うずらのブログ

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ウィンブルドン現象

 熱狂の内に幕を閉じたWBCは日本の2連覇という最高に結果に終わった。 決勝に進んだのが日本と韓国という事実から、野球にとって何が大切かということがよく判る。野球の基本は、先ずディフェンスがしっかりしていること、攻撃においては前後のつながりや連携が重要になる。単にずらりと4番バッターを並べただけでは、長嶋監督時代の巨人と同様に打線は機能しない。どんな強打者でも所詮は3割程度の打率に過ぎず、単純にヒッティングさせるだけでは打線はつながらないため、いかに四球を選択できるか、バントや進塁打を打てるかが重要になる。バントや進塁打という点では日本もミスが多かったが、相手チームの守備のミスや投手陣の踏ん張りで勝ち上がったという印象だ。監督の采配については、1・4番打者と7・8番打者あたりの人選や控え選手の起用法などに首をかしげる点が多かった。特に、相変わらず“中心選手と心中だ”的な起用法は改めるべきだろう。長いシーズンであれば、そういったやり方も是となるケースもあるが、日本シリーズやオリンピック、WBCのような短期決戦では、調子のよい選手を見極めて積極的に起用することに躊躇してはいけない。

 今回のWBCで目に付いたのは、野球の母国を自任するアメリカをはじめ、メジャーリーガーを多数要する中南米諸国の凋落ぶりだ。

 何だかんだと理由をつけて日本、韓国、キューバなどの強国との対戦を避けるような奇妙なトーナメント形式を採用した挙句に、準決勝では日本と韓国にあっさりと退けられてしまった。アメリカや中南米の野球は、一言でいうと大味で、向かってくる球をひたすらヒットする単純な攻撃では、ディフェンスの強い相手に一旦リードされると、とたんに空回りしてしまう。

 アメリカの敗戦について、スター選手が出場を辞退した、シーズン前で本気を出してなかった、チームの連携が取れてなかったなど言い訳がましい理由が並べられているが、自らWBCを主催し、勝ち上がりやすい組み合わせにしておきながら、見苦しい言い訳をしてほしくない。アメリカの国民も西海岸で行なわれたWBCに興味を示さなかったなどと報じられているが、見たくもない現実に目を背けるための予防線だろう。

 テニス界において最高の舞台であるウィンブルドンにおいて、長らく地元イギリスの選手が活躍できていないことを揶揄して“ウィンブルドン現象”と言われるが、野球においてもこれと同じことが起きていないか。

 野球やバスケットをはじめとするアメリカのメジャースポーツやヨーロッパのプロサッカーなど、金にあかして他国から優秀な選手をかき集めることは以前から行なわれていたが、近年それが加速しすぎているように思える。長期的な視野に立った自国選手の育成など悠長なことはやってられない、とにかくよい選手や旬な選手を集めればよいといったいい加減な運営がよしとされる風潮だ。これでは、アメリカのメジャースポーツ界やヨーロッパのプロサッカー界は、単なる場所貸しにすぎなくなる。嘗てのそごうと同じだ。

 多額の資金を背景に場所貸しをしてよい選手を集めて華麗なプレーに熱狂している裏で自国の選手の育成を怠り、出場のチャンスすら与えない。そんな状態を長く続けて、ある日突然開催された国際大会で自国の凋落振りを思い知らされる。今回のWBCにおけるアメリカの立場はこんなところではないか。まさにウィンブルドン現象がアメリカの野球界で起こっているように思われる。

 我が国でも市場原理を賛美して国内の工場をどんどん海外に移転させる一方で、公共事業を始め国内投資を削り続けておきながら、内需が盛り上がらないなどと嘆いている。また、国内に豊富な資金を抱えているのに、やたらと外資を導入したがる日本にも同じことが危惧される。