うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

目的より手段が大切な人々

 消費税の増税問題に関して、連日のように民主党内の社会保障・税一体改革合同会議の様子が報道されている。増税法案の中に名目GDP成長率3%、実質GDP成長率2%の景気弾力条項を盛り込むことの是非を巡って党内の増税賛成派と反対派がモメているというものだ。

 筆者などは、デフレ不況で喪失した国富を取り戻すには、そもそも名目GDP3%という設定水準自体が低すぎると考えるが、それはさておき、この景気条項を盛り込むことに対して、民主党の前原政調会長が「景気条項を入れてしまうと増税ができなくなる」と発言したことに呆れ返ってしまった。

 このほかにも、「公務員採用数大幅削減は若者のため」とか「TPPはビートルズ」等々、この一週間の間に民主党や政権首脳部から常識が疑われるようなレベルの低い発言が続いている。

 こういった幼稚で開き直った発言がぺらぺらと口をついて出てくるのは、政権に巣食う連中にとって本当に大切なのは“消費税増税”とか“TPP参加”といった手段なのであり、国民経済の成長などという目的なんてどうでもよいと思っている証拠である。だからこそ、説明のたびに消費税増税やTPP参加の理由や背景がコロコロと変わるし、国民にとってのメリットが納得できる数値で示されることもない(示しようがないだろうが…)。

 “景気なんてどうでもいいから、とにかく増税させろ”という本音を隠せないからこそ、景気条項が増税の邪魔になるなどとつい言ってしまうのだろう。

 バブル崩壊以降の経済論壇では、構造改革やサプライサイドの強化を唱える者、インフレターゲットなど金融政策の強化を唱える者、公共事業などの財政政策と金融政策のポリシーミックスを唱える者などが中心となり、経済論議が行われてきた。その中で実践されたのは、新自由主義的な主張に基づく構造改革とあまり意味のない金融緩和政策であり、自民党から民主党への政権交代後も、このくだらない経済政策は一貫している。

 筆者は、そういった異なる経済政策間に意見の相違はあれど、『日本の経済成長を目指す』という方向性や大義は共有されているものとぼんやり考えていた。つまり、手段は違えど目的は同じものと思っていた。

 しかし、昨年の大震災後の被災地に対する冷たい対応や被災地の復興を放り出したままでの原発騒ぎに続き、今回の消費増税やTPP参加のためのなりふり構わない態度を見ていると、彼らにはもはや国民経済を成長させようというまともな発想や思想が全くないと言わざるを得ない。デフレ環境下、しかも震災により被災地の生活や経済が大きく破壊されている状況下での増税やTPP参加、公務員給与削減などのデフレ促進策の強行など正気の沙汰とは思えない政策が平気で実行されようとされ、マスコミも揃ってそれを後押ししている。

 国民一人一人がどう思っているかは判らないが、政権与党をはじめ自民党執行部、財務省経済産業省、マスコミ、エコノミスト、識者など社会の中枢に近い層の大半は、経済成長を目的とするどころか、すでに経済成長に対する興味や希望を失い、増税とかTPP、○○改革などといった個人的興味や願望を優先させようとしている。

これは極めて由々しき事態である。

 世の中のあらゆる社会体制は経済活動をその基盤としており、社会や国家の発展、国民生活の向上等は経済成長なくしてあり得ない。つまり、経済成長なくして国民生活の向上や国力の強化などあり得ないのだ。

 経済成長の停滞や低下は国力の低下を意味し、現にデフレ不況の罠に嵌まり込んだ我が国のプレゼンスは低下する一方であり、国民の生活レベルも低下の一途を辿っていることは否定しようのない事実である。

 財政赤字とか少子高齢化とかいったできない理由を次々と並べて経済成長に背を向けてきたツケが回ってきたのだろう。

 多少でも、いまの日本を変えたいとか、良くしたいとかいう希望を持つ者は、マスコミがタレ流す情報を鵜呑みにしてはならない。そこには、日本経済の行く末など全く気にも留めずに自己の信ずる教義(増税とかTPP参加)に殉じようとする狂信者の呪文が隠れている。

 TVや新聞、雑誌をボサッと読んでいるとこういう新興宗教にはまりやすいのでご注意願いたい。