うずらのブログ

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窮国内閣の『売国の方針』

「私の第3の矢は悪魔を倒す」 安倍首相が英紙に寄稿

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140630-00000505-san-pol

630日付の産経新聞で報じられた記事によると、「安倍晋三首相は30日付の英紙フィナンシャル・タイムズに、「私の『第3の矢』は日本経済の悪魔を倒す」と題した論文を寄稿し、経済再建なしに財政の健全化はあり得ないと述べて、日本経済の構造改革を断行する考えを表明した」そうだ。

 

思い上がりも甚だしいとしか言えない暴言だが、こういった言動から察するに、やはり安倍首相は生粋の新自由主義者且つ構造改革主義者で、アベノミクス3本の矢のうち、第の矢を最重要視していることがよく判る。

 

安倍首相が、いかに第の矢的な新自由主義政策に心酔しているのかは、624日に閣議決定された骨太の方針や成長戦略とやらを読めば理解できる。

これらは、産業競争力会議経済財政諮問会議の議論をそのまま踏襲した(焼き直した)もので、まさに第の矢そのものと言ってよい。

 

今回は、その「骨太の方針(経済財政運営と改革方針2014について)」を採り上げてみる。

(詳細はこちらを参照いただきたい→http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2014/decision0624.html

 

まず、小泉バカ政権時代に作られた「骨太の方針」というネーミングをそのまま踏襲していることでも判るように、安倍政権は小泉改革(改悪)の後継者気取りであることを隠そうともしていない。

また、「経済財政運営」とか「改革」といった緊縮的な色彩の強い語句を前面に打ち出していることからも、経済成長ではなく、成長にキャップを嵌めることを前提とした改革運動(既得権益イジメ)を志向していることが読み取れる。

 

さて、肝心の骨太の方針だが、その基本思想は次の3点に集約される。

アベノミクスの成果が十分に浸透し、もはやデフレは終結したという認識

小泉改革がやり残した改革の完遂による民間主導の小さな政府型社会構造の実現

③財政健全化への強いこだわり

 

そして、そうした基本思想をベースに、

①消費税率引上げに伴う反動減への対応

②経済好循環を更に拡大し、民需主導の経済成長につなげるための成長戦略の強化・深化

③日本の未来像に向けた制度・システム改革の実施

④経済再生と両立する財政健全化の実現

という4つの取り組むべき課題を挙げている。

それらを端的にまとめると、

・消費税増税の反動減は想定内の範囲に収まっており問題ない

法人税を引き下げるとともに市場を積極的に開放し、世界一ビジネスがしやすい環境や企業大国を目指す

・女性や高齢者、外国人を活用するとともに、正社員偏重型の労働慣行を流動化させる

・裁量的経費や義務的経費の区別なく聖域なき歳出見直しを図る

という内容で、そこには、経済のパイを拡大しようとする積極的な意図は全く見当たらない。

さすがに、正面切って移民政策推進を標榜するのは国民の反発を招くと危惧したのか、外国人の活用を単独で項目立てするのは避けたようだが、“外国人材の活用は移民政策ではない”と言い訳がましい一文を挿入するのは忘れていないようだ。

 

これらの政策をまともに実行すれば、法人個人を問わず経済のパイの拡大をせぬまま、ますます競争が激化するだろうし、女性・高齢者・外国人という低賃金労働層の増加による正規雇用者の枠の縮減や賃金の抑制が進むであろう。

また、健康長寿とか言いながら、定年を70歳まで伸ばして、社会保障の負担軽減を図ろうとする見苦しい意図も見え隠れしている。

 

一方で、法人税減税に関しては、実効税率を来年度から20%台まで引き下げると何度もしつこく記載するなど、法人、特に大企業への過度な優遇に偏った極めて問題の多い内容である。

骨太の方針には、財政再建の項で「経済再生なくして財政健全化はない」などと謳っているが、経済再生の具体的な切り札に関する記述はなく、「歳出の重点化・効率化、成長志向型の税体系、経費の聖域なき見直し、民間能力の活用、選択と集中、優先順位、公務員改革、財政の質の向上」といったいかにも財政削減臭の強い言葉がずらりと並べられており、とてもじゃないが、経済再生に取り組む姿勢など微塵も感じられない。一部に、農林水産業や中小企業の躍進に触れた個所はあるものの、実現可能性の極めて低い努力目標を並べただけのもので、記載されている支援施策なども既存の公的支援の域を出る内容ではない。

