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うずらのブログ

積極的な財政金融政策による豊かで成長力に満ちた社会を目指します

いつまでも、あると思うな国とカネ

『「トランプ円高」が加速 朝鮮半島リスクとドル高けん制で』(Newsweek 4/13)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/04/post-7405_1.php
「トランプ円安」から一転して「トランプ円高」になってきた。シリアや北朝鮮を巡る米国の軍事行動が地政学リスクを高め、逃避の円買いが進行。トランプ米大統領のドル高けん制発言も加わり、ドル/円JPY=EBSは一時108円台まで落ち込んだ。
「有事」の際、円高・円安どちらに進むかは見方が分かれているものの、足元では海外短期筋による円ロングの勢いが勝り、節目を次々と突破している。(略)
北朝鮮がイベントに合わせて核実験やミサイル発射などを行えば、緊張が一気に高まる。「朝鮮半島で有事となれば、瞬間的に最大2-3円程度の円高が進む可能性もある」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・チーフ為替ストラテジスト、植野大作氏は予想する。(略)」

ここのところ、リーマン・ショック(2008年9月)、欧州債務危機(2010年)、東日本大震災(2011年3月)、英国民投票によるEU離脱決定(2016年6月)など、世界的に経済・政治リスクの高まるビッグイベントが発生するたびに「有事の円買い現象」が起きている。

その都度、エコノミストや経済学者らが、“なぜ、世界的有事の際に、財政基盤の脆弱な円が買われるのか?”とコメントするのが慣例化しつつある。

今回の朝鮮有事リスクに関わる円買いの進行に対しても、米国よりも地政学的リスクが遥かに高い日本の通貨が買われることに疑問の声が寄せられている。

正直言って、エコノミストや経済学者が、あれやこれやと愚にもつかぬ予想を巡らすよりも、実際に通貨を売買する為替ディーラーや投資家の連中に直接円買いの理由を訊けば済む話ではないか?

ディーリング・ルームに足を運んで、「財政危機を抱えるはずの円をなんで買うの?」、「日本は北朝鮮のミサイル攻撃を受けるかもしれないのに、円を買って大丈夫なの?」と問い質して来ればよい。

高橋洋一みたいに勝手な妄想を膨らませ、予想自慢を吹聴するのは、まことに見苦しい。偉そうに高説を垂れるつもりなら、やはり、自らの眼で現場の声を聴くほど確かなことはない。
【参照先】「北朝鮮で緊張が高まると、なぜ「日本の円」が買われるのか?」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51494

筆者自身は、円という通貨の価値を疑う気持ちなど露ほどもなく、円こそ世界最強クラスのハードカレンシーだと単純に受け止めている。

投資家や為替ディーラーが世界的リスクに備えて円買いをする理由や、一般国民が財政危機説を妄信しながらも資産のキャピタルフライトを起こさぬ理由など知る由もないし、興味もないが、そうした人種が“円”から離れようとしないのは、単に、「国家」という最大概念の社会基盤に対する憧憬的な甘えと、抜群の信用力を保持する「円という現金」に対する甘えの気持ちを捨て切れぬからだろう。

日本という優れた生産力と社会制度を保有する国家と、その信用力に裏打ちされた円という通貨の存在に甘え切っているくせに、平時には、「日本は閉鎖的で財政基盤が脆弱な国」、「日本には歳出改革と構造改革が欠かせない」、「規制緩和と移民促進により、日本を世界標準に合わせるべき」などと日本社会に文句ばかりつけている。
まるで、親の庇護下でぬくぬくと暮らしておきながら、親の悪口しか言わぬ青臭い中学生のようなものだろう。

それほど日本社会に絶望しているなら、さっさと財産を処分し、ドルにでも換金して海外へ移住すればよいのに、日本は世界の孤児になると文句を垂れる連中ほど、一向に出て行こうとしないから始末が悪い。

本当は、彼らも、日本の財政危機説なんて信じていないのかもしれないし、グローバル化のバスに乗り遅れて世界の笑いものになるなんて思ってもいないのではないか?

