うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

納税意識の足りない文句タレども

817日付に共同通信社から、主要企業111社向けのアンケート調査結果が発表された。

 

消費増税に関する設問では、広義の引き上げ賛成が74社と67%を占め(「経済状況に関わらず引き上げるべき12社」、「経済状況の改善が続けば引き上げるべき35社」、「現状の経済状況で引き上げるべき27社」)、先に財務省のバカどもから発表された「国の借金1,000兆円超え」のアナウンス効果が、TV漬けの主婦や老人だけでなく、日本を代表する大企業の経営層に対しても絶大であることが証明された。

 

増税容認の理由も「社会保障の安定化や財政再建の道筋をつけるため」、「日本の財政への信認を維持するのに不可欠」といったお馴染みのものだが、増税に慎重な意見の中に「実効性のないばらまきの廃止など増税の前にやるべきことがある」との声もあったようで、筆者のように、大規模かつ長期的な財政金融政策(消費増税などもってのほか、バラマキOK)を唱える者にとっては、まさに八方塞の状況だ。

 

このアンケート調査では、安倍政権への要望を聴く設問(複数回答可)があり、「成長戦略の着実な実行(=規制緩和だ、移民を受け入れろ、日本人が英語をしゃべれるように教育しろ)84社」、「法人税など抜本税制改正(=法人税を下げろ)45社」、「財政健全化(=デフレになっても構わないから無駄遣いを止めろ)29社」、「TPPなどの推進(=平成の開国だ、農家を甘やかすな)18社」という結果であった。

ちなみに、「公共投資の拡大」や「電気料金の値下げ」を望む声はゼロで、資金に余裕のある企業は内需拡大に全く興味を持っていないことがよく判る。

 

こういった調査結果を受けて(かどうかは定かではないが)、菅官房長官は、横浜市内で行われた街頭演説で、消費増税の是非に関して、“26日から行われる有識者からの意見聴取を踏まえ、国民に理解を得ながら、大決断させていただく”と強調するとともに、“慎重な上にも慎重に手順を踏みながら首相が判断する”と述べ、“何としてもデフレ脱却と財政再建を行う”と訴えたそうだ。

 

消費増税に関するこれまでの首相や内閣首脳部のコメントは、決して増税を断定するものではない。当初予定どおり、経済環境を総合的に勘案しつつ今秋に決断するという姿勢を崩していない。

しかし、少なくとも消費増税を見送るという積極的な意思は微塵も感じられない。

有識者からの意見聴取や公聴会などを開き増税決断に至る熟慮を重ねてきたというアリバイを積み上げ、止むを得ず決断せざるを得なかったというプロセスを演出することで、増税に伴って湧き起こるだろう国民からの怨嗟の声をいかに逸らせるかに腐心しているようにしか見えない。

首相やその周辺から、たびたび財政再建を強調するコメントが出てくる以上、消費増税のベクトルを否定する気はないのだろうと推測する。

むしろ、彼らの思考の奥底には、増税に臆する惰弱でわがままな国民に対する怒りのマグマが蓄積されているのではないかとすら感じる。

今回、菅氏の口から出た「大決断」という言葉にこそ、それが表現されている。デフレに苦しむ国民の意に沿う決断をするのに、何も“大決断”をする必要などない。国民の怒りを買いかねない決断であるからこそ、「大」の字を付けて自らを鼓舞せざるを得ないのだろう。まあ、いざ国民との全面戦争ともなれば、いつものように公共事業社会保障を悪者にして逃げ回ることは目に見えているが…。

 

さて、消費増税が大きな話題をさらう一方で、13日付の日経新聞で、「安倍首相が法人税の実効税率の引き下げを検討するよう指示した」と報じられた。(後日、菅官房長官は報道内容を否定)

法人税減税は、産業競争力会議でも、いかがわしい民間議員の連中から、先端設備への投資促進と並んで「成長戦略の本丸」と位置付けられており、事実が日経の報道のとおりであっても何も不思議ではない。

一方で日本の財政危機を叫んで消費増税を国民や中小企業に押し付け、自らは法人税減税の果実を得ようとする産業界の厚顔ぶりに激しい怒りを覚える。

 

法人税率は昭和5962年頃をピークに引き下がる一方だが、肝心の産業競争力とやらは一向に上向いていない。

法人税収は、平成元年の19兆円から平成23年には8.8兆円(統計局資料)に落ち込み、欠損法人(赤字企業)の割合も平成元年頃には30%ほどであったのが、近年は70%を軽く突破している。

 

