うずらのブログ

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資源のある国

「日本は資源がない国」というフレーズは、「日本は貿易立国」とか「日本は技術立国」などと同じくらい頻繁に使われ、もはや国民的な常識といってもよいだろう。

ここでいう“資源”とは、いわゆる鉱物資源(原油、鉄鉱石、レアメタル、金などの貴金属等)や農水産物(小麦、大豆、トウモロコシ、魚類等)のことを指しているというのが一般的で、日本の場合、原油や鉄鉱石などはほぼ100%輸入しているし、農産物の輸入依存度なら小麦89%、大豆94%、家畜用飼料75%、砂糖67%、牛肉57%、油脂類86%といったところ(農林水産省資料、H21品目別食料自給率)で、メジャーな鉱物資源や食糧を輸入に頼っている印象が強い。

一方で、食料に限っては、米は自給率100%、同じくイモ類78%、野菜83%、みかん101%、豚肉55%、鶏肉70%、卵96%、牛乳71%、魚62%、きのこ87%など大概の食品は結構高い自給率を保っているし、主食用穀物自給率58%、生産額ベースの総合食料自給率70%とバランスのとれた状況にあり、閉鎖的だとか生産性が低いとか何かと批判される日本の農業の底力を感じる結果となっている。(農林水産省資料、H21品目別食料自給率)

ちなみに、各国の自給率や輸入依存度は次のとおり。

【エネルギー輸入依存度(原子力含む)2005電気事業連合会資料】

                                     
 

日本

 
 

81%

 
 

イギリス

 
 

13%

 
 

イタリア

 
 

85%

 
 

中国

 
 

5%

 
 

ドイツ

 
 

61%

 
 

カナダ

 
 

48%

 
 

フランス

 
 

50%

 
 

ロシア

 
 

83%

 
 

アメリカ

 
 

30%

 
 

カナダ・ロシアは純輸出国

 

*中国は2009年の原油自給率50%を割り込み、2020年には35-40%になるとの報告もある。

 

【食料自給率(カロリーベース)2007農林水産省資料】

                                       
 

日本

 
 

40%

 
 

イギリス

 
 

65%

 
 

イタリア

 
 

63%

 
 

スペイン

 
 

82%

 
 

ドイツ

 
 

80%

 
 

韓国

 
 

44%

 
 

フランス

 
 

111%

 
 

オーストラリア

 
 

173%

 
 

アメリカ

 
 

124%

 
 

カナダ

 
 

168%

 

 

当たり前のことだが、原油であれ鉄鉱石であれ、はたまた小麦であれ、原材料単体では何の役にも立たない。原油から石油や関連製品、鉄鉱石から鉄鋼素材、小麦からパンへと製品化して付加価値を高めるには、技術と設備、資金、販路、人材などなど多くの“資源”を別に投入する必要がある。だからこそ、有り余るほど原油が湧き出るイラクやイランでガソリンが不足で行列ができたり、天然ガスの世界最大の産出国であるロシアで凍える人が出たりといったおかしな事態が発生する。

世界には、①資源も技術もない国 ②資源はない(乏しい)が技術はある国 ③資源も技術もある(100%ではないが)国 ④資源しかない国(技術なし)4パターンがあり、日本は間違いなく②のパターンに該当する。だが、それは、知ったかぶりの評論家やマスコミが卑下するほど深刻なものではなく、いわゆる先進国とされる国は大抵このカテゴリーに入る。フランスのように食料自給率100%を超えてもエネルギー自給率50%しかなければ、(実際にはほとんど起こり得ないが)いざ、エネルギー有事となった場合の深刻さは、さほど日本と変わらないだろう。いまさら焚火をしてパンを焼くわけにはいかないからだ。

エネルギーや食糧の純輸出国の事情も同じで、純輸出国と言えば聞こえはいいが、過剰なエネルギーや食糧は単に在庫を持て余しているのと同じことで、何とか販路を開拓するのに四苦八苦することになる。おまけに、天然ガスとか小麦などの原料系品目は、付加価値を付与するのが難しい品目でもあり、いきおい原料供給基地的な位置づけに甘んじることになる。北海道のたらこが、福岡で明太子に加工され(最近は北海道産以外の原料も多いと聞く)、付加価値が福岡に持っていかれていると揶揄されるのと同じことだ。(明太子の売れ行きも近頃は芳しくないとのこと)

世界には、資源も技術もない国や資源しかない国(=資源を売るしか生計を立てる術がない国)が掃いて捨てるほどある。ましてや、日本は、工業製品でも食品加工分野においても世界を大きくリードする高度な生産加工技術を有しており、資源に乏しいからと悲観する必要などない。低次元の資源を加工して付加価値の高い製品に仕上げる技術や設備、販路や人材など、もうひとつの大切な“技術”を持っているのだから。

冒頭の「日本は資源がない国」というフレーズは、最近では、海外から労働者を受け入れろだとか、平成の開国をしろなどといった寝言を正当化しようとする時や中国との付き合いを強要しようとする時によく使われるのでご注意願いたい。