恐らく、“低賃金層の活用による名目賃金の抑制+法人税減税=経済再生”というのが、彼らなりの答えなのだろう。

 

筆者が期待する国土強靭化など惨憺たる扱いで、「社会資本整備については、厳しい財政状況の下、国民生活の将来を見据えて、既設施設の機能が効果的に発揮されるよう計画的な整備を推進する必要がある」とのっけからキャップを嵌められた挙句に、「集約・活性化、都市・地域再生等の観点からの社会資本の整備目標についての重点化・優先順位付け、インフラの利用の在り方、効果的・効率的な政策手段の在り方等について見直しを行」うとされ、「新設するものについては、計画・設計段階から整備、維持管理、更新等に係るトータルコストの縮減に努める」と厳しい監視下に置かれる始末だ。

しかも、随所に民間資金の活用だの、コンセッション方式だのインフラファンド市場の創設だの、レントシーキングくさいいかがわしい言葉がちりばめられている。

国土強靭化はすでに骨抜きにされたといってよい。

これでは、15年以上も縮減され続けてきた社会インフラの積極的な整備推進など夢のまた夢だ。

東京オリンピックや震災被災地の復興など目につきやすい地域はともかく、北海道、山陰、四国、九州など地域経済の強力な振興策が必要な地域への予算配分もみじめなものになるだろう。

 

この骨太の方針は、全般的に地域経済の衰退や少子高齢化といった課題を根本的に解決しようとするものではなく、その場しのぎの弥縫策に終始する内容だ。そして、その薄っぺらな内容を糊塗するために、財政再建とか改革、オープンな国づくりなどといった日本人が抵抗しづらい言葉を並べ立てているだけだ。

そこには、失われた15年や20年の間に逸失した国富を取り戻したうえで、世界に先駆けて力強い経済成長を実現しようという強い意志は全くない。

骨太どころか、寄木細工のボロ家の方針というのが相応しい。

 

ところで、この骨太の方針とやらを読んで気づいたのは、第一の矢である大胆な金融政策に関する記述が殆どなかった点だ。

金融緩和に関する記述は、冒頭の紹介部分の他には、最後の章で「日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待する」という一文しか見当たらない。

これは、骨太の方針の冒頭部分にある「リーマンショック後の景気対策として臨時的・例外的に行われた対応を危機対応モードから平時モードへ切り替え、通常の施策に戻す」という一文と強い関わりがある。つまり、第一の矢と第二の矢の役割は、消費税の10%への再引き上げ決定までという安倍政権からのメッセージだと理解すべきということだ。

 

国土強靭化を軸とする第二の矢に対する冷たい対応はすでに記述したとおりだが、事実上のインフレ目標を導入されて浮かれているリフレ派のバカな連中も、いい加減に目を覚ますべきだろう。

 

昨今のガソリンや一部の食料価格などの高騰は、アベノミクスの恩恵を受けていない多くの企業や家計の懐を直撃しており、バカマスコミは過度な円安による輸入価格上昇の影響だと盛んに報じている。

ただでさえ、4月からの消費税増税の悪影響を糊塗するのに必死な安倍政権にとって、悲願である10%への再引き上げの障害になりうる可能性の芽をできるだけ排除しておく必要があり、現在、国が行う各種の補助金などで採択基準の引き下げや早期の支出奨励など大盤振る舞いの措置が施されている。それだけ政権側も必死なのだろう。

 

こうした状況下で、過度な円安や金融バブル、商品市場の高騰をもたらしかねない大規模な金融政策がバカマスコミの槍玉に挙げられ、政権側が過剰反応して出口戦略を模索し始めるような事態も十分想定される。ただでさえ、事実上の財政ファイナンスだと非難されがちな現行の量的緩和政策は、財政規律を守るという大義名分を振りかざされると反論しづらいのも事実で、安倍政権としても、何が何でも死守せねばならないほどの制約はない。

 

骨太の方針は、まさに安倍政権の意志そのものであり、そこには第の矢しか描かれていない。

のっけから脱線気味の第二の矢を支持する者はともかく、安倍政権の構造改革路線を無批判に支持するなど政権の飼い犬紛いの行為に熱中してきたリフレ派の連中は、自らの出口戦略をいまからよく考えておくべきだ。