口先では、日本は財政破綻する、労働力不足でモノづくりができなくなる、保護貿易に舵を切って世界から孤立してしまう、なんてレベルの低い批判を繰り返しているが、そういった表向きの態度は、マスコミの連中や意識の高さを自称する識者の意見に何となく乗せられているだけで、「たぶん日本は何とかなるさ」というのが本音だろう。
だからこそ、有事の円買いに走り、資産の海外逃避にも消極的なのだと思う。

彼らの深層心理では、日本という国家、円という通貨の盤石さを疑っていないからこそ、五月雨のように批判を浴びせ続けて行けるのだろう。
我が親の生活力や身体的頑強さに絶対的信頼を寄せていればこそ、いくらでも甘えて文句を言い続けられるのと同じことだ。

だが、彼らが、いくら硬いモノをぶつけても絶対に壊れないと信じ込んできた国家という存在は、案外脆いもので、小泉バカ政権以降、既に20年もの間、国民から石を投げつけられ、殴打され続けてきた日本という国家の基盤は、もはや内部から崩壊しかかっている。

人々は、国家という存在を、自分たち個々人とは別の、政治家や官僚が動かしている何か超越した行政体のようなものだと捉えているが、そういった考えはまったく誤っている。

国民一人ひとりの存在こそが国家なのであり、緊縮政策や構造改革、移民促進といった類の国民の生活基盤を破壊する政策を熱狂的に支持する態度は、自らの身を破滅し、ひいては、国家そのものを弱体化させることに直結することを、重々留意せねばならない。

国民は、有事の円買いが起きているうちが華であることを一刻も早く自覚しておく必要があるだろう。

不満と敗者しか生まないジャンク論

『珍説の宝石箱』である中嶋よしふみ氏のコラムは、いつも新しい刺激を与えてくれる。

「「平等に貧しくなろう」という上野千鶴子氏の意見が正し過ぎる件について」(中嶋よしふみ シェアーズカフェ・オンライン編集長 ファイナンシャルプランナー 2/16)
http://blog.livedoor.jp/sharescafe/archives/49492380.html
「先日、中日新聞に掲載された社会学者の上野千鶴子氏のコメントが話題になっている。「平等に貧しくなろう」というドキっとさせられる見出しで、賛否両論が巻き起こっているようだ。
 上野氏のコメントを手短にまとめると「今後の日本は人口が減る事は避けがたい、移民の受け入れも治安が悪化する事を考えれば難しい、そうであれば経済成長を無理に目指すことはあきらめた方が良い、再分配機能を強化してみんなで平等に貧しくなればいいのではないか」といった内容だ。
この内容に上野氏と立場を同じくする人は「移民の受け入れで治安が悪化するなんて多様性を尊重してきた人の発言とは思えない」と反発をしている。一方で逆の立場の人からは「平等に貧しくなんてとんでもない、勝ち逃げ世代の上野氏がこんな発言をするなんて許せない」とあらゆる立場の人から批判を受け、同意する意見がほとんど見当たらない。
上野氏は何か滅茶苦茶な事を主張しているのだろうか。反論の内容も一理あるとは思うが、やはり上野氏の意見は正しい。ただしそれはおそらく上野氏の意図とは全く異なる意味でだ。(後略)」

中嶋氏の上野千鶴子擁護論の詳細は上記URLからご覧いただくとして、今回の珍説は、次の二頭立て仕様になっている。

①金融資産などのストック課税強化により国民負担率を増やし、再分配機能を強化することで、“裕福な人と貧しい人との収入格差”、“若者と高齢者の世代間格差”の是正を図るべき

②人々は日常の消費活動や企業行動を通じて経済成長に「加担」しており、経済成長を拒否することは生きている限り不可能だ

まず、上記①②を論じる前に、中嶋氏が、上野千鶴子の「自然増はもう見込めません。泣いてもわめいても子どもは増えません。人口を維持するには社会増しかない、つまり移民の受け入れです。」という大バカ発言をすんなり認めていることは、彼が単なるジャンク論者であることの何よりの証左となるだろう。

過去にも、ヨーロッパでは、ペストや百年戦争により人口大縮小を経験したが、その後の社会の安定化により、立派に人口の自然増を達成している。

特に、ペストによるヨーロッパ全体の死者は約25%にもおよび、地域によっては致死率が60~80%にも達するという荒ましさで、まさに「猖獗を極める」という酷いありさまだったが、そうした苦難を人類が乗り越えてきた歴史を、大学教授たる上野千鶴子は知らぬのか?

