うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

病気の治療が最優先

 消費税増税を巡って、民主党自民党公明党による修正協議や民主党内の合同会議の様子が連日のように報道されている。

 民主党の合同会議で党内の反増税派の意見を無理矢理抑え込んだ前原政調会長の対応に小沢派から強い反発の声が上がっているようだが、本当は党を割る覚悟など持っていない小沢氏のことだから、少数の造反者を出すことはあっても、最終的には執行部の言うなりになる公算が強いとみている。

 一方の自民党だが(コンマ以下の公明党は無視する)、参議院で野党が多数を握り、民主党内が増税派と反増税派とに分かれて対立する好機を活かすことなく、わざわざ野田政権に助け舟を出すかのように修正協議に応じる弱腰な姿勢に大きな批判が巻き起こっている。

 自民党の行動に対しては、“元々自民党は消費税増税を公約に掲げていた”とか“将来的に消費税を増税するのはやむを得ない”などと擁護する声がある一方で、“政権を解散に追い込むチャンスを放棄した”、“政権復帰する前に民主党政権増税役を押し付けようとしている”などという批判もある。あるいは、民主党政権公約を撤回させて骨抜きにして党内に混乱を起こさせ党の分裂を狙う深謀遠慮によるもの、つまり、修正協議に応じると見せかけて、民主党内の反増税派を揺さぶり、党内に亀裂を生じさせて政権を解散に追い込むといった手練手管を駆使する自民党の老獪さに期待する声もある

 しかし、自民党の現執行部は、総じて小泉アホ政権で党の実権を握った構造改革主義者の集まりであり、消費税増税や改革とは名ばかりの歳出削減などといった馬鹿げた政策に対して強い親和性を持っている。

 国民経済は国・家計・企業といった主要な経済主体で構成されるが、彼らは家計や企業から資金を吸い上げるばかりに熱心で、国から家計や企業に資金供給することを極端に嫌っており、行財政改革社会保障改革、民活の推進、TPP推進などといった一連の逆噴射政策もこういった文脈が起点になっている。

 多くの国民は、不況を克服できない民主党自民党の政治力に飽き飽きしており、無責任なマスコミが肩入れする維新の会やそれに寄生するみんなの党といった扇動者に魅了されつつある。最近でこそ失点続きの維新の会だが、いざ解散総選挙ともなれば、マスコミの連中が“決められない政治を打破する改革者”として誇大に持ち上げて維新旋風を起こし、不勉強な国民がそれにうまうまと乗せられる様子が目に浮かぶ。

 いまの自民党では、選挙を有利に戦い抜くだけのアピール材料に欠けている。せっかく、党内に巣食う構造改革派を抑えて郵政改革見直し法案の成立や国土強靭化構想というリフレ政策を掲げることに成功したにも関わらず、消費税増税TPP問題というデフレ促進策に対して明確に反対する姿勢が伝わってこない。これでは、アクセルとブレーキを同時に踏み込むようなもので、自民党に対する国民の評価は高まりようがない。国民には、自民党が何を目指す党なのかが不明瞭に映るからだ。

 このままでは、たとえ衆議院が解散しても維新の会などのチンピラを利するだけであり、それが判っているからこそ多くの自民党議員は選挙を避けたいのが本音だろう。そのうえ、民主党を揺さぶる振りをしていれば念願の消費税増税に道筋をつけることができるという読みもあって修正協議に応じたのだろう。

 小泉政権以降の自民党には、日本を代表する政権党として国の発展を主導してきた自負が感じられない。先の衆院選挙で民主党に大敗した後に臥薪嘗胆して再起を図るかと思いきや、残念ながらほとんど成長の跡が見受けられない。相変わらずバカの一つ覚えのように構造改革とか小さな政府思考に心酔している様は幼稚な市民政党の類と同じレベルである。

 派閥政治だとか政官業の癒着だとかいう外野の無責任な批判に屈することなく、いまこそ“古い自民党”に戻るべきだ。デフレを不治の病にしないためには、公共事業や公共予算、地方交付税の拡大、増大する社会保障財源としての国債の日銀引き受けの実施、適切な競争環境の確保や産業育成の観点に基づく規制の強化、不況カルテルの容認などといった内需拡大を促進する政策を打つことが避けられない。

 清廉な政治とか改革などという戯言は一見もっともらしいが、バブル崩壊以降の散々な経済パフォーマンスが、その低能ぶりを実証している。自民党も責任野党を自認するならば、この手の国民経済の発展を阻害する悪政を廃して、正当なリフレーション政策が必要であることを国民に諄々と説き、政権奪還を図るべきだろう。

 デフレ克服を叫びながら、構造改革とか無駄の削減、TPP、消費税増税などといった逆噴射政策ばかりが世を騒がせる現状は異常である。

 デフレ不況による国力低下に苦しむ日本は、重い病を抱える病人そのものである。だが、その重篤患者を診る医師や見舞客は、なぜか治療を放棄してしまい患者の快癒を期待せず、喧々諤々と葬式のやり方を熱心に討議している。削減した〇〇の予算を▲▲に付け替えるとか、消費税増税に景気条項を盛り込むなどといった枝葉末節の議論は、葬儀で出すお膳のメニューや坊主に支払う戒名料金を打ち合わせているようなものである。

 将来世代にツケ回しをするなというマスコミの殺し文句に従うならば、いま真剣に取り組むべきはデフレ脱却という目的を実現するための財政金融政策の実行であり、増税とか歳出削減などという“害毒”は、語ることすら許されるべきではない。