うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

バカが勝手に造った壁を打ち壊せ

今月20日に日本政府観光局(JNTO)から、訪日外国人旅行者数が初めて1,000万人を突破したと発表された。これは、昨年を170万人余りも上回るもので、円安や東南アジア諸国でのビザ発給要件の緩和などが主な要因と言われている。

この1,000万人という数字は、平成15年に政府がビジットジャパン事業を打ち出した時に設定した大目標であり、事業に着手してから10周年目での大台達成となった。

 

今年79月四半期の訪日客に関する統計(JNTO)では、国別の延べ宿泊者数で台湾・中国・韓国・香港・アメリカの順となっており、上位5カ国で全体の67.6%を占める。対前年同期比の伸び率で見ると、台湾+76.7%、中国+5.7%、韓国+28%、香港+64.1%、アメリカ+20.6%と、尖閣問題でつまらぬ言いがかりを付けている中国以外は高い伸び率を維持している。相変わらず大人げない反日運動を繰り返す韓国でさえ3割近く増えているのだから、口ではワーワー騒ぐものの、韓国民の反日の本気度も如何ほどのものかと呆れるばかりだ。

 

また、訪日客の一人当たり消費支出状況を見ると、全体の平均は11.7万円ほどで、国別ではフランスが26.1万円と最も高く、ロシア20.1万円、カナダ19.7万円、オーストラリア19万円と続き、宿泊数の多い欧州勢は多くなる傾向にある。

一方で、滞在期間が比較的短いアジア勢の支出額は相対的に低く、台湾7.9万円、韓国6.6万円、香港10.2万円、タイ10.6万円といった程度で、電気店や免税店で高級品を買い漁るイメージの強い中国でも17.2万円といった具合だ。

 

ちなみに、世界で最も外国人旅行者受入数が多いのはフランスで年間7,950万人、2位のアメリカは6,233万人、3位の中国は5,758万人に達する。(平成23年データ)

また、国際観光収入のトップはアメリカで1,162億ドル、2位はスペインで598億ドル、3位はフランスで538億ドルとなっている。(平成23年データ)

日本も、ようやく訪日旅行者数を1,000万人台に乗せたが、それでも人数ベースでは世界で39位、アジアで10位、収入ベースでは世界で28位、アジアで10位に過ぎず欧米やアジア諸国とはまだ大きな開きがある。

 

観光庁では、こうした現状を捉えて今年6月に公表された観光白書でも、我が国はようやく“観光後進国”から“観光新興国”になったに過ぎない、と分析し、更なる国際観光振興策の強化が必要と訴えている。

そこでは、現状の課題は「訪日ブランド構築戦略の欠如」にあると指摘され、魅力的な旅行先としての「日本」のイメージ(訪日ブランド)の確立、日本を旅行することで得られる価値の共有や発信、観光地域の中核的な組織や人材育成等の対策が必要だと謳われている。

平たく言えば、経済産業省の「伸びゆく海外市場の獲得」や農林水産省の「攻めの農業」と同じく、縮小する国内市場ではなく拡大する海外市場の開拓に全力投球しようという発想だ。

 

こういった訪日外国人旅行者拡大戦略は、先のビジットジャパン・キャンペーン以降一貫して行われてきたもので、円高や大震災などの阻害要因がありながらも、訪日外国人旅行者数を平成15年当時の477万人から倍以上の1,000万人へと大きく伸長させたことはひとつの成果と言える。

しかし、国内の旅行産業はというと、旅行業者の総取扱高(国内旅行+海外旅行)で平成8年の9.9兆円から平成23年は6.2兆円へと、宿泊業の市場規模はピークの平成3年の4.9兆円から平成23年には2.7兆円にまで落ち込んでいる。

また、宿泊施設の稼働率も定員ベースで見ると、東京・大阪が60%を上回るほかは40%台を維持しているのは7府県のみで、残りは2030%台に止まるなど依然として厳しい経営が続いており、とても外国人観光客が増えたと手放しで喜べる状況にはない。

 

平成24年のデータでは国内の延べ宿泊者数は42,521万人であり、そのうち外国人によるものは2,445万人と全体の5.7%に過ぎない。都道府県別の宿泊者数の構成比を見ても、最も外国人の割合の多い東京で15%、次いで大阪12%、京都11%と続くが、その他は軒並み15%程度で誤差の範囲内と言ってよい。

日本国内における一人当たりの旅行消費額を見ると、外国人旅行客の平均は11.1万円と日本人旅行客の平均値4.7万円(宿泊客)の倍以上になる。だが、何といっても両者の数が違いすぎるため、旅行消費額ベースでは外国人旅行客の占める割合は全体の4.4%にしかならない。

 

東京オリンピック招致の成功もあり、観光庁のみならず政府一体となり懸命に海外からの旅行客取り込みの旗を振るが、本気で国内の観光業界の立て直しを図るつもりなら、たったの45%足らずでしかないマーケットを懸命に掘り起こして何の意味があるというのか。

確かに、日本の観光資源や国内の交通・宿泊インフラなどが持つポテンシャルを考慮すれば、外国人観光客数を更に増やすことも十分可能だろう。ウクライナやタイですら2,000万人近い外国人観光客数を獲得しているのだから、日本がいまの倍程度の実績を残すことも決して不可能とは思わない。