ましてや、供給能力や医療先端技術で世界のトップランナーを走る我が国で、人口自然増があり得ないと考えるなんて、論評する以前に、頭がおかしいとしか言いようがない。

さて、中嶋氏は、上記①の持論を語るに当たり、年金と生活保護を一体化した「生活保護年金」や一定額以上の資産を保有する層への年金カット制度の導入を訴えている。

彼の主張を具体的に並べてみると、次のようになる。
生活保護年金】
生活保護には「貰うと恥ずかしい」というおかしな印象を持つ人がなぜか多数いる。年金も健康保険も失業保険も生活保護も全て社会保障の一環なのだが、生活保護だけは別格らしい。もし自分が事業に失敗するなり病気なりで収入がゼロになったら遠慮なく貰うと思うが、何が何でも生活保護なんて貰いたくない、プライドが許さないという人も少なくない。そうであれば、そういった偏見を利用して「貯金があるのに年金を貰うなんて恥ずかしい」という新しい常識が出来るように仕向けてしまえば良い。』

【資産状況に応じた年金カット制度】
『現実的な政策に落とし込むのであれば「貯金が200万円以上なら年金ゼロ」はやはり難しい。それならば「貯金が200万円以上なら年金は1割カット」ならどうか。かなり現実的な数字になると思われる。』

彼が、こうした幼稚な緊縮論を声高に主張する背景には、独特の財政危機論や成長天井論があるように思える。

この手の神経薄弱論者は、“このままでは日本の財政や社会保障制度は持たない。富める者の負担増と、持たざる者への支出カットが欠かせない”と思い詰めたうえに、おカネを神聖視するばかりでそれを活用する術をまったく知らぬ素人だから、国民にとって何のメリットもないコストカット策を激烈に支持したがるから救いようがない。

コラムの後段で、彼は『年金を1割カットすれば年間50兆円を超える年金の支出額を兆単位で減らすことが出来る。2割まで許容できるなら支出カットは2倍に増える。これだけ劇的にカットが出来れば保育園不足も大学の奨学金問題もあっという間に解決する。貯金200万円以上なら医療費は現役世代と同じで3割負担とすれば、40兆円を超す医療費もかなり削減が可能となるだろう。』とも述べている。

「貯金が200万円以上なら年金は1割カット」なんて平気で口にするバカには解らぬだろうが、二人以上の世帯の貯蓄階層別の人口分布をみると、貯蓄額200万人以上の世帯割合が83%を超えており、年金1割カットなんてやった日には、国民から大反発を喰らうだろう。

中嶋氏のような守銭奴は、単純に目前のコストカットにしか関心がなく、そうした愚策が国民の消費マインドに大寒波をもたらし、更なるデフレ悪化や格差拡大に直結することまで考えが及ばない。
コストカットや負担増は、不満と敗者しか生まないことすら解らぬのか?

他人の年金を減らし、医療費負担を増やして何が楽しいのか解らぬが、国民総出の我慢大会を催し、世代間&階層間のルサンチマンを煽るよりも、互いが幸せを享受できるよう、足りない財源を財政支出で補填してやればよいだけのことだ。

誰の負担にもならず、誰の腹も痛めることのない「円」を創造(印刷)し、社会保障財源に充てればよい。

これだけ人口構成が歪になり、資金運用もままならぬほど低金利な情勢を無視して、昔ながらの世代間共助制度に固執すること自体が間違っている。

勤労世代が高齢世代を支えるやり方はもう持たない。
人口構成の変動は人智を超えた天災のようなものだから、今の勤労世代の責に帰すべき事柄ではなく、通貨発行による財政支出という天祐で以って処理すべきだ。

