うずらのブログ

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紫を青だと言い張る扇動者

 昨日の新聞に、世界初の「青いダリア」が開発されたとの報道があった。

 開発したのは千葉大学大学院のグループで、同グループは今年の2月にも青い胡蝶蘭を開発したことでも知られているそうだ。ダリアなどの花は青色色素を作るために必要な酵素などの遺伝子を持たないため青色の花を創り出すのは不可能とされていたが、ピンク色の「大和姫」という一重のダリアにツユクサの青色遺伝子を組み込んで青紫色の花を作成し、さらに八重のダリアと交配させて八重咲きの青色ダリアを開花させたとのこと。

 この「青い〇〇シリーズ」に関しては、サントリーが平成21年から販売している青いバラが有名で、同社では、このほかに青いカーネーションや青いユリの開発にも成功している。件の青いバラの開発には20年近い歳月を要しており、開発に携わった研究者たちの熱意や努力は称賛に値するだろう。

 ただ、この青いバラだけでなく、カーネーションやユリ、胡蝶欄や今回のダリアを含めて、これまで開発された「青い花」と言われるものはすべて、どこからどう見ても「紫色」にしか見えない。この色を「青色」だと言い張るのなら、青の守備範囲も随分と広くなったもので、これからは「紫陽花」も「青陽花」と書き換える必要があるだろう。

 さて、国会では、消費税増税法案を巡る与野党の修正協議の可否について、自民党が求める衆院解散との駆け引きに絡めて連日のように報じられている。

 財務省とともに消費増税の二大推進機関であるマスコミにすれば、何とか増税に向けた既成事実を積み上げて国民に向けた地均しをしておきたいというのが本音だろう。

 このように、マスコミの連中が勝手に方向性を決めて世間を煽り立て、TVや新聞・雑誌をのほほんと眺めている国民がそれを追認するという図式が後を絶たない。これまでも、構造改革騒ぎや公共事業費削減、雇用に関わる規制緩和TPPほか数多くの失敗事例を積み上げているが、最近の最も顕著な例が、大阪の中学生市長率いる維新の会に関わるバカ騒ぎだろう。

 筆者がいくら批判をしたところで、維新の会に対する世間の期待が揺らぐわけではない。最近の世論調査では、6割近くが維新の会に期待すると回答し、次期衆院選(解散があればの話だが…)では近畿圏の8割もの支持を集めて40-50議席を獲得するとの予測もある。維新の会に対しては、「現状を打破する行動力がある」、「強いリーダーシップを持っている」、「グレーな既成政党の中にあって白黒が明確」と前向きに評価する声が多いようだ。

 マスコミを煽られ、既成政治に不満を持つ国民の支持を集めつつある維新の会は、調子に乗って船中八策なる政策骨子をまとめ、それをまたマスコミが持ち上げるといった幼稚な相乗効果が続いているが、この下らない政策骨子をまとめた背景には、「日本の政策決定システムを変え、決められない政治を打破する」といった目的があるようだ。

 そこで登場するのが、「首相公選制の導入」と「参議院の廃止」である。参議院の廃止については、どうせ、ねじれ国会のせいで消費増税法案が通らないことに苛立ってのことという単純な理由だろうから、ここでは触れない。

 もう一方の首相公選制について、“首相”を公選したいのか、大統領制を望むのかは判らないが、過去にイスラエルで首相公選性を導入して失敗した事例がある。

 イスラエルでは、1992年の首相公選法成立に基づき1996年・1999年・2001年の3回にわたり首相を公選したが、小党分立や議会と首相との対立激化により政局が不安定化し、却って首相の指導力が低下する結果を招き、首相公選制は廃止されてしまった。

 何でも欧米の真似をしたがる維新の会のことだから、首相公選制=大統領制というイメージで語っているのだろうが、各国の大統領とて、議会の主要政党に所属する人材から選出されるのが通例であり、議会の制約から完全にフリーハンドになれるわけではなく、大筋では議員内閣制と大差はない。大統領制を布く国としてアメリカ、フランス、ロシア、韓国などが知られるが、維新の会が夢想するほど大統領の好き勝手ができるわけではない。

