うずらのブログ

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人件費の引き下げが日本の衰退を招く

日本のTPP参加交渉入りがほぼ確定し、頭のおかしな新自由主義者構造改革教の信者たちが元気を取り戻している。

 

新入社員の入社3年後の離職率5割に達すると報じられ、ワタミと並び“ブラック企業の雄”として、最近とみに知名度を上げつつあるユニクロが、全世界で働く正社員すべてと役員の賃金体系を統一する「世界同一賃金」を導入する考えを明らかにし話題となった。

同社は、20132月末時点で1,206店舗を擁し、その内訳は国内847店舗、海外359店舗となっている。(※海外店舗の内訳…中国182、韓国91、台湾27、香港16、英国10ほか)

その平均賃金は、社内の英語公用化を唱えるバカ社長4億円を筆頭に、執行役員・上級部長の下位ランクの平均収入が2,000万円、部長・スター部長クラスの同ランクで670万円、店長・一般社員クラスの同ランクで320万円とのことで、強欲な社長の取り分こそ多いが、それを除くと、日本のファッション業界のトップランナーとしては、かなりさびしい金額である。20138月期の決算見通しで、売上1.1兆円、純利益915億円にもなる大企業にして、これっぽっちの給料しか貰えないのかとがっかりしたのが正直なところだ。

にもかかわらず、世界同一賃金なるおかしな賃金体系を強要される社員が気の毒だ。ケチな社長のやることだから、海外社員の給与水準を日本人社員に合わせて引上げてモチベーションUPを図ろうなどと殊勝なことを考えている訳ではないだろう。巷間噂されるように、日本人社員の年収が100万円に下がるとまでは行かないまでも、海外社員の水準に近付けられる形で引き下げられる可能性が強い。

同社の海外店舗の9割以上は中国や韓国をはじめ東アジアや東南アジア地域で占められており、そこで働く海外社員の人件費水準も推して知るべしといったところだ。

 

今回の措置は、海外で採用した社員も国内と同じ基準で評価し、成果が同じなら賃金も同水準にすることで優秀な人材の確保することが狙いだと報じられている。だが、中韓や台湾、香港人社員を喜ばせ、国内社員のモチベーションを下げるだけの結果に終わるだろう。

ユニクロとか楽天など、未だに日本が世界の孤児だと信じて疑わないおのぼりさん社長は、実際には国内マーケットにしがみついているくせに、グローバル展開に妙な憧れを抱きがちだ。彼らは、英語の社内公用化=グローバル化だと妄信し、社員に英語を強要し無駄なコストと時間を費やしている。英語を話せて陳列した服を畳める人間など、世界中に掃いて捨てるほどいるのだから、アメリカの不法移民でも雇ってくればよいではないか。

だが、ユニクロの決算を例にとると、20138月期の予想ベースで、国内事業の営業利益率が15.7%(前期実績11.7%)なのに対して、自慢の海外事業は8.5%(同7.1%)に過ぎない。確かに、海外事業は売上・利益ともに高い伸び率(売上+52%、利益+81%)を示しているが、営業利益の伸長率は、むしろ国内事業の貢献度の方が大きく、依然として収益の大黒柱は国内事業であることに変わりない。

日本屈指の衣料品販売チェーンとして、8%以上もの純利益率を誇る優秀な企業を築き上げてきた社員たちの努力に対する報酬が、英語学習の強要と実質的な賃金引き下げでは、社員たちもたまったものではない。離職率がますます増えるだけなのではないかと、他人事ながら危惧している。

 

口を開けばグローバル競争とか規制緩和しか言えないバカな経営者(デフレ村の住人達)は、日本の成長を信じることができない自虐史観者である。

彼らは、これからの商売は外国でするものだと言って憚らないが、その割に国内マーケットにおんぶにだっこの状態から抜けきれない企業はほとんどだ。

所詮、海外展開といっても、日本のポンコツアーティストと同じで、せいぜい中国や台湾、香港、東南アジアあたりが関の山で、もともと所得水準の低いマーケットでは、結局、現地企業や海外企業との価格競争に揉まれて落伍するハメになる。そういった厳しい現実を受け入れられない経営者は、自身の成功体験が通じないことに逆切れし、自らの経営戦略の甘さを棚に上げ失敗の原因を日本人社員の賃金が高すぎるせいだと喚き立て、人件費や様々なコスト削減に血道を上げ始める。こういったバカげたコスト削減運動が蔓延した結果、国内マーケットは衰退し、自らの主戦場を失ったバカどもは、ますますグローバル市場に対する信仰を強め、国内への投資を削り取っていくというくだらないデフレスパイラルが続くことになる。

