うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

嫌消費世代なんてどこにもいない

 デフレを賛美、あるいは容認する者は、「日本の消費構造が変わった」とか「消費者がモノを大切に扱うようになり消費に対する意識が変わった」などという妄言を流布しがちだ。また、この妄言は、“モッタイナイ”とか“エコ”などといった類のいかがわしいキーワードとセット販売されるのが通例だ。そして、モノを大切に使うというもっともらしい建て前を隠れ蓑にして、デフレで消費が低迷する厳しい現実から国民の目を逸らさせようとするし、国民もこの手の詐欺まがいの誘導に見事に引っ掛かるから情けない。
 だが、実際には日本の消費構造なんて何も変わっていないし、消費者はお金さえあれば欲しいものはたくさんあるのが現実だろう。
 まずは内閣府のHPにある「主要耐久消費財の買替え状況(一般世帯)」(平成23年3月現在)というデータを参照していただきたい。 

(※詳細はこちら)http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html
 この表は、バブル崩壊直後の平成4年からデフレ不況でフラフラになっている平成22年までの耐久消費財に対する消費者の買い替え理由や意識を調査したものだ。
 この図から判るのは、まず、多くの品目で平均使用年数が1-2年伸びている(思ったほどには伸びていないが…)ことで、所得が低迷する中で現有の家電や自動車を長く使っているといういわば当たり前の結果が表れている。
 一方で、本来なら増えてしかるべき「故障」による買い替えの項目が増えていないばかりかむしろ減少している品目が多い点だ。多くの人が家電や自動車をケチケチと長く使っているなら故障するまで使い続けるのが自然な流れで、「上位品目」への買い替えなんて贅沢はしていられないはずだが、現実には、エコカー減税やエコポイント制度などの後押しがあったとはいえ、多くの品目で消費者が上位品目へのステップアップという積極的な理由で買い替えに踏み切っているのは注目に値する。
 つまり、多くの消費者は決して消費に対して消極的になっている訳ではなく、常によりよいものを買ってみたいという欲求を抱えているということだ。考えてみれば当たり前のことである。死にかけの老人でもあるまいし、新型の機種や新製品が出れば買い替えたいと思うのは当然すぎるほど当然のことだ。家電がひととおり揃ってしまえば、あとは何もいらないなんて言うのは仙人だけで、そんなことはあり得ないし、仮にあったとすればメーカーの努力が無になってしまう。
 巷には、若者の消費離れ論なるバカ論が幅を利かせているが、大間違いだと言える。以前のコラムにも述べたが、若者(を含む多くの国民)は消費に興味を失ってなどいない。単に財布にカネが入っていない、もしくはこれから先も入ってくるアテがないから使いたくとも使えないだけだ。
 長引くデフレ不況の要因を需要不足にあるとする認識は、最近一般化してきたように思う。デフレギャップの存在も否定されていないし、不況による需要の落ち込みが問題との文言もよく使われており、以前(構造改革教全盛時代)のように供給サイド一辺倒の論説は影を潜めている。
 しかし、需要不足が経済成長のネックという正しい認識や分析がありながらも、何故かいつもその対処法や結論は、増税とか行政改革とか財政再建あるいはTPP(開国?)なんていう見当違いの方向に行ってしまう。
一流の腕前を自負する料理人が最高の食材を使って最悪の料理を作ってしまうことは、現実世界にはよくあることだが、こと経済政策に限っては厳禁だ。なぜなら経済政策は、世の中のあらゆる分野(科学、文教、医療、福祉、防衛、文化、商工業…etc)の基盤となる最重要課題だからである。ここが腐ってしまえば、国体を揺るがしかねない大事態になる。
 世に蔓延る財政再建マニアを抑え込まないと、日本は永遠に“明けない夜”を続けることになる。いまの若者が、世間知らずの知識人から、勝手に「嫌消費世代」呼ばわりされぬよう早急なデフレ脱却が望まれる。
 来もしない過度なインフレに怯えることなく、積極的な財政政策と金融政策を長期かつ大規模に行い、雇用の拡大と所得向上を図るべきだ。