うずらのブログ

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銀行のせいにするな

 近頃あまり話題にならないが、“銀行は融資判断に担保しか見ずに事業計画を判断する能力がない”という巷の意見について一言。

 これは、主に資金繰りや資金調達に困っている創業者や創業後日の浅い事業者、中小企業者の声を反映した意見だと想像する。景気の良い時は頼みもしないのにカネを借りろと言いながら、月末の資金繰りに窮して銀行に相談に駆け込むと、担保不足や資金枠が一杯だなどと言って融資を断られ途方に暮れるというのが典型的なパターンだろう。

 だが、金融関係の知人によれば、そんな中小企業や創業者が資金調達ツールとして誇らしげに持ってくる“事業計画”なるものは、殆どが見るに堪えないものと聞く。この不景気に、売上が3-5年で倍増したり、10%以上の金利でも十分にペイするような(そのくせコンマ以下の金利にこだわるそうだが…)壮大な事業計画を作ってくる割には、肝心のマーケット調査による裏付けもなく、競合品との優位性なども具体的に説明できないそうだ。また、相談の時点で、いくらまで借りられるかという質問も多いそうだ。通常なら、○○の事業にいくら必要で、自己資金を除いて○○万円お借りしたいという提案をするのが筋で、のっけから借りられるだけ借りたい的なことを言う時点で返済能力を疑われるのがオチだ。要するに、事業計画なるものには何の根拠もなく、単に資金繰りに窮して苦し紛れに作ったシロモノなのだろう。

 これでは銀行が融資できるはずはない。担保や資金枠などのキーワードが出るのは、やんわりと断りたいという銀行側の意思表示だ。銀行は土砂降りの時に傘を貸そうとしないなどと批判されるが、絶対返済せねばならない預金を原資として融資する以上、具体的な根拠に乏しい事業計画を担保に融資などできないのは当然のこと。

 そもそも、経営者として起業する以上、資金繰りは常に最優先の経営課題のはずだが、現実には資金繰りや資金調達はそっちのけで、技術開発や営業ばかりに熱中する経営者が多い。つまり、自分の好きなことや得意なことに逃げて、苦手な資金繰りをほったらかしにして、いよいよ困ると銀行に駆け込む。こんな会社に融資できるほど銀行の審査は甘くない。

 銀行では、支店長の融資決裁上限額が年々減らされ、ほとんどの融資は本部の審査部署の決済が必要と聞く。本部の人間は、見たことのない融資先の経営者の顔など知らず、事業の内容もよくわかっていない。それに対して、支店の担当者が融資の決裁を得るには、事業の将来性や業績推移を説明できる具体的な材料が必要だろう。なのに肝心の経営者からそういった説明材料が提出されなければ、支店の担当者が首を縦に振るわけがない。説得材料がなければ審査部相手に玉砕することが目に見えているからだ。どう見てもカネを払いそうにない客に商品を売ろうとしないのと同じことである。

 経営者の多くは、自社の決算書の内容も説明できず、数か月先の資金繰り表も作ってこないと聞く。こんな低レベルな経営者に融資などできようはずはなく、仕方なく担保頼みの融資判断をせざるを得ないが、長らく続く不景気のため担保価値は年々減額され、これもあてにできないという隘路に入り込んでしまっている。

 ただ、経営者のレベルが急に落ちてきたわけではない。昔からこういうもの(この程度)なのだ。景気が良かった頃は、世の中的に資金循環が上手くいっていたため、このレベルでも十分に経営者としてやっていけたのだが、さすがに20年近くも続く不景気下ではどうにもならない。国全体としての経済状況が改善しないかぎり解決すまい。