うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

派手な割には中身がない

 鳩山総理辞任のニュースには特に関心もないので、別の話題をひとつ。

 今朝の朝刊に、経済産業省が発表した「産業構造ビジョン2010」の記事が掲載された。これは、自動車・機械・電気など既往の主力産業から①インフラ関連②環境・エネルギー③医療・健康・介護・子育て④文化産業⑤先端分野の5分野へ産業構造の転換を図ろうとするもので、2020年までに5分野で140兆円以上の市場を創出し、257万人の雇用増を目指そうというもの。内容を見ると、内需拡大には日本全体のパイの拡大が必要、日本の輸出依存度は低い等といった分析や港湾への集中投資等の提言は評価できるが、外国人材の受け入れ不足、アジア経済との一体化、法人税の引下げ、海外や国内資金をリスクマネーに誘導せよなど、日経新聞まがいの青臭い提言が目立つ。

 140兆円もの市場を市場を創出するとなれば、基盤整備のための呼び水として少なくとも50兆円くらいの政府支出が欠かせないと思うが、肝心のこの部分には一切触れられていない。元々、経済産業省はこの手のよく言えば“提言”が好きな省庁なのだが、一見、マクロ的視点のように見せかけながら、その実ミクロ的な施策しか打ち出せていない。成長が見込める産業分野に資源を集中投資して、次代を担う基幹産業を育成するといった大目標を掲げながら、肝心の財政支出に触れないようでは、まさに絵に描いたもちに過ぎない。産業の成長は、技術革新のみで達成されるものではなく、需要(=所得や資金の供給)があって初めて実現されるのだ。どんなに良いものを作っても、それを購入する人がいなければ、単なるごみに過ぎない。需要(消費)は所得や売上の内数なのだから、需要を拡大させるには企業や家計に流入する資金の流れを安定化させ、拡大させていくことが必要なのは当たり前のこと。それを、日本の財政状況は限界だから、海外からリスクマネーを取り込めなどというのは全く寝ぼけた意見であって、積極的な財政支出により雇用や事業機会のパイを拡大させることができれば、元来潤沢だが凍結状態にある国内の莫大な金融資産や海外向け資産を氷解させ、国内市場へのマネー供給にも純分に対応できるだろう。

 日本全体のパイの拡大が必要と的を得た提言をする一方で、外国人労働者の受け入れや労働市場の流動化など国内労働者(=消費者)の所得や雇用の不安定化を招き内需拡大に反するような提言を平気で行っているようでは、経済官庁を自認する省として不勉強であろう。まあ、ホンネは、日頃から仲良しの経団連日経新聞の代弁者として、法人税の引下げ、労働市場の流動化、海外への労働市場開放を盛り込めればよいということだろうから、殆ど期待はしていない。

 経済産業省という省庁は、コンテンツビジネス、スマートグリッドなど、いわゆる官庁カタカナ用語を創り出すのを得意にしている(鼻に掛けている)が、出てくる施策の質が軽い(流行りものにすぐ飛びつく)。その割には、助成金の要件が細かくて使い物ならないとも聞く。最近も、地域資源だ、農商工連携だなどとキーワードを次々と変えては、さも新しい施策のように装っているが、その中身はどれも同じ(研究費や展示会出展費、専門家派遣費など)で、事業用途の経費(操業に転用できる機械類など)は使えないなど利用者にとって極めて自由度が低いものだそうだ。つまり、店の“のれん”が「違うだけで、出てくる料理はいつも「B定食」という具合だ。

 省庁の名称に“経済”を冠する以上、マクロ的な視点からみた経済運営を提言するような意識改革が必要ではないか。