うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

「日本病」? 罹ってます

 リーマンショックギリシャの財政危機問題から端を発したアメリカやユーロ諸国の財政問題に絡めて、彼らがバブル崩壊後長引く不況に苦しむ日本と同様に“日本型デフレ”や“日本病”に陥る可能性について言及されることが多くなった。

 同じ先進国とはいえ、彼らと日本とではGDPの構成比た国内産業の集積構造、失業率や雇用に対する考え方、貯蓄や消費に対する概念など種々の点において大きくことなっており、デフレという大きな共通課題を前にしても、必ずしも同じような処方箋がベストな選択になるとは限らない。

 ただ、一つ言えるのは、バブル崩壊もしくは経済情勢の悪化という課題に直面した後の彼ら(政府や国民)の反応が、日本のそれとよく似ているということだ。

 例えば、イギリスのオズボーン財務相は、積み上がった政府債務に委縮して、付加価値税率の大幅な引上げ(17.5%→20%)や一部を除く政府予算の大幅な削減(5年間で25%減)を打ち出しており、ギリシャやスペインでも同じような理由で、現政権から緊縮政策が提案され国民の強い反発を受けている。また、アメリカでも州によっては大幅な予算削減を余儀なくされ、州職員や教育関係の職員の待遇切り下げや解雇のみならず、囚人の早期釈放や道路の舗装をはがして砂利道へ戻すなど呆れた政策が現実に行われている。

 また、景気後退への対策も金融政策(低金利+金融緩和)や為替切り下げよる輸出振興に頼り切りで、財政支出を極端に忌避しようとしている。国民も消費(浪費も含めて)そのものに忌避感や罪悪感に近いものを抱き、いまさらのように政府の債務残高を咎め、財政支出自体を蔑視するような意見が大勢を占めつつあるようだ。

 彼らは、過去20年間で日本が経験してきた誤ったレールの上を辿ろうとしている。1997年をピークに名目GDPが殆ど成長してない日本の失敗事例を研究する機会は多々あったにもかかわらず、見事に同じような失敗を切り返そうとしている。まさに、彼らは「日本病」に罹っている。

 このまま行けば、間違いなく欧米諸国はデフレ経済に直面(既にデフレ下にあると思うが)し、国内の雇用減少→消費や名目GDPの低下→貯蓄率の上昇・設備投資減少→企業の海外移転という悪循環に陥ることになる。それは、日本やドイツ、中国、韓国など主に先進諸国への輸出に活路を見出そうとする国々にとって大きな市場の縮小となる。隆盛が期待される新興諸国とて、主要な輸出先の欧米諸国の需要が低迷すれば、経済の失速は免れない。場合によっては世界恐慌につながりかねない憂慮すべき事態にあるといえる。

 バブルの崩壊→消費や浪費への罪悪感→無駄遣いと財政支出の必要性の取り違え→緊縮財政実行→企業活動や消費の低迷→経済情勢の悪化→金融政策や通貨切り下げによる外需振興→国内経済の悪化→緩和した資金の行き場の集中によるバブル発生という日本では飽きるほど論議し尽くされた典型的な日本型デフレに陥らないためにも、いまこそ財政政策の必要性に目を向けるべきだ。それも単発のものではなく、国民や企業が長期的に収益機会を期待しうるような規模になるよう長期かつ大規模な水準が必要で、民主党が緊急経済対策として示した5兆円程度ではなく、デフレギャップを埋めて年に3-6%程度(当初の数年は高い水準でよい)の名目GDP成長が達成できるような規模(20-30兆円)にすることが肝心だ。金融政策が支持され、日銀がいやいやながらも事実上のインフレターゲットを容認している今なら、インフレを適正水準に抑えた財政政策が可能だろう。

 国民も個人レベルの家計のやりくりと政府の経済運営を同一視したり、中途半端な倫理観を盾にして財政支出を批判すべきではない。家計も企業も海外もカネを出せない中で、唯一実体経済にカネを供給できるのは政府しかいないのだから。

(追記)

 衆議院議員北海道5区補欠選挙が今日公示された。相変わらずマスコミは、政治とカネの問題が最大の争点だなどとアホなコメントを垂れ流しているが、当該選挙区の有権者への選挙の争点に関する電話調査では、年金や医療、景気回復など生活に直結する問題が、軒並み50%以上の回答を得た(複数回答)のに対して、クリーンな政治との回答は20%に過ぎなかったそうだ。これだけ不況が長引いているのだから当然なのだが、それを認めたくないマスコミの連中は、無理やり選挙の争点をずらそうとしているようだ。構造改革派の政治家や経済学者、エコノミストなど未だに目の覚めてない連中は多くいるが、不況の元凶はまさにアホなマスコミだろう。