うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

リフレ派同士の連携が必要だ

日ごろのニュースで、デフレ(物価総体の持続的な下落)の対義語としてインフレが使われることはあっても、リフレという言葉が語られることは少ない。ちなみに、リフレーションとは、不況下における設備の遊休あるいは失業を克服するため、マクロ経済政策(主に金融政策)を通じて有効需要を創出することで景気の回復をはかり、他方ではデフレから脱却しつつマイルドなインフレーションを実現しようとする政策を指す。(ウィキペディア記事より編集)

だが、リフレ派とは、上記のように金融政策だけではなく、もっと広義な意味での財政政策あるいは金融と財政のパッケージ政策などの手法を基に有効需要を創出して経済成長を実現しようとする主張も含有するのではないか。

つまり、現在のデフレ不況の要因が、供給側ではなく、需要不足にあるという理解を前提にして政府サイドが積極的な経済対策を施すべしという主張である。

しかし、現実の経済学の論壇では、主にインフレターゲット政策を主張する論者が“リフレ派”を自称することが多いためか、リフレ=インタゲ派(金融政策重視派)というイメージが定着している。

もっとも、一口にインタゲ派といっても、Mフリードマン(気持ち悪いシカゴ学派の教祖)の信奉者のように金融政策一本槍な主張(構造改革派や上げ潮派)から国債の日銀引き受けや政府紙幣に踏み込むような、むしろ財政政策派に近い主張をする者まで、その主張は様々だ。

中には、経済成長よりも行政改革を重視するものや財政均衡主義に近い主張もあり、単に、ガチガチの財政緊縮派(与謝野大臣や野田大臣などの縮小均衡を是とする主張)ではないというだけの意味で使われることもあるので注意が必要だ。

一般的なインタゲ派の主張は、物価上昇率に対して中央銀行が一定の目標を定めて通貨量を意図的に増加させ緩やかなインフレーションを起こして経済の安定的成長を図るというもので、日銀の役割を最重視する。このため、彼らは、デフレや円高を放置する日銀の金融政策に批判的で、中でも、良いデフレ論や強い円は国益論を唱えて、不況下にゼロ金利政策解除を強行した速水日銀総裁などはボロクソに批判されている。それに比べて、財政政策をあまり重視しないこともあり。政府や財務省に対する批判は少々トーンダウンすることが多い。

基本的には、失業の放置を否定し経済成長を志向するという点で財政政策派と共通するものがあるが、一方で、財政政策を否定し貨幣供給量と利子率によって景気循環が決定されるというMフリードマンの主張をその根幹に据えてもいるせいか、全体的に財政政策を否定するのか容認するのかという点が非常に判りにくい。(Mフリードマンの主張は、ある意味一つの山脈の頂のような存在で、ここから山の両側にそれぞれ流れ出ているリフレ派や財政緊縮派や新自由主義者などの源泉になっているようなイメージだ。)

ただし、岩田規久男、若田部昌澄、野口旭、田中秀臣、竹森俊平、高橋洋一クルーグマンバーナンキなどといったインタゲ派の代表的論者(伊藤元重伊藤隆敏構造改革派へ鞍替えした模様)は、金融緩和を通じたインフレ期待による投資意欲の喚起を主体としながらも、国債の日銀引き受けによるリフレ政策あるいは政府紙幣の活用という財政政策的な手法をおおむね是としており、財政政策派あるいは財政と金融のパッケージ政策を唱える論者との親和性は高いと思われる。

これまで日本が失われた20年の間に採ってきたのも、先進諸国がリーマンショック以降に採ってきたのも、ほぼ金融政策オンリーに近い経済政策であったが、金融市場や商品市場に膨大なマネーが溢れかえるばかりで、肝心の実体経済には殆どプラスにならなかった。砂漠に降ってほしい雨が海に降ってしまったようなものだ。

政府の負債を極度に嫌うマーケットや国民からの圧力を恐れてか、各国とも財政政策が手控えられ、金融政策に頼り切りの状態になっている。しかし、金融政策を通じて醸成されるはずだった良い意味でのインフレ期待は一向に訪れず、却って溢れたマネーが商品市場に流れ込んで強欲な賭け事に使われた挙句、原油や作物の市況が高騰しコストプッシュ型のインフレを招く結果となってしまった。

だからといって金融政策の有効性を否定するべきではないが、長引く不況や雇用の不安定化で国民や企業の収入が減り続けている現状では、金利低下や潤沢な融資資金の増加は、家計や企業の消費や投資を刺激する要因にはなりにくい。貰えるカネならうれしいが、借りる(返さなければならない)カネならいらないといったところだろう。

まずは収入を安定させ、潜在的な消費意欲を刺激して消費や投資を活発化させる、その結果としてマイルドなインフレ状態になり、経済成長を加速させるといった手順が望ましいのだが、これは財政政策・金融政策いずれか一方のみでは到底なしえない。これまでの金融政策により市場に貯まりこんだ膨大なマネーを制御するには、どうしても金融政策が必要だし、実際に家計や企業の財布を膨らませるには財政政策が必要になる。

日本を再び成長軌道に乗せ、しかもできるだけ長期安定化させるには、財政と金融のポリシーミックスが欠かせない。ましてや、財政緊縮や財政均衡といった逆噴射政策などもってのほかである。

だが、現実には、本当に信じがたいことだが、この不況下に財政緊縮や財政均衡を熱烈に求める国民が多い。多いどころか、ほとんど大多数の国民がそれを支持していると言っても差し支えないだろう。だからこそ、小泉・竹中のインチキ改革や民主党事業仕分けを熱狂的に支持したり、みのもんたや辛坊辺りの主婦感覚(青臭い中学生並み)の主張にコロッと騙されてしまう。選挙前の世論調査をやれば、景気対策をしてほしい(財政出動)という本音がチラッと出てくるが、普段は低能なニュースに洗脳されて、財政赤字を何とかしろとか、(自分に害が及ばない範囲で)無駄を削れとか、本音を隠して偽りのオダを上げている国民のなんと多いことか。

こういった現状を見据えて、広義のリフレ派(金融政策重視派、財政政策重視派、財政・金融のポリシーミックス派)は、互いに協力すべきだ。金融政策には効果がない、インタゲはデフレに効かない、公共事業乗数効果が低い、財政支出は無駄や不正を生み出すなどと非難し合ってはいけない。互いに経済成長という大義を共有しているのだから、その実現を目指して小異を捨て協力し合うべきだ。

マスコミ、経済団体、エコノミスト、国民はおろか、官僚の大部分にまで財政緊縮や財政均衡を支持する愚かな思想が根深く浸透している。こういった危機的な状況を冷静に判断すれば、互いに不毛な非難合戦をしている場合ではないことに気付くはずだ。