うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

TVや新聞をボケっと観ていると・・・

先日、とある地方都市に出張した際に読んだ地元新聞に、アメリカ書店チェーン第2位のボーダーズ・グループ倒産(民事再生法に相当)の記事が載っていた。

記事の内容を要約すると、“ネット書籍販売(アマゾンなど)の浸透や電子書籍(iPadキンドル)の拡大で利用者が激減し、経営が圧迫された”とのことで、特に、大きく「電子書籍拡大、業界2位ボーダーズ倒産、米書店に打撃」という見出しを打つなど、電子書籍の販売拡大が同社の倒産に大きな影響を与えたとのニュアンスで一連の事態を綴っている。

だが、記事の中にあった数字を拾ってみると、2010年の全米の一般消費者向けの書籍総売上(ネット書籍販売が含まれるかどうかは不明)は48億6,400万ドル(約4,040億円)で前年比5%減の一方で、電子書籍市場は4億4,100万ドル(約37億円)で前年比2.5倍とのこと。そもそも、急成長しているとはいえ電子書籍の市場規模は一般書籍の1割にも満たず、いまのところは話題先行型の商品の一つに過ぎないといったところだろう。(ちなみに、日本の書籍市場全体は1兆9,356億円、電子書籍市場は610億円(いずれも2009年)もあり、人口が日本の2.5倍もあるアメリカ人がいかに本を読んでいないかということもよく判る。)

たしかに、アメリカ全体の書籍売上は3年連続の減少となり減少幅も小さくはない。一方の電子書籍の伸び率は急激で、iPadなどの端末が大きな話題をさらっているのも事実だ。だが、冷静に両者の数字を比較すると、一般書籍の減少額は4,040億円÷0.95-4,040億円=212億円に対して、電子書籍の増加額は37億円-37億円÷2.5=22.2億円に過ぎない、つまり、電子書籍の急激な伸びといっても、一般書籍減少分のおよそ1/10程度に過ぎず、その影響は軽微と言わざるを得ない。212億円-22.2億円=189.8億円の市場減少要因が、電子書籍の急伸ではなく他にあるのは明らかだろう。

アマゾンなどネット書籍販売の数字が、先ほどの4,040億円に内包されるのかどうかが不明なため断定的なことは言えないが、一般書籍の市場が縮小している要因の大部分は、電子書籍の台頭以外にあると思われる。長引くデフレ時代に日本が経験してきたように、収入全体が頭打ち、あるいは縮小する環境下では、同じ商品カテゴリー間に止まらず、カテゴリーを超えたボーダーレスの競合が激化する。日本で起こっているように、携帯電話への支出の増加の影響で、飲食費が抑えられたり、TVや車が諦められたりするのと同じことだ。

恐らく、アメリカの書籍販売額が減少したのも、電子書籍に市場をちょっとだけ奪われたこともあるが、原因の大部分は、単に国民の収入が減ったために、支出の自由度が少なくなり書籍などの娯楽に回せる費用が減ったことにあるのだろう。まさに、電子書籍の台頭ぶりをセンセーショナルに書きたいがための勇み足記事だ。

流行りもの(iPadキンドル)の煽り記事を書きたいばかりに、冒頭の記事のように結果ありきのミスリード記事を書いてしまうのがマスコミの悪い癖だが、これと同じことが、財政問題やTPP社会保障と税制改革などの問題にも言える。最近のS&Pやムーディーズによる日本国債格付けの見直し問題(両社は他人を格付けする能力なんて持ってない)や自民党国債暴落対応に向けたXデープロジェクト(今の自民党執行部はどうしようもなく低レベル)など、ありもしない国債暴落や財政危機の問題を誇大に取り上げるなど、相変わらず決め付け報道が横行している。

TVや新聞、雑誌、ネットなどあらゆるメディアを通じて、日本はもはや立ち直れないというインチキ話が、毎日、洪水のように垂れ流され、多くの国民が洗脳されている。マスコミは、①日本がもはや成長することなく衰退する②衰退を食い止めるには開国が必須だという意味不明な信仰を固く守っており、まるで、病人を前にして治療法を検討するとか、治療を施すことなく、初めから葬式のやり方を熱心に話し合っているかのようだ。

昨日のYAHOOニュースでも、内閣府の発表で2010年10~12月期国内総生産GDP)速報値から推計した需給ギャップが金額換算で年20兆円程度(本当はこんなもんじゃない)に達したとの報道があったが、情けないのはこのニュースに対する読者からのコメントで、“中国ODA朝鮮学校無償化・子ども手当国会議員定数削減・国家公務員給与2割カット・財務省の資産売却をしろ(筆者要約)”というトンチンカンなコメントに最も多くの賛同が寄せられていたのには呆れ果てた。

中国や北朝鮮に対する憎悪はともかく、他の項目は、デフレ対策に反するものや役に立たないチンケなものばかりで、「需要不足」とか「デフレ」の意味合いや深刻さを全く理解していない。

このように、凍える人に水を掛けるようなアホな意見がまかり通っているのは、多くの国民が日ごろからボケッとTVをタレ流して観ているからだろう。みのもんたや宮根、辛坊辺りがもてはやされるようでは、今の大人のレベルも知れたものだ。

最近の少子化により、小学校にも空き教室が増えているようだが、それを活用して、マスコミ報道を無批判に受け入れてしまうような大人は、もう一度小学校からやり直させた方がいいのではないか。