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うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

「消費税は安定財源」という妄想

相変わらず国内経済の動きは冴えない。

9月の首都圏マンション販売戸数は、3,336戸に止まり前年同期比44.1%と大幅に減少している。

消費税増税前の駆け込み需要の反動減がいまだに尾を引いており、これで前年比減少は8ヵ月連続となり、さらに2ヵ月連続で前年比40%以上の減少となったそうだ。

アベノミクス初期段階の恩恵を蒙った筈の首都圏の住民ですらこのていたらくなのだから、リフレ派のバカが強弁していたトリクルダウンやタイムラグとやらは、一体何時になったら具現化するのかと気が遠くなる。

 

ここ数日は、頼みの綱の株価も欧米市場の暴落につられて15,000円を割り込むなど、世界経済の見通しに不透明感が漂っている。

株価は、あくまで経済活動の状態を観る指標の一つに過ぎないが、その動きからユーロ圏やアメリカの景況感悪化懸念が広まっている兆候を読み取ることができる。こういった状態が長く続けば、やがては、欧米市場を主要マーケットとする新興諸国にも悪影響を及ぼすだろう。しかも、欧州では、頭の固いドイツが、頑迷に財政政策の実施を拒んでおり、事態を打開する糸口は見えない。

幼稚な新自由主義者の連中は、海外マーケットの開拓にしか眼が行かないようだが、低迷するマーケットの状況を見てどんな言い訳をするのか訊いてみたいものだ。

 

さて、安倍首相は消費税の10%への再増税12月にも判断すると伝えられているが、増税の言い訳になりそうな指標はほとんど見当たらない。(そもそも、恒久的な増税判断を四半期の経済状況を基に判断すること自体が大間違いなのだが…)

民主党時代に比べれば株価は上がっている」というお約束のセリフも、もはや負け犬の遠吠えにしか聞こえない。

安倍ファンの連中も、さぞやフォローに頭を痛めていることだろう。

 

だが、首相をはじめ与党や官僚機構サイドに再増税見送りの動きは見えない。

現時点では、このまま12月に再増税宣言を強行するものと予想する。

何と言っても、残り2ヵ月を切る段階に至っても、増税法案廃案の準備作業の兆しすら窺えないし、“赤いストール・うちわ・歌舞伎座”という攻撃アイテムを手に入れた野党側も、それを武器に再増税見送りを迫るような迫力はない。あくまで、個々の大臣への攻撃に止まり、局所的な戦功狙いに終始している。

これでは、首相がさっさと問題のある大臣の首を挿げ替えてしまえば、致命傷を負わせることはできないだろう。

 

確かに、4月の増税後の経済指標は冴えない。最後の砦であった株価も落城寸前だ。

第一・第二の矢の効果が切れかかっているところに、消費に対するペナルティーを科したのだから、それも当然のことだ。

だが、この程度では、首相が再増税を延期することにはならないだろう。

「日本は財政危機」、「消費税は社会保障を支える重要な財源」、「消費税は安定財源」という伝家の宝刀が温存されている限り、そう簡単に再増税の旗を降ろすことはない。

 

元来、国民や世論は、国の借金とか財政赤字という言葉にめっぽう弱いから、口では文句を言いながらも、増税への反発は予想以上に低いものと思われる。

原発運動、集団的自衛権特定秘密保護法みたいな左翼の闘争意欲を擽るビッグイシューに比べれば、増税に対する怒りの度合いなどたいして大きくはない。

増税してしばらくは、生活が大変だ、弱者切り捨てだなどと愚痴をタレるだろうが、社会保障費や国の借金という印籠を突き付けられた途端、渋々と生活防衛に舵を切り始め、その矛先は官僚の無駄遣いや公共事業叩きに向けられるだろう。

 

今回は、消費税増税の言い訳ワードのうちでも、頭の悪い経営者層がよく用いる「消費税は安定財源」という妄言について検証する。

消費税は平成元年に導入されて以来、510兆円の水準を保ってきた。おおむね平成2年~8年の間は5~6兆円、平成9年~25年の間は910兆円をキープしており(今年は15兆円余りの税収を見込む)、これが安定財源と呼ばれる所以だろう。

だが、これを『安定』と呼ぶべきだろうか。

 

上記のように、消費税収は3%5%8%という税率引上げのタイミングでこそ増えているが、税率変更後はほとんどイーブンペースに近い動きをしている。視点を変えると、税収は階段状の軌跡を辿る動きしかできず、それを増やそうとすれば税率引上げしか手がないというまことに厄介な税金だとも言える。

本来なら、経済の成長に伴い民間の消費活動が拡大し、同時に消費税収も漸増するはずだが、現実はそうなっていない。税率引上げ後の税収グラフは平行線を描き右肩上がりになることはない。

 

消費税は、くどくど説明するまでもなく非常に逆進性の高い税金であり、景気低迷期の税率引上げは、低中所得層の購買力を削ぎ、経済のデフレ化に強く作用する毒薬である。

毒薬ゆえに、経済成長にマイナスの負荷を掛け、経済の拡大を阻害する。

それは、平成元年の消費税導入以降、名目GDPの成長率が鈍化し、平成9年の税率引上げ以降、成長すら止まってしまったことからも明らかだ。

消費税が経済活動の足を引っ張り、それが原因で消費税収が頭打ちになるという悪循環に陥っている。

 

日本以外の国々では、経済成長やそれに伴う税収増加が当たり前の世界で、アベノミクス効果で平成26年度の税収が50兆円に増えそうだ(これでもピーク時より10兆円も少ない)と大喜びするなど、海外から見れば失笑もののレベルだろう。

安定財源と持ち上げられてきた消費税収も、15年もの間910兆円辺りをウロウロするだけで、これでは安定財源どころか単なる「固定財源」、あるいは、一向に増えない「不良財源」に過ぎない。

 

経済の世界では、変化のないことを「安定」とは呼べない。

拡大や成長が当然の世界において、「一定」とか「増えも減りもしない」ことを安定と呼ぶことはできない。成長する他国との相対比較において、変化しないことは「後退」や「敗北」の部類に分類される。

本当の安定財源とは、昭和55年から平成元年までの10年間に大幅に伸びた所得税(10.8兆円→21.4兆円までほぼ倍増)法人税(8.9兆円→19兆円まで110%以上の伸び)みたいなものを指すのであり、税率を上げなければ増えないような税源は安定財源でも何でもない。

 

そもそも、肝心の経済政策をほったらかしにしておいて、安定的な税収に頼ろうとすること自体が間違っている。

税率を弄って税収を増やそうとするのではなく、税の源であるGDPを増やすことにこそ精力を傾けるべきだ。。

 

妙なヒロイズムに酔って国民に痛みを押し付け、(偽りの)安定財源を確保できたと仲間内で得意顔をするバカな政治家が後を絶たない。

だが、そんな逆噴射政策に昏倒して政治生命を掛けるなど愚の骨頂だ。

大規模かつ長期的な財政金融政策という当たり前の経済政策を実行し、経済を巡航速度に乗せて拡大させ、消費税のみならず全ての租税が、居眠りをしていても着実に増えるような環境づくりこそが重要だろう。