うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

経済成長を実現できる政策に専念せよ

昨年の今頃は、民主党の野田政権(当時)が特例公債法や議員定数削減問題などで進退窮まって土俵際に追い詰められ、破れかぶれ気味の衆院解散に打って出る直前であった。

折りしも、それに先立ち行われた自民党総裁選挙において、戦前の予想では劣勢だった安倍氏が財政金融政策による本格派のデフレ脱却策を前面に押し出し勝利したことを受けて、年末の衆院選での勝利も確実視され、2013年はいよいよデフレ脱却元年になるかと大いに期待が高まっていた。

 

しかし、衆院選での政権交代実現(民主党というゴミ政党の敗北)という喜びもつかの間、今年3月に安倍首相がTPP交渉参加を表明して以降、来春からの消費税増税決定、法人税減税や労働規制緩和など過度な法人優遇策の検討、TPP参加交渉の加速、特区を利用した規制緩和の動き、靖国神社秋の例大祭参拝見送りなど自民党の選挙公約や国民の期待を完全に無視した愚策が強引に進められようとしている。

 

昨年の総裁選挙以来、主に保守論壇の識者たちは、安倍政権に戦後レジームからの脱却に向けた政策実行を期待し、首相を強く支援してきた。

しかし、経済財政諮問会議産業競争力会議の人選に始まる構造改革偏重気味の姿勢や春夏秋と3回連続して靖国神社の参拝問題から逃げ回っている最近の首相の体たらくを見て、多くの識者や良識ある国民はひどく落胆させられている。

 

いまや、首相は、構造改革派や新自由主義者としての本性を露わにし、先日の国会での所信表明演説でも、“成長戦略の実行”、“事業再編を進め新陳代謝を促し、新たなベンチャーの起業を応援”、“電力システム改革を断行”、“日本は「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指す”、“TPP交渉では、日本は中核的な役割を担っている”、“中長期の財政健全化目標の実現を目指す” 定数削減を含む選挙制度改革”といった妄言を連発していた。

そこには、「デフレ脱却」も「戦後レジームからの脱却」もなく、産業競争力会議の提言を棒読みしているとしか思えない内容であった。

 

今国会でも、 共産党小池晃参院議員による「同じ復興特別税でも所得税25年間、住民税は10年間、増税が進むのに、なぜ黒字企業しか支払わない法人税だけ増税を打ち切るのか」という質問に対して、安倍首相は「企業がやはり世界の競争のなかで勝ち残っていかなければならないという厳然たる事実がある」というピントのずれた答弁をしている。

まともな神経の持ち主なら、280兆円もの巨額の内部留保を溜め込む国内企業に、復興法人税廃止による約9千億円の追加減税措置を採ることに疑問を持つはずだ。

厳しい競争や生活環境を強いられているのは国民や中小企業であり、いくらでも下請や従業員にしわ寄せの利く大手企業ではない。

大手企業が偉そうに自慢する「グローバル競争」など、14年もの間給与所得が下がり続けているサラリーマンから見ればママゴトのようなものだ。

 

アベノミクス(第二の矢である補正予算13兆円の一部)の効果もあり、筆者の住む地域でもようやく公共工事の逼迫感が増してきたところだ。土木業者に訊くと、作業員が不足しているとか中古ダンプが値上がりした、新品ダンプのオーダーが1年待ちだ、新築マンションの需要が増加しているなどといった景気のよい話も聞こえてくるし、その流れを受けて運送業界も好調だそうだ。

しかし、現状では、受注量の増加以上に原油価格や電力料金の上昇、人手不足によるコスト増加の出足の方が早く、発注単価も頭打ちで、受注量は増えているものの全体として十分な収益を上げるには至っていない。

また、長引く不況の影響で老朽化・陳腐化した設備の更新が大幅に遅れており、受注確保の障害にもなっている。

地域の中小企業の多くは、いまの公共工事の活況を補正予算による一時的なものと見切っており、長期的な人材・設備投資に踏み切れない。彼らに、今後の優先課題を尋ねると、設備更新よりも生産等にかかるコスト削減により興味や関心を持っており、将来の見通しはいまだにネガティブなままだ。

 

かように憶病かつ弱気になっている中小企業に成長期待を植え付けるには、政府が、国土強靭化を長期的なビジョンとして打ち出し、それに則りロングタームの財政政策実行に関して強力にコミットメントすることが必要だ。

 

