うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

デフレの正体は『カネ不足』

 消費税増税に向けて、“眼帯総理”や政府首脳から威勢の良い発言が相次いでいる。最近では開き直ったのか、増税論議に応じようとしない野党に対する恫喝まで飛び出す始末だ。

 ただ、恫喝された側の自民・公明辺りも、消費税増税TPP参加、デフレ対策という点に関しては、政策の方向性に大した違いはないから、よしんば解散総選挙という事態になっても争点はぼやけたものになろう。いわんや、与野党ともに大阪の“中学生”市長に擦り寄っているようでは、再度の政権交代があったとしても、早晩、同じような問題が再燃することになるだろう。

 ケチな財務省を起点に消費税増税キャンペーンが張られる際に、露払いとしてよく使われるのは、「日本は少子高齢化社会を迎えるから右肩上がりの経済成長は無理」というフレーズだろう。

 20年もデフレに翻弄され、実際に少子化や高齢者の増加を目の当たりにしてきた国民は、ほとんど疑うことなくこの妄言を受け入れてしまい、「日本の消費形態は成熟した」とか「必要な家財は一通り揃ったし、もう欲しいものはない」、「Iphoneみたいな魅力的な商品がないから何も買う気が起きない」などと判ったようなふりをしてしまう。だが、本当にもう何も欲しいものはないのだろうか。

 多くの人は、経済問題に絡めて「消費」や「購買」を定義する際に、無意識に自動車や家電などの耐久消費財や家屋などの不動産を意識している。だからこそ、短絡的に人口減少を消費減少やGDP減少に結びつけてしまう。日常生活で食料品や衣料品などの消費財を購買する機会の少ないサラリーマン層や経営者層ほどその傾向が強いだろう。

 だが、実際に自分達の給料から消費されているのは、食料品とか衣料品、教育・娯楽などといった日常の買い物や支出の占める割合の方が大きい。家計調査(H23/11)のデータから計算すると、毎月の支出に占める品目ごとの割合は、食料品や衣料品、教育・娯楽、医療、交通費、その他消費が全体の43%余りを占め、耐久財(半耐久財を含む)の割合は7.5%ほどに過ぎない。自動車とか家電なんかはそうそう頻繁に買うものではないから、考えてみれば当たり前のことだ。自分ではカネを使っていないようでも、奥さんの日常の買い物や子供の教育費など、実際は毎日のようにどこかでカネを使っている(=消費)のが現実だ。

 しかし、普段からヨドバシカメラには立ち寄っても、食品スーパーには足を運ばないサラリーマン諸氏には、この辺りがリアルに実感できていないだろう。だからこそ、日経なんかに“国内家電メーカーのTV売上が不振”なんて記事が載ると、途端に日本の消費はもう駄目だなどと早とちりしてしまう。

 また、魅力的な商品がないとか欲しいものがないなんて言うたわごとも聞き飽きたが、こういう輩に限って家電とかスマホの新製品に飛びつくから手に負えない。成熟社会とか飽食の時代などと言いながら、多くの国民は、美味しいものを喰ったり、いい服を着たり、高機能の家電を買ってみたりといった行動を繰り返している。人間の欲求が尽きることなどない。

 莫大な広告費を投じて宣伝される自動車や家電の類は、日経好きの輩には実力以上に大きく映るらしいが、実際にGDPに占める割合は、自動車関連が2.5%、電機関連が2.9%(H22暦年ベース/内閣府資料)程度で、卸売業7.5%、小売業5.9%、対個人サービス業6.3%等に比べて思った以上に小さな存在なのだ。

 自動車や家電が売れないから日本のGDPはもう伸びない、なんて決め付ける単細胞なサラリーマンや経営者は、もっと外に出て世の中のことを勉強した方が良い。

 昼食の500円ランチが750円になる、飲み会のコースが3,500円から4,000円になる、1,980円のワイシャツが3,980円になるなどといった具合に日常の消費形態がランクアップすれば、それに沿って普通にGDPは伸びて行く。判ったような顔をして、人口が減り胃袋の数が増えないのだから消費は伸びないなんていうのは、単なる勘違いだ。その胃袋に入れる食品の質や価格が上がれば、消費も活発になりGDPも当然増えるではないか。

 これは、自動車や家電に様な耐久財にも言えることだ。いくら丈夫な国産品でも、数年もすれば買い替えのサイクルが訪れる。その際に150万円の車から200万円の車に買い替えられるような経済環境を創り出せばよいだけだ。端からそれを諦めてしまうから、間違った悲観論に囚われて無駄に20年もデフレを放置してしまったのだろう。

 GDPを構成する要素は、なにも「人口」とか「数量」だけではない。長い間経済対策を怠ってきたツケのせいでこの先は少々人口が減ることは避けられないが、長期的に財政・金融政策などの経済対策を行い、一人当たりの消費額が人口減少率(たいした水準ではない)を上回るような経済環境を整えればGDPを着実に伸ばすことができる。

 長らく消費が低迷し、深刻なデフレ不況が続いているのは、人々の消費行動が自発的に変わったからではない。財政政策の縮小やくだらない規制緩和などによって雇用が流動化し、収入が不安定化したため積極的な消費行動を取りたくても取れないだけなのだ。

 財布にお金が入り、明日もまた入ってくると思えば、人々は躊躇なく消費でき、ひいてはそれが企業業績の回復につながり、雇用者所得も伸びるといったプラスのサイクルが回り始める。

 なにも川の流れが逆流したわけではなく、構造改革に連なる誤った政策に経済成長の歩みが堰き止められているだけなのだ。成長を阻害する改悪政策を転換すれば、何の問題もなく日本経済は再び右肩上がりの成長軌道に乗せることができるだろう。