うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

経済問題には妄言がつきもの

 TVや新聞、雑誌などのマスメディアには、経済問題、特に日本経済に関する妄言が溢れ返っている。

 そのひとつが、“日本(人)は●●だから、財政支出をしても消費は回復しない”というもの。この「●●」には、少子高齢化社会保障に対する不安感、政権が不安定、財政の悪化、日銀のB/Sの悪化…などといったお馴染みのキーワードが、ケースに応じて埋め込まれる。

 中でもよく使われる(日経やその周辺メディアによく登場する)のが、“消費者が本当に欲しいと思わせるような商品がない”という文句だろう。この時にお約束で引き合いに出されるのが、iPadiPhone(ひと昔前ならiPod、さらに前ならiMac)で、その洗練されたデザインや発想の柔軟さを褒めたたえる一方で日本製品をこき下ろすのが常だ。比較的社会的な地位の高い人物や著名な人物が好んで使う言葉でもあるせいか、普通の人はコロッと騙されてしまうが、彼らがいつも引き合いに出すネタはアップルの製品ばかりだ。(バカのひとつ覚えとはこのことだ)

 皆、我が身を振り返れば簡単に判ることだが、日常お金を使うシーンで、本当に欲しいと思うかどうかなんて真剣に考えている訳がない。何かものを買おうとする際に、じっくり時間をかけて商品を比較検討するのは、住宅、車、家電などの耐久財や宝飾品、PC、スポーツ用品などの高額商品を買う時に限られる。それらは日常的に消費されるものではなく、購入機会も数年に一度というケースがほとんどだろう。ちなみに総務省の家計調査によるとこういった耐久財購入の家計消費全体に占める割合は全国平均で年間6%程度とのことで、本当に欲しいかどうかなんて時間をかけて選ぶものは消費全体のごく一部に過ぎないのが現実だ。

 消費の大半を占める日常の買い物、例えば、スーパーで夕食のおかずを買う時に、売り場の卵やキャベツを手にとって、いちいち本当に欲しいものか、自分にとって価値あるものか…なんて悩むバカがいるだろうか。せいぜい隣のスーパーのチラシとにらめっこして価格を比べるくらいのものだ。消費支出の大半を占める日常の消費行動の判断基準は、ほぼ条件反射的なもので、本当にいいものかどうかなんて考えていたら今日の晩飯は抜きになる。

 ましてや、今年も国債残高が増えたから、日銀のバランスシートが悪化したから、政府がだらしないからなどといった理由で支出を切り詰めようとする変わった人などいないだろう。「今年も国債の発行額が増えて、累計で●兆円になるのか。よし、俺も今日から昼飯代を50円削るぞっ」なんて張り切っている人がいるなら、よほどのアホだ。支出の動機なんて単純なもので、いちいち国家財政や国際的な経済情勢を睨んで…なんて高尚なことを考えて支出している人など現実にはいない。

 消費が所得の内数である以上、当たり前のことだが、消費(支出)を増やすかどうかは、現に収入が増えるか、将来的に増える見通しがあるかどうかにかかっている。人々がモノを買うのは、それが本当にいいモノかどうかなんて関係ない、財布の中に十分におカネが入っていれば、この先も消費は十分に伸ばせる。GDPの根幹を成す個人消費が伸びないのは単純に給与所得の減少(雇用機会の喪失)によるものだ。国税庁の資料によると、H21年の平均給与は4,059千円でH11年(10年前)の4,613千円と比較して12%も減少している。これでは消費が伸びるわけがない。この本質を切り込まない限り消費の回復、ひいてはGDP(名目)の成長などありえない。世の中にはモノが売れないと悩む経営者は多いが、消費者(需要サイド)の財布が膨らまない限りその悩みが解決することはない。

 “●●だから消費の伸びは期待できない”というのは財政破綻論の妄信者か日本が成長しては困る特殊な人々の安っぽい屁理屈にすぎない。“法人税減税(企業の国際競争力を上げろ)+消費税増税(国民は政府に甘えるな、我慢しろ)”が彼らの常套句だが、実社会での勉強が足りないせいか、視野が狭く、社会常識に欠け、世の中の仕組みが理解できないような連中が政治・経済や言論界をリードしている現状に強い危惧を覚える。

 ※このほかにも“●●は日本の国際公約”(大抵、●●には、日本の経済成長を阻害する文句がはめ込まれる)なる言い回しも妄言のひとつと言えるが、これについては後日改めて採りあげたい。