それでも不満なら、史上空前の収益を上げている大企業向けの法人税率と、高額所得者の所得税率を大幅に引き上げればよかろう。

最後に、中嶋氏の主張のうち②の“国民の経済成長加担論”について、簡単に触れておく。

彼は、国民は何気なく行っている購買行動(レストランでの食事やコンビニでの買い物など)が経済成長につながると訳知り顔で語っているが、正直言って片手落ちの議論だ。

モノやサービスの消費が経済成長の源泉であることに相違ないが、それだけで「成長」できる訳じゃない。
経済成長するためには、モノやサービスの消費額やそれらを源泉とする勤労者の所得が、対前年比で着実に増えることが欠かせない。

家計や企業の購買・生産行動を漠然と放置するだけでは経済成長など望めない。
そうした行動や活動の速度や量を年次で漸増させ続けるには、適切な財政金融政策が不可欠であり、中嶋氏が提案する負担増やコスコカット策なんて、成長のブレーキにしかならない。

彼のような緊縮宿命論者は、経済成長にとって“有害なゴミ”でしかない。
彼もフィナンシャルプランナーを名乗る以上、世の中の仕組みをもう少し勉強すべきだろう。

マイクパフォーマンスなら、もう聞き飽きた

ここのところ世界をザワつかせた北朝鮮騒動は、残念ながら沈静化の方向に向かいつつあるようだ。

未だ、米朝両政府が互いに振り上げ(るフリをし)た拳を完全に下したわけじゃないから、軽々に断定すべきではないが、両国が大規模な軍事衝突に発展する気配は薄れつつある。
トランプ大統領と金正恩との間に交わされた激烈な“マイクパフォーマンス”も、相手を威嚇するセリフの中身が細々としたものになるにつれて、グローブを打ち合う気迫が萎みつつあるのを感じる。

近年のアメリカは中東地域以外で軍事力を行使することに極めて及び腰で、特に、太平洋以西で起こるいざこざには首を突っ込みたがらない。
彼らが環太平洋地域に期待するのは交易による利得だけであり、南シナ海シーレーン防衛も朝鮮半島問題も、あくまで他人事としか思っていない。

筆者は、今回の北朝鮮を巡る米朝対立が一線を越え、米軍による大規模な攻撃により、平壌行政府や北朝鮮国内の軍事・空港・港湾施設などが完膚なきまでに破壊され、金政権が転覆することを望んでいたが、そこまでの事態にはならぬ可能性が高いようだ。

「米空母派遣でも「北朝鮮攻撃」の可能性はほとんどない理由」(DIAMOND ONLINE 4/17 田岡俊次:軍事ジャーナリスト)
http://diamond.jp/articles/-/124912
「4月6日、7日のフロリダ・パームビーチでの米中首脳会談翌日の8日、米太平洋艦隊は原子力空母「カールヴィンソン」(9万3000t、約60機搭載)を北西太平洋に派遣すると発表した。同艦は3月からの米韓合同演習「フォール・イーグル」に参加後シンガポールに寄港、オーストラリアを親善訪問する予定だったが、俄かに朝鮮半島周辺海域に向かった。 (中略)
だが、米国にとっても北朝鮮に対する攻撃は第2次朝鮮戦争に発展する公算が大で、米軍、韓国軍に多大の人的損害が出るのみならず、韓国と北朝鮮に致命的な災禍をもたらすから、空母派遣も北朝鮮と中国に向けた一種の政治的ジェスチャーに過ぎないだろう。ただし、威嚇が効果をあげない場合、トランプ大統領は振り上げた拳を振り下げざるをえない立場になる危険はある。
 全面的攻撃ではなく、北朝鮮の首脳部や指揮中枢に対する特殊部隊の急襲が検討されている、と報じられるが、要人の所在もリアルタイムで知ることは極めて困難、これも全面戦争の口火となる公算が高く現実性は乏しい。」