産業界(経団連経済同友会のバカ者たち)は、口を開けば、“諸外国と比較して日本の法人税率は高すぎる、これでは産業競争力が削がれ海外企業と競争できない”とダダをこねるが、実績は見てのとおり惨憺たる結果だ。

国税庁や統計局資料によると、平成23年度の国内法人の営業収入額は1,275兆円に達するが、法人税額は8.8兆円で、売上のわずか0.69%に過ぎない。この程度の税金が高過ぎるとほざくようでは、世界で戦うなど100年早いと言わざるを得ない。

また、雇用環境についても、正規雇用者数は、平成2年の3,473万人から平成25年には3,257万人に減り、逆に非正規雇用者の割合は20%から36.2%に増えている。(労働力調査

いくら税率を下げても、“黒字を出せない、税金すらまともに納められない、雇用も維持できない”のナイナイづくしの状態で、さらに法人税を下げてくれと要求するなど厚かましいバカだとしか言いようがない。

 

にもかかわらず、現政権は、ご意見拝聴しますとばかりに、産業競争力会議や日本経済再生本部という錦の神輿まで用意するものだから、すっかり彼らも付け上がっている。

恐らく彼らの無理な要求はこの先も続くことだろう。ならば、いっそのこと当面の間、法人税率ゼロにして法人税を失くしてしまえば良いではないか。チマチマと小出しに下げるのではなく、一気にゼロにすれば彼らの宿願も叶うだろう。

 

だが、法人税だけをゼロにして、他の所得税や消費税を取るというのも税の公平性に反し、著しくバランスを欠くため、いっそのこと税制の運用をストップ(インフレ対策への機能維持のため、税制そのものを無くすのではなく、税率を暫定的にゼロにする)してしまえばどうか。

つまり、これから数年間、事実上の無税国家を運営してはどうかと提案したい。

その間、税収は日銀によるファイナンス政府紙幣発行で補えばよいだろう。税収見合い分とそれを補う政府支出分の合計数十兆円に及ぶ巨額の財政政策を打つことができ、民需や名目GDPは飛躍的な伸びを見せるだろうが、日本の供給能力を勘案すれば、物価水準も十分に一桁台のインフレ率に抑え込むことが可能だろう。(当初の1-2年は二桁になるかもしれないが…)

 

要求どおり法人税を無くすのだから、産業界もまさか文句はあるまい。免除された税金を原資に競争力強化にでも精を出せばよいではないか。

また、公務員の連中も、小うるさい住民やキチガイじみたオンブズマンの連中から「私たちの税金で云々」とくだらぬ言い掛かりを付けられずに済むだろう。

企業や国民の多くは、日ごろから税金が高過ぎると文句ばかり言うが、「じゃあ、いっそのこと税金を失くしてはどうか、それで皆がハッピーになりますよね」と問うと、「いやいや、そんなことをしたら国が傾いてしまう、絶対に無理だよ」と否定する。それに対して、「それなら大人しく税金を納めればよいではないか」と返すと、「せっかく納めた税金を国や役人がムダ遣いするのが腹立たしい」と話を逸らす。

この手の文句タレは、納税を嫌がっているのか、はたまた、ムダ遣いが我慢できないのかは判然としないが、自分こそムダな存在に過ぎないくせに、自身に直接益をもたらさない事業を全てムダ遣いだと誤解しているのは確かだ。

 

無税国家という言葉は、経済学の世界では「不可能なこと」という意味合いで使われる。

だが、厳密な意味での無税国家は存在しないものの、ブルネイモナコサウジアラビアなどそれに近い国家は現にある。

無税国家=不可能という論拠として、憲法納税の義務への抵触を除くと、高インフレの招来、富の再配分機能の停止、国民の政治監視意識の低下などが挙げられるが、絶対に不可能だと言われる割に、その理由はこんなものだ。

最大の課題とされるインフレ対策なら、むしろ日本のお家芸でもあり、金融政策や得意の技術革新、節約、貯蓄の奨励をフル活動すれば、意外と耐えられるのではないか。ましてや長期デフレに苦しむ日本にとって内需拡大の起爆剤になりこそすれ、大きな害になるとは思えない。インフレに伴う金利の上昇を機に、高金利での運用を狙って国債や預金が大幅に増加し、インフレも懸念するような高水位には達しないだろう。

 

筆者とて、いまの日本がすぐに無税国家へ移行できるとは考えていないが、強欲な産業界の連中と同じように、国民や中小企業が免税や減税の恩恵に与るための方便の一つとして検討に値すると思っている。

無税国家を鼻で笑うのは、法人税くらいきちんと納めてからにしろと言っておく。