マスコミや大企業みたいな呑気な連中と違って、常に厳しい競争に晒されている中小企業に成長期待を抱かせるには、売上や収益という目に見える実弾を与えるが欠かせない。そして、それを金融政策や成長戦略だけで創り出すことは不可能だ。

現実的な視点から経済を捉える中小企業にとって、成長を実感できる糧になるのは、何をさておき売上や受注の確保であろう。

 

彼らにとっては、構造改革者の好む「グローバル化、自由競争、規制緩和量的緩和インフレターゲット」なんていう呪文は、腹を満たすのに役立たない言葉遊びに過ぎない。

先ずは、長期かつ大規模な財政政策を打ち、中小企業や家計に売上や雇用・所得という実弾を補給するのが先決だ。そういった成果を目の当たりにし、これが明日も来年も続くだろうと信じられてこそ成長期待が現実のものとなる。

 

一方、公共工事を始めとする財政政策に対して、建設業者の供給能力制約からその効果を疑問視する向きもある。

建設業者就業者数は平成23年度推計値で約497万人とピークの平成4年度比で20%減とされ(国土交通省資料)、その指摘は尤もなのだが、失業から日が浅く建設技術に関して有用なスキルを持つ人材もまだ多く残っているはずだ。

ここで政府が、国土強靭化を軸に長期的な公共事業実行ビジョンを示せば、全国の建設業者や関連事業者も積極的に人材や設備投資を行うことができる。それが新たな事業者の参入や野に埋もれた有用な人材の活用にもつながり、早晩、建設業界の人材不足問題も片が付くだろう。

また、公共工事の入札不調を問題視する指摘も多いが、これまでの馬鹿げた発注単価を早急に見直し工事の利益率を上げてやればよい。さらに、くだらぬ価格競争を防止すべく談合を認めて地域の中小建設業者の経営体力を回復させることも必要だ。

 

財政施策を忌み嫌うバカマスコミの連中は、飽きもせずに、高額のおせちが売れている、第三の矢(成長戦略)のおかげで株が上がった、株高による資産効果でデフレ脱却間近かも!とウソを撒き散らしているが、こんなものは、単に代替消費が発生しているだけか、資産効果がごく一部で露出した事象に過ぎない。

しょせん株高と言っても、今年5月以降の日経平均株価15,000円の壁に阻まれてほとんど上昇していないし、そもそも個人金融資産の1割ほどに過ぎない株式や投信の値が少々上がったところでそれが及ぼす経済効果などたかが知れたものだ。それこそ国債でも暴落して預金金利が上がった方がはるかに高い資産効果が得られるだろう。

 

おめでたい金融緩和論者が説くように、ブタ積みされた日銀当座預金やブレークイーブンインフレ率を見てインフレ予想や成長期待を抱き投資や消費を増やす者など実際にはこの世にいない。

 

アベノミクスが唱える三本の矢は、元々、金融政策、財政政策、構造改革の三要素を無理矢理束ねたものだが、その本質は小泉構造改革(改悪)の第二幕を断行しようとしているに過ぎず、構造改革>金融政策>財政政策という序列は明確だ。

だが、競争とか規制緩和、成長戦略等といったきれいごとをいくら並べ立てても、国民や中小企業の空腹を満たすことはできない。

 

小泉バカ政権以降の構造改革ごっこにより、日本経済、とりわけ地方経済はボロボロに破壊されてしまった。

これらを治癒して次世代に負の遺産を残さぬためにも、地方交付税の増額、公共工事公共事業の増強、公務員の増員、社会保障事業の拡充、社会保険料の国庫負担割合増加、所得税定率減税の実施、防衛予算の増額、消費増税の見送り(そんな度胸はないと思うが…)などやるべき対策は山のようにある。

 

くだらない成長戦略など1000年後にでもゆっくり検討すればよい。

本気でデフレを脱却したいのなら、金融政策がもたらす資産効果やそれを通じた景気の刺激というまだるっこしいうえに効果が極めて限定される愚策ではなく、実体経済を直接刺激し雇用や所得を迅速に生み出せる財政政策を強力に断行すべきで、金融政策は財政政策の忠実なパートナーとしてそれを支えるべきだ。

金融市場だけの見せかけの景気回復から脱皮して、本物の実体経済の成長を実現するためには、財政政策と金融政策の両輪をフル回転させることが欠かせない。

従来のインフレターゲット論者のように物価水準や失業率だけにコミットするではなく、名目GDPや勤労者の平均所得水準にまで踏み込んで、多くの国民が成長を実感できる数値目標を定めてそれらすべてにコミットすべきだろう。