うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

常識で判断しろっ!

消費税増税の可否については、早ければ101日にも安倍総理が決断を下すと言われている。

増税に関してこれまで総理の口から直接コメントされた事実はないものの、政府首脳や与党議員、財務省をはじめとする官僚、日本経済再生本部などの民間議員や経済団体の動きや発言から、このまま総理が増税の決断を下す(何らかの経済対策とセットで)という見方が大勢を占めている。

識者の中には、増税に消極的な安倍総理増税を企む財務省や一部の政府首脳・与党議員との間で壮絶な闘争が繰り広げられていると論じる者もいるが、それは幻想だろう。総理は元々増税に積極的なサプライサイダー的な経済思想の持ち主であり、増税の可否について財務省のバカどもと大きな意見の相違はなく、アベノミクスの体裁を整えるための補正予算額を巡って小競り合いを演じているだけだ。

 

大まかに俯瞰すると、政府や官僚、マスコミ、財界、識者などの層は、消費税増税による景気への悪影響を認めながらも総じて増税に前向きであり、国民は本音では増税に嫌悪感や抵抗感を示しながらも、国の借金問題や社会保障の財源不足等を人質に取られ表立って反対しにくい雰囲気になっている、といったところだろう。

 

多くの国民は、日ごろから、政治家や官僚をムダ飯喰らいとか世間知らずとバカにしたり、マスコミなんて信じられないと斜に構えたりするが、世を揺るがす政治問題や経済問題の要因や解決方法を自分の頭で考えようとはしないため、結局はマスコミ報道に丸め込まれ、社会的地位の高い層や知識層が垂れ流す意見や思考を鵜呑みにすることになる。

今回も、いざ増税が決まってしまえば、所得が減るとか生活が苦しいとか騒ぐだろうが、最後は財政問題や社会保障費負担のためには仕方がないと諦めるのがオチで、その腹いせに公共事業が無駄だ、公務員の給料が高すぎる、政治家が多すぎるだのと文句を言い始めることだろう。

 

消費税増税の問題には様々な意見があり、次のように整理される。

①経済環境に関わりなく増税すべき(デフレ期であっても増税)

②デフレ脱却の芽が確認されたなら増税すべき

③デフレ脱却後に増税すべき

④過度なインフレになった段階で増税すべき

⑤経済環境に関わりなく増税すべきではない(インフレ期であっても増税不可)

⑥消費税そのものを廃止すべき(減税も含む)

 

いま、マスコミを通じて世に蔓延る増税やむなし論は、上記の①と②、とりわけ②に基づく発言が目立つ。

この手の論者は、アベノミクスで株価や為替市場が少々好転した(株価は15,000円、為替は1ドル=100円の壁にブロックされっ放しだが…)ことや東京五輪誘致が決まったことを誇大に喧伝し、さも日本経済が復活を遂げたかのように語る。

 

だが、資産市場が束の間の賑わいを見せたところで、実体経済は殆ど反応していない。

国税庁民間給与実態統計調査では、昨年の民間企業の給与平均額(パート、非正規社員含む)408万円と2年連続で減少し、ピークの97年比で59万円のダウン、89年並みの水準まで落ち込んでいる。あくまで昨年の数値であり、今年の数値がどうなるかは判らないが、総務省から発表された8月のコアコアCPIが前年同月比▲0.1%と相変わらずデフレ状態にあることと無関係ではあるまい。

 

なにせ、民間給与の低迷はいまに始まったことではなく、97年以降多少の振幅はあるものの、十数年に亘り一貫して漸減の一途を辿ってきたのだ。

これだけ長期に亘りデフレ漬けの生活を強制させられてきたのだから、黒田バズーカ砲を一発かましたくらいで簡単にデフレから脱却できるはずがない。

 

アベノミクスの実績を民主党政権時代の異様な株価低迷や円高状態と比較しても意味がない。せいぜい30点から35点に上がった程度で絶対的に満足できる水準にはほど遠く、この程度でデフレ脱却の芽が確認できたと安心するバカ者は社会勉強が足りない。

