うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

経済政策の波及に必要なもの

1年ほど前に始まったアベノミクスは、平成24年度の補正予算での13兆円の財政支出や昨年の春先からの大型の金融緩和による円安効果により、建設業界や輸出型産業を中心に業績回復の兆しが見え、小泉バカ政権から民主党のデタラメ政権時代にかけて滅茶苦茶に破壊された日本経済もようやく底を打つ気配が感じられる。

今年の経済3団体による新年の賀詞交換会では、経営者からベア復活の声が聞かれ、15日に行われた経団連の経営労働政策委員会(春闘での経営側の交渉指針を定める会合)報告では、ベースアップを明言こそしなかったが6年ぶりの賃金引上げに前向きな表現が盛り込まれた。

こういった動きが実現し、労働層(一部大企業に限定されるが…)の所得上昇につながることに期待したい。政府首脳が経営者層に賃金UPを直接要請するのは、政府の立場や役割を逸脱する異例のパフォーマンスと批判する向きもあるが、マスコミがこういったやり取りを報道することにより、景気が上向けば賃金を上げるのは当然という世論の醸成に一定の効果を発揮するのは間違いない。

今回、ドケチで強欲な経済団体のトップから、まがりなりにも賃上げの言質を取ったのは、安倍政権の成果と評価する。

だが、この流れが政権の思惑どおりトリクルダウンして実体経済へ波及するかどうかは、まだまだ未知数だ。

なぜなら、今年の春に控える消費税増税TPP問題、くすぶる労働規制緩和の動き、金融緩和に起因する円安や原発稼働停止がもたらす原材料やエネルギーコストの上昇、補正ベースで見れば縮小気味の新年度予算など、力強い成長を抑え込むキャップを嵌められた経済環境に大きな変わりはないからだ。

相変わらず、政府高官や官僚、バカマスコミなどは、経済成長の種を探すよりもムダの削減に熱心だし、円安効果による製造業の国内回帰の動きも、製造拠点が中国から東南アジアにシフトしただけで、まだまだ鈍いままだ。

アベノミクスの恩恵を受け始めた大手企業とそれが及ばない中小企業とのパワーバランスや体力格差はますます拡大しており、消費税増税分の価格転嫁は相当困難な状況だ。

実際に、筆者が購読する(原発運動に熱心な)新聞社が家計向けに取った今年の賃上げ見通しに関するアンケート調査では、およそ7割が「期待できない」と回答し、「すでに賃上げがあった」と「期待できる」という回答は合わせても1割に満たない。

ニュースで景気が良くなったと聞くが、いったい誰の話なのか、というのが本音だろう。

実際に、中小企業の多くは、長引くデフレ不況の影響でバランスシートをかなり棄損しており、多少の景気回復があってもバランスシートの修復を優先せざるを得ず、しばらくは賃金アップまで手が回らないだろう。

リフレ派を自称する一部の論者の中には、トリクルダウン方式の経済思想に立脚し、景気回復の波が全国に波及するまでには時間が掛かるもんだと平気な顔で言い放つのんきなバカ者がいる(成長自体を諦める緊縮財政派の大バカ者よりマシだが…)が、そんな悠長なことでは多くの中小企業や地方経済は救われない。

デフレ脱却期の経済対策に重要なのは十分な量の予算規模と執行のスピードである。

それらが小さかったり、鈍かったりすれば、その間、恩恵に預かる者とそうでない者との格差がますます広がり、波及の速度が鈍るどころか、効果そのものが隅々まで波及しえない事態にもなる。

そうなってしまえば、富がいびつに偏在したままの歪んだ社会構造が放置されることになり、人心の荒廃が進むことだろう。

現状の経済情勢を冷静に見つめると、輸出型企業や建設業、運輸業、鉄鋼業など一部の業種で明るい兆しが確認できるものの、大部分の業種や地域で景気回復を実感できないまま、円安や脱原発の影響による原材料やエネルギーコストの高止まりによる負担感や圧迫感が先行しており、経済環境に対する不満のエネルギーは却って膨らんでいるものと推測される。

