改革(と規制緩和財政再建)”の一点張りだ。

雨が降っても構造改革、雪が降っても構造改革、と年柄年中、改革を叫ぶしか能がない。

今回の世界的な株安の背景には、どうみても、中国をはじめとする新興諸国や欧米諸国の先行きに対する不安、つまりそういった国々の需要力に対する不信感から生じたものである。

つまり、成長著しいと言われて久しい新興諸国や途上国だけでなく、景気回復が伝えられていた欧米諸国も含めて、世界規模での需要力が予想以上に低下しているのを見越した動きだと言ってよい。

そんな時に、国内の需要力向上にほとんど関係のない社会保障制度の改革や人口減対策という名の女性等の労働市場進出を後押ししたところで、株価は上がるはずがない。

女性や高齢者の労働市場への進出は、供給力を無駄に増やすだけで、ただでさえアンバランス状態にある実体経済の需給バランスを更に大きく損ない、労働条件や雇用条件の悪化を招くだけだ。

また、社会保障制度の改革と言えば聞こえは良いが、その実は、年金受給条件の改悪や医療保険負担の引上げに他ならず、国民負担は間違いなく増加し、消費者の財布の紐は、より一層固くなるだけだろう。

そもそも、人口減対策や社会保障制度の持続性確保に疑義を抱いて株を売る変わり者なんて、この世に存在しないだろう。

それから、いまさら“日本経済への信認云々”というのもおかしな話だ。

というのも、株価の急落を経て、日本経済どころか「日本そのもの」に対する信認は、既に上昇済みなのだから…

日本国債10年ものの利回りは、昨日時点で0.35%とここ1年余りのピーク比で0.2ポイント以上低下し、徐々に最低水準に近づいている。(GDPの倍以上の“借金”にもビクともしない)

また、恒例の「有事の円買い」により、円相場も118~119円と直近ピーク比で6円近くも上昇している。

周回遅れ気味の似非エコノミストにとやかく言われるまでもなく、日本経済は既に世界的な信認を獲得しており、何の心配もない。(自身の下らぬコメントに対する信認をこそ気にすべきだろう)

政界では、こうした一連の株価急落の動きを見て、政府に対する補正予算の要求が高まりつつあり、筆者としても少なくとも15兆円以上の支出、それも、できるだけ消費を直接且つ長期間刺激し続けられる施策を望みたい。

だが、補正予算組成の起点は、あくまで低迷する需要力の下支えとすべきであり、決して株価対策であってはならない。

株価の動向に一喜一憂して経済政策を決めるなど愚の骨頂である。

GDPや国民所得を直接的に刺激することのない株価のようなどうでもよい指標を、経済政策の重要指標に位置付けてはならない。

重要なのは、国富である国内の供給力(技術力・生産力・サービス提供力等)の維持向上であり、そのために必要十分な量の資金(供給力の養分となる需要力)を、インフレ率とのバランスを睨みつつ、実体経済に供給し続けることだ。

一日も早く、日本経済を持続的な成長軌道に乗せるとともに、中小企業や家計に対する適切な所得配分を行えるよう、要らぬ改革や規制緩和を正し、累進性の緩んだ税制を元に戻して中下位層への富の分配を急ぐべきだ。

国家の経済政策は、国民生活の向上を図るために行うべきであり、株価急落の尻拭いをするためにやるものではない。