 

資産市場が活況を呈し高級車やマンション、宝石が飛ぶように売れていると浮かれるバカは、コアコアCPIの動きをどう説明するのか。

この程度の経済環境をデフレ脱却だと妄想するのは勝手だが、資産市場だけでなくエネルギー価格や一部の生鮮食料品が高騰している事実も加味すれば、ますますコアコアCPIの低迷を説明することが難しくなる。

 

高級車が少々売れたところで、何のことはない、その分だけ他の消費が手控えられる代替消費が発生しているわけで、名目GDPという国家総体としての所得が増えない限り、何かを買えば他の何かが買えなくなるだけのことだ。

これだけ深刻なデフレ不況に悩まされてきたのに、相変わらず金融政策一本足打法に固執し、資産市場から実体経済へジワジワと景気を波及させるなどと悠長なことを言うバカには呆れるばかりだ。

そんな悠長なことでは、いくら高級品が売れてもその分他の商品が売れない代替消費のループを繰り返すことになろう。真にデフレ脱却による経済成長の実現を目指すのなら、財政政策をフル稼働させて実体経済を直接刺激すればよい。

 

さて、消費税増税に関する筆者の意見は、前述の④と⑤の中間辺りにある。

1520年ともされる長期デフレに苛まれた日本経済は、その間に失った巨額の国富を取り戻す必要がある。

そのためには、少なくとも同期間以上の経済成長を実現させることは最低限の条件であり、デフレ脱却の芽を確認できたとかデフレ脱却したからといってすぐに増税に踏み切るような愚策を支持することはできない。

ましてや、現状ではデフレ脱却の芽すら確認できたとは到底認められず、消費税増税などもってのほかで、検討することすら許されない。

 

消費税は現状の5%で約10兆円の税収を維持しており、1%ごとにざっと2兆円の税収となる。

これが8%10%に引き上げられると、実体経済に少なくとも610兆円の負のインパクトを与えることになる。

無論、その分の財政支出を増やせば、多少はショックを吸収できる。だが、現実的には、増税後に湧き起こるだろう国民の怨嗟の声に押されて、政府は緊縮的な財政運営を余儀なくされるだろうし、所得の減少と増税による負担感増加に苛まれる国民や企業は必要以上に支出を抑制するという負の乗数効果が発動し、ますます経済がシュリンクするだろう。

今回の増税とセットで打ち出される経済対策(補正予算)の中味を見ても、法人税減税や研究開発促進等が主体の構造改革的な色彩が強く、効果が波及する範囲は限定される。一方で、消費税増税が与える負のインパクトはかなり広範囲にわたるため、子供の小遣い程度の補正予算をばら撒いたところで増税による悪影響をカバーすることなどできはしまい。

ブレーキを踏む力より強くアクセルを踏めば車は前に進むはず、との意見もあるが、無理な運転をすればブレーキパッドが摩耗して車輪は白煙に包まれることになるだろう。そんな無謀な運転をせずとも、ブレーキから足を離してやればよいだけだ。

 

そもそもデフレとは需要不足に起因するもので、需要不足は資金(返済を要するカネではない)不足により引き起こされる。

実体経済において、食糧や製品が不足する事態が起こった場合、それらを増産して対応しようとするのが常識的な対処法だろう。

ならば、資金不足への対応策として第一に検討すべきは通貨(返済を要しないカネ)の創出である。増税などという愚策は、実体経済に政府が手を突っ込んで強制的に資金の付け替えを行うだけで、経済成長を阻害するものでしかない。

 

何も難しく考える必要はない。

誰もが迷惑を蒙る増税という悪手を採らずとも、日銀による国債引き受け政府紙幣の発行等により実体経済が欲するだけ通貨を増刷し、公共事業や給付等というもっともらしい名目を付けて経済活動に循環させればよいだけのことだ。

資金さえ潤沢に循環させれば、あとはそれこそ民間の活力とやらが発揮され、それらを奪い合う過程で技術革新やイノベーションが起こるのだ。