 

だが、観光産業の立て直しを図るためには、なによりシェアの9割以上を占める日本人旅行客の増加やそれに向けたテコ入れ策の方が、はるかに早道で効果も高い。

少なくとも平成8年以降、多少の振幅がありながらも、外国人旅行客が一貫して増加してきたにもかかわらず、旅行取扱額や宿泊業の市場規模が減少や縮小を続けてきたのは、ひとえに国内の景気悪化による日本人旅行客の宿泊数や支出額の減少考えるのが自然である。

こういった事態に対して採るべき対策は、日本人旅行客というメジャーマーケットの活性化であり、全体の45%でしかないニッチマーケットにかまけている余裕などないはずだ。

 

緊縮的な財政運営や構造改革的な思考(日経新聞やその取り巻きのバカどもが振り撒く新興宗教)に凝り固まっている近年の日本人は、同じモノやサービスを売るなら、日本人ではなく外国人に売る方が優秀だという幻想に囚われている。

衰退の一途を辿る古ぼけた国土の四方を取り囲む大海の向こうに成長著しいグローバルマーケットが広がっており、これを開拓しようとしない者は時代遅れの鎖国主義者だと蔑まれる。

 

だが、そんなはかない夢物語は現実により脆くも打ち砕かれる。

筆者が仕方なく購読している新聞記事に、コメ輸出の国内先進地である秋田県の事例が紹介されていた。

コメは、政府が旗を振る農林水産物の輸出拡大戦略で重点品目に位置づけられ、コメどころとして有名な秋田県のおばこ農協では、「あきたこまち」を中心にアジアや欧州諸国に18カ国に米の輸出実績があるという。

平成8年に輸出を始め平成11年のピーク時には、当初の10倍にもなる700トンもの輸出実績を挙げたが。その後は減少傾向にあり今年の実績は420トンにまで減少しているそうだ。輸出量が減少した要因は、国内販売向けの主食用米と比較して輸出用米の価格が低く農家が積極的に作付けする意欲が低いことや海外市場での多国産米との価格競争にあるとのこと。

香港での1キロ当たりの価格は、新潟産コシヒカリ950円に対してアメリカ産コシヒカリは半分以下の490円と大きな差があり、前述の秋田県あきたこまちの需要も、海外の日本人駐在員向けなどに限られているそうだ。

こういった現状に対して、農林中金総合研究所のコメントが載っていたが、それによると「市場が大きい中国でも日本産米を日常的に買う富裕層は今後も少しずつしか増えない、流通を簡素化して日本米の現地での小売価格を下げる工夫が必要だ」そうだ。

日経や東洋経済などのインチキ雑誌に、“これからは中国やシンガポールをはじめとする新興市場だ”、“成長するアジアの市場を取り込んで高付加価値商品を売り込むチャンスだ”とさんざん煽られた挙句に、“中国に違いのわかる富裕層はそれほどいませんでした”、“外国人はカネを持ってないんで、もっと安くしないと勝負にならないよ”とちゃぶ台返しをされていることに、もうそろそろ気づくべきだろう。所詮は海外マーケットなんて当てにならないのだ。

 

そろそろ、日本人は“衰退する国内市場を棄て成長する海外市場を取り込む”というバカげた壁を乗り越える必要がある。

国内市場は、適切な財政金融政策を打ち続ければ問題なく成長する。現に、今年1月の13兆円補正予算(額として十分ではないが…)と春先の大規模な金融緩和によりいくつかの経済指標が上向いてきているのも事実である。

いまからでも遅くないが来年4月の消費増税を取り止め、更に2030兆円程度の補正予算を投入したうえで長期的な財政金融政策実行へとコミットすれば、リフレ派の大好きな期待インフレ率も大きく増進することだろう。

こういった内需拡大策を着々と進めることで国民の所得が増えて購買力も増加し、安定的な国内マーケットが形成される。そして、それらが国内の観光産業を潤す源泉となり、秋田の農家が作ったコメの買い手にもなる。

だが、どうしても財政政策だけはやらせたくない構造改革派のバカどもは、「国債が1,000兆円を超えた」、「円の信認が棄損してハイパーインフレになる」と騒ぎ立て、財政政策=禁断の悪手というイメージを幼稚な国民に埋め込もうと必死だ。

そして、財政政策から目を逸らすために、「人口減少により国内市場は縮小する」、「グローバル化は避けて通れない」、「勃興する新興国に日本の高付加価値製品を売り込め」、「成長する海外市場を取り込め」と海外への出稼ぎを奨励するが、現実は見てのとおり、いい加減な海外製品との価格競争に持ち込まれて不毛な消耗戦を強いられるのがオチだ。

そんなくだらぬ戦いに経営資源を投じるよりも、政府をつついて国内マーケットを刺激する経済対策を打たせ、そこから生まれる果実をビジネスに取り込む方がよほどスピードも確度も高いはずだが、長らく“グローバルマーケット礼賛教”に洗脳され続けた企業や国民が目を覚ますまでには、少々時間を要するだろう。

政府が本当に「お・も・て・な・し」すべき対象は外国人や海外市場ではなく、我々日本人や国内市場であることに気づくことができれば、来年は少しマシな年になるかもしれない。