 

冒頭のTPP問題は、安倍政権が卑屈なほど前のめりになり、アメリカのみならずニュージーランドやカナダといったダフ屋から、本来ならタダであるべき交渉参加というチケットを相当な高額で買わされるハメになり、かんぽ保険や自動車関税のほか、非関税障壁問題でも相当な譲歩を迫られそうな勢いだ。そればかりか、交渉参加の条件としてアメリカ議会の承認を得るのに90日も待たされるといった具合で、まさに屈辱外交ものの悲劇的な交渉が見込まれる。安倍首相の目指す「戦後レジームからの脱却」とは、屈米・従米外交を指すものではなかろう。

百害あって一利なしの典型とも言えるTPPなんて絶対に参加すべきではないというのが筆者の意見であり、日米外交に傷がついても交渉から抜け出すべきである。

TPP問題としてISD条項の乱発による国内法規の無効化、関税自主権の棄損や放棄等が懸念されるが、筆者が最も恐れるのは、賃金コストや物価水準の低すぎる発展途上国との労働コスト競争による国内需要の破壊である。

多くの国民は、小泉バカ政権時の構造改革騒ぎと同様に、TPPで外に打って出ることが国内の閉塞感を打破してくれると大きな勘違いをしている。実際には、外に打って出るどころか、グローバル企業なる禿鷹の都合のいいように法律を変えられた挙句に、低賃金が売り物の途上国から大量の労働者を押し付けられ、デフレを深刻化させるだけの結果に終わることだろう。

ユニクロ楽天のバカ社長の例に見るまでもなく、経済自虐史観に侵されたデフレ村の住人たちは、国内マーケットへの投資や再分配に興味を持たない役立たずが大勢を占める。彼らの脳内には、グローバル化こそ善、自由貿易(こんなものはとっくの昔からやっている)や規制緩和こそ善、国内市場にしがみつくガラパゴス企業は滅ぶべしというお花畑ワードが飛び交っており、マクロ的な視野でモノを考えることができなくなっている。

だが、グローバル化が好きな割に、国内市場にしがみついて一向に日本から出て行こうとしないのも彼らの特徴だ。所詮は、口ばっかりで外の世界に出て行く実力もないくせに、自らが寄って立つ国内市場という大切な土台を破壊し揶揄することに快感を覚える青二才に過ぎない。未熟な中学生がいっぱしの大人を気取って親に文句を垂れるのと同じことで、傍から見ていても恥ずかしい限りだ。

 

こんな愚か者どもの口車に乗って、奴隷並みの賃金しかない途上国との無謀な賃金引き下げ競争に持参金付きで参加するバカがどこにいるのか。発展途上国の労働コストをダシにして国内の人件費を削り続ければ、ロスジェネ世代が老齢層となる2530年後あたりには国内消費は壊滅状態となるだろう。

日本の人件費は高いと揶揄されがちだが、そんなことは先進国なら当たり前のことだ。人件費の高さは豊富な個人所得の裏付けとなり、GDPの成長に欠かせない安定的な国内需要を創造する源泉となる。国内の人件費や国民所得が高いということは、豊富な水がめを抱えているのと同じことなのだ。

そういった利点を顧みずに、グローバル化=労働コスト削減という単純な思考しか持たない幼稚な新自由主義者のワガママを押し通してしまえば、日本企業の多くは、大切な国内市場を失い、痩せ衰えたルール無用の海外市場を求めて流浪の行商を余儀なくされることになるだろう。

日本市場にたかろうとするTPP参加国にタダで餌を与える必要などない。発展を望むならば、低賃金労働のみを売りにして先進国にたかるのではなく、自ら汗をかいて研究開発や生産性の向上に取り組み競争力をつける努力をすべきである。