 アメリカではティーパーティをはじめとする頭の悪い小さな政府嗜好者によりオバマ大統領の社会保障政策や財政政策がとん挫し、フランスではサルコジの幼稚な移民政策により雇用を奪われた国民の怒りにより大統領が交代し、ロシアでは鉱物資源や天然資源頼みの産業構造から抜け出せないプーチン大統領に多くの国民が反発し、韓国では国民生活を犠牲にしたサムスンや現代など一部の財閥企業への富の偏在が問題になっている。

 国民投票により大統領に選出されることと、自らが信奉する政策を断行するフリーパスを与えられることとはイコールではない。多くの場合、議会や官僚との調整に忙殺され、即断即決、即実行というわけにはいかない(中近東やアフリカ、中南米のいい加減な国は別として…)のだが、幼稚な政治志望者の集まりである維新の会には、そこのところがよく呑み込めていないのだろう。

 そもそも、維新の会に寄生している連中(青臭い代表をはじめとして…)は、政治に興味を持ち始めた中学生レベルの素人サークルであり、その人材レベルも民主党自民党にさえ劣るのだが、マスコミに持ち上げられて、多少の失敗は見過ごされるなど甘やかされた環境にあるせいか、下らない事件を起こし躓く者も多い。

 会に属する堺市議の飲酒ひき逃げ事件、捏造リストを基にした大阪市交通局組合への言いがかり、市議団による大阪市職員への恫喝、家庭教育支援条例案における発達障害者への差別批判など所属議員達の行儀の悪さやレベルの低さは群を抜く。

 なんといっても、代表自体が、府知事時代に仕事中にフィットネスクラブに通い、市長になってからも日に何時間もツイッターに勤しんでいるような閑な男なのだが、マスコミにいい顔をしようとして、市長の職務をほったらかしにして大飯原発の再稼働問題に口を突っ込み、さんざん議論をかき回した挙げ句に夏の電力不足という事実にしり込みして再稼働を渋々容認するという何とも恰好の悪いオチをつけてしまった。反原発支持者もさぞやがっかりさせられたことだろう。

 彼は、口では実務家を標榜するが、口先だけで何もできない夢想家に過ぎない。同和や在日利権と戦っているなどと言われるが、あくまで相手が公務員で文句をつけても世間の賛同を得られやすいケースに限定された話である。

 維新の会は2,000人ともされる政治塾生を集めて、次の衆院選挙での国政進出を狙い、マスコミや国民も期待しているようだが、一人1,000万円ともいわれる選挙資金の調達には相当苦労するだろう。中には、まともな手段では資金を用意できず、大量当選した挙句に資金スキャンダルが噴出するといった事態も十分想定される。

 船中八策などと維新の志士の威光を借りてイキがってみても、所詮はどこかの新聞の社説を1週間分並べただけの新鮮味のない戯言に過ぎない。

 日本が苦境に立たされている要因は、政策決定システムの不備によるものではない。緊縮財政や構造改革という呪縛を断ち切れない政策そのものに大きな誤りがあるのだ。

 バブル崩壊以降、多少の振幅はあれど、時の政権与党(一部を除く)は、行政改革構造改革、郵政改革、公共事業費削減、地方交付税削減、労働規制緩和、自由競争促進のための規制緩和事業仕分け、消費税増税などデフレ脱却には何の役にも立たない数々の逆噴射政策を推し進めてきた。その結果、名目GDPはピークの523兆円(H9)から468兆円(H23)へ55兆円減少、その間のGDPデフレーターは110%から92%と18ポイント拡大、また、一般会計税収はピーク60兆円(H2)から42兆円(H23)へ18兆円減少、サラリーマンの平均年収はピークの467万円(H9)から412万円(H22)へ55万円減少、国内の自殺者数もH4~H13の10年間累計26万人がH14~H23間には32万人へ6万人増加するなど、あらゆる指標が悪化している。日本経済は大低迷期に突入したまま社会基盤も大きく毀損されている。

 改めて数字で説明されるまでもなく、厳しい雇用環境や労働環境に晒され続けている国民なら、誰もが日本の惨状を実感していることと思う。

 まさに国難ともいえる大切な時期に、維新の会のような幼稚な能無しサークルに、何かやってくれそうなどといった安易で過大な期待を寄せてはいけない。

 曇った視点で国の行く末を眺める人間には、黒やグレーさえ白く見えてしまうものだ。