うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

悪政は政治によって生み出され国民によって育てられる

 先ごろ公安調査庁が、オウム真理教(現アレフ)の信者が1,000人を超えたと発表した。

 「アレフはインターネットの交流サイトや大学で団体名を隠して近づき、ヨガ教室に誘うなどの手口で勧誘。 多く入信させた信者に特別な修行を許す優待制度を設けるなど拡大に力を入れており、 参加者が300人を超えたセミナーもあった。(時事通信)」とのことで、世間を震撼させたオウム真理教のような危険な宗教団体に入信しようとする人間がいることに多くの人が疑念を抱いたと思う。だが、善し悪しは別として、オウム真理教の信者が増えたこと自体に驚くことはない。

 あくまで公称値のため実際の信者数は半分以下だと思うが、2009年のデータ(週刊ダイヤモンド)では、「幸福の科学」が約1,100万人、「創価学会」が約820万人の信者を抱えていると言われている。これらは、世間を騒がすような刑事事件こそ起こしていないものの、いずれも怪しさではオウム真理教に引けを取らない。こうしたインチキ宗教団体に(恐らく)100万人以上の人間が入信していることを考えると、オウム真理教の信者が1,000人を超えても不思議ではない。

 この手の怪しげな宗教団体は、弱い立場にいる人や精神的に追い詰められた人に近づき、“宗教という建て前”を巧みに利用して税制度から逃れ、ネズミ講のように信者から集金する(+教祖の名誉欲を満たす)システムはインチキ宗教団体に共通する、というより、それをしたいがために“宗教という看板”を利用する。

 だが、筆者が、オウム真理教の入信者増加を不思議でないと思う理由はこれだけではない。

 多くのマスコミによって、インチキ宗教より更にタチの悪い思想に洗脳された、あるいは、されつつある国民が数多くいる現状を冷静に眺めてみれば、インチキ新興宗教を信じ込むアホが1,000人くらい居ても、何も不思議なことではないだろう。

 

 では、このタチの悪い思想が何かと言えば、それは、構造改革行政改革などの一連の改革思想とそれに連なる緊縮財政、規制緩和事業仕分け、TPP、増税社会保障制度改革、労働規制緩和などといった愚策とその旗を振ってきた構造改革新自由主義などの幼稚な思想のことを指す。

 こういった愚策のスタートラインと言えば、橋本内閣が行政改革や消費税増税を断行した1997年なのだろうが、当時、名目GDPが513兆円、国民可処分所得が420兆円あったのが、2009年には名目GDPが474兆円、国民可処分所得が370兆円にまで激減してしまったという惨憺たる結果に終わった。

 常識的な経済運営さえしていれば増えて当たり前の2つの指標をここまで悪化させてきたのだから、国民もいい加減に目を覚ますのかと思いきや、太平洋戦争時の軍部のように自らの失敗を認めようとしない構造改革主義者(自民党民主党の執行部や自称改革派の連中、経団連経済同友会、一部の官僚、マスコミなど)に踊らされ、長引く不況の原因は、既得権益にしがみつき改革が足りないからという教義を頑なに信じ込まされたままだ。

 その結果、デフレ不況下での消費税増税や復興増税、TPP参加などという正気の沙汰とは思えない政策に過半数の国民が賛意を唱える一方で、大震災の復興予算の大規模な支出には慎重な意見が大勢を占めてしまうという異常な事態を招いている。また、地方政治においても、公務員叩きと支出の引き締めにしか興味のない河村・橋下レベルのいかがわしい政治家が実力以上の人気を博すという情けない事態になっている。

 国民が心酔する構造改革教や新自由主義の教義はいたってシンプルで、

 ①生産性の低い(あくまで彼ら基準で)層を既得権益者として排除する

 ②国家や行政の役割を極力矮小化させ強者が勝利しやすい環境を作る

 ③イノベーションを過剰なまでに賛美する といった辺りに集約される。

 まさに世間知らずのファンタジーな教義で、こんなものが実際に行われると、殆どの国民がノアの箱舟から溢れてしまうだろうが、馬鹿げた教義であっても、それが社会的立場の強い人間の口から連日のように唱えられると、多くの国民は意外にあっさりと洗脳されてしまうから恐ろしい。

 大抵の国民は、マスコミが垂れ流す政府の政策やニュースをよくよく吟味するスキルも気持ちも持ち合わせていない。せいぜい自分の身の回りで起こった事象を基準にして、政策やニュースの判断基準にするのが関の山だろう。

 だからこそ、「景気対策をしっかりやるべきだ」なんて言った同じ口から「公共事業はけしからん」といった矛盾するセリフが平気で吐き出される。自分の知っている土建屋の親父はバブルの頃に外車を乗り回していたとか住民票を取りに行った際の市役所の職員の対応が気に食わなかったとかいった類の卑近な事例を基準にして世の中を論じようとするから、マスコミが垂れ流す誤った教義に引っ掛かってしまう。

 これから大きな論争を呼ぶであろうTPPや復興増税(消費税増税)などといった問題が、少なくとも自分の生活にとってプラスの影響をもたらすのか否か冷静に判断すべきである。

 

 国民や大衆に擦り寄り迎合しようとする政策はポピュリズムと呼ばれ非難されるが、自民党末期(小泉アホ政権以降)やいまの民主党政権には、そのポピュリズムすら行おうとする気がないことを理解しておいた方が良い。選挙前になると、各政党が人気取りのために国民受けの良い政策ばかり連呼する云々といった非難がましい論評がマスコミ紙上を賑わすが、いまの指導者層(日本に限らず諸外国も同様に)には、国民の人気取りのための政策をしようとする気持ちなどさらさらないことに気付くべきだろう。

 彼らは、国民に厳しい政策(増税社会保障の削減など)を敢えて示して、激しい非難を受けながらも断行する自分に酔いたいだけなのだ。自陣の議席を確保するために自説を曲げて妥協するというバランス感覚よりも、信念に殉じるヒロイズムを優先するような手に負えないバカ者揃いなのだが、厄介なのは、その信念とやらが、大抵、国益とは正反対の結果をもたらすものであることと現在の政権党と野党第1党の執行部との経済思想の親和性が強いために、この愚かな信念にブレーキを掛けられる者がいないことにある。

 日本の政治はかくも危うい状況下にあるが、マスコミの論調を唯々諾々と受け入れるばかりで、自分の頭で物事を考えようとしない国民は、それを放置し、あるいは後押ししようとすらしている。

 

 冒頭のオウム信者を笑う資格のある国民は、一体どれくらいいるのだろうか。