多くの企業や家計は、ニュースで見聞きするアベノミクスの実感を早く得たいと焦っており、先に景気回復の果実を味わった大企業や高額所得層への怨嗟や不満が高まっている。

当初は好意的に受け止められた円安政策も、ガソリン高や食糧価格高騰を招いて自分達の生活を圧迫する悪手だと反発を買いかねない状況だ。

また、アメリカやEUでは金融緩和政策の継続を快く思わぬ意見や勢力が広がりつつあり、この先、金融緩和政策のスピードにブレーキが掛かる恐れもある。こういった動きが本格化すれば、合理的な理由もなく海外の動きに歩調を合わせようとする圧力が強まり、日本の金融緩和政策にも負の圧力が掛かる可能性を拭いきれない。

多くの国民やマスコミは、元々、黒田バズーカの意義や狙いを正確に理解していたとは言い難く、本来は邪道なやり方だが、アベノミクスの雰囲気に呑まれて何となく受け入れてしまったとする見方が正確だろう。

金融緩和政策の意味や役割を理解しようとせずに、単に金利を低くしたり株価を上げるためのカンフル剤で、いつ迄も続けるべきじゃない異例の処置だとボンヤリ捉えているだけだ。だから、ちょっとでも金融緩和の弊害が出ると、すぐに拒絶反応がでる。

この先、消費税増税による景気停滞や景気後退などの反動が出れば、安倍政権に対して攻撃的になっているバカマスコミが、金融緩和でマーケットに溢れたマネーがバブルや過度な円安を引き起こし物価を上昇させて庶民の生活を苦しめると煽り始めるだろう。

最近では、肝心の日銀内でも、従来から大規模な金融緩和政策に反対色の強い2名の審議委員に加えて、2-3名の委員が寝返りしそうだと懸念する報道がある。

このまま、経済効果のトリクルダウンのスピードや量の改善が図られないと、アベノミクスの効果を実感できない中小企業や大多数の家計は、「インフレ」という言葉自体に強い拒絶反応を起こすようになると思われ、2%インフレターゲット達成に向けて正念場にある黒田日銀は、これから大きな試練を迎えることになる。

恐らく、経済効果の波及よりも消費税増税後の駆け込み需要減の反動や消費の落ち込みが先行し、再び質素倹約や構造改革にすがろうとする安易で誤った思想が蔓延することになり、これまで持て囃された金融政策も、財政政策と同様に強烈なアゲインストに晒されるだろう。

金融緩和政策のせいで銀行が国債ばかり買い企業融資への努力を放棄している、円安のせいで下請けイジメをする輸出型産業ばかり儲かっている、輸入コスト上昇で庶民の生活を圧迫しているなど、バカマスコミや事情を理解できない庶民から文句をつけられる材料には事欠かないし、残念ながら、金融緩和政策を肯定できる積極的な材料(庶民が理解できる 実感できるレベル)を探すのは難しいものだ。

これまでの安倍政権の経済政策は、基本的にトリクルダウンの文脈で行われ構造改革路線の延長にあるため経済効果を実体経済の隅々に波及させる経路の整備が未熟であった。

このため、せっかくの経済政策により生じた果実が大企業の預金口座で眠っていたり投資や消費の形で海外へ流出してしまい、実体経済への還流効率が極めて悪い。

トリクルダウン神話は閉鎖的な経済環境下にある人口規模や経済規模の小さな後進国にしか通用せず、日本のような経済大国においてそのような愚策を推進する意味はない。

永続的な経済成長を遂げるためには、分厚い中間層の形成成長の基盤となる供給能力を支える技術革新が重要であり、トリクルアップやボトムアップの思想に基づき、中間層や基盤を形成する企業や家計へダイレクトに資金を注入できる大規模な経済政策こそが必要である。

金融政策と構造改革の組み合わせみたいなペラペラの経済政策では、実体経済の足を引っ張りこそすれ、それを刺激できる力はない。

金融政策や構造改革の妄信者どもは、自らの分をわきまえて財政政策のサポートに徹すべきである。