朝鮮半島における軍事衝突問題を巡っては、専門家や軍事に詳しい論者から、次のような指摘がよくなされている。

①朝鮮有事勃発の際には、北朝鮮軍のロケット砲や長距離砲の攻撃により、朝韓国境から40㎞しか離れていないソウルが火の海になる。
②自暴自棄になった北朝鮮軍が放つ核攻撃や大陸間弾道ミサイルによる米国西岸や韓国、日本への攻撃が憂慮される。
日中韓へ百万人単位の難民が押し寄せる。
④米軍による北朝鮮の軍事攻略により、日米韓と中国との軍事的緩衝地帯が失われる。
北朝鮮国内で政権転覆を図る動きは期待できず、かと言って、米中ともに軍事的解決を望まぬ以上、打つ手がない。

筆者は、軍事や朝鮮半島をめぐる国際政治に関してまったくの素人であり、こうした指摘に的確に反論できる材料を持ち得ていないが、専門家の指摘を額面通り受け取る気もない。

まず、北朝鮮軍の兵力は、「主力戦闘戦車3500両、軽戦車560両、装甲兵員輸送車2500両、けん引砲3500門、自走砲4400門、多連装ロケット砲2500門、迫撃砲7500門、対戦車ミサイル(数不明)、無反動砲1700門、高射砲1万1000門。海軍は潜水艦92隻、フリゲート艦3隻、コルベット艦6隻、ミサイル艇43隻、大型巡視艇158隻、高速魚雷艇103隻、哨戒艦艇334隻以上、輸送艦艇10隻、沿岸防衛ミサイル発射台2台、ホバークラフト130隻、掃海挺23隻、小型艇8隻、測量船4隻を保有。空軍は爆撃機推計80機、戦闘機と対地攻撃機541機、輸送機316機、輸送ヘリコプター588機、攻撃ヘリ24機、無人機少なくとも1機を保有。(Wikipediaより)」とされ、総兵力は120万人(国民の約5%が徴兵)、核兵器の数は20基程度と推測されている。

一見すると、決して侮れぬ兵力のように見えるが、言うまでもなくこの手の兵力は、あくまでMAX値であり、これらを一斉に稼働させられるわけじゃない。

軍事攻撃には、作戦構築や指揮命令系統・補給体制の整備等々、物心ともに気の遠くなるような準備と膨大な物量の備蓄が要るため、実際の攻撃能力は表面上の保有兵器力よりも相当割り引いて考える必要があるだろう。

ソウルを火の海にするはずのロケット砲も、弾薬が無ければ意味がないし、所定の攻撃ポイントまで運搬するトラックの燃料が切れては使い物になるまい。
そもそも、米軍の攻撃開始により劣勢に立たされた北朝鮮軍の将校や兵士らが、陥落確実な平壌の上層部からの命令を律儀に守ってソウルを迅速果敢に攻撃するとも限らない。

これは、日米韓への核攻撃やミサイル攻撃の件も同じで、彼らが米軍の攻撃を掻い潜って核ミサイルを発射できるのか、絨毯爆撃から逃げ回る逼迫した状況でご自慢のミサイルを所期の目標に命中させることが可能か、敗色濃厚な自軍の惨状を目の当たりにしたかの国の将校たちが核のボタンを押す勇気を持ち得るか等々、核の脅威が顕在化するに当たり幾重もの疑問が湧く。

それにしても、誰もが世界最強と認める米軍の軍事力ほど、場面に応じて過大視されたり、過小視されたりするものはない。

ある時は、アメリカは自国の軍事力を背景に日本をはじめ各国を恫喝外交で屈服させてきたと評されてきたかと思えば、またある時には、先に紹介した田岡氏のコラムのように、旧式の兵器ばかりで弾薬の補充にも事欠く(おまけにミサイルの打ち上げも失敗続き)北朝鮮のような小国相手ですら制圧できないと評される。

いったい、米軍の真の実力とは如何ほどのものなのか?
強いのか、弱いのか、はっきりしてもらいたい。
北朝鮮すら倒せないほど頼りにならぬ軍事力なら、日本が米軍の庇護下にある必要などなく、早期に自主防衛力や敵地攻撃力を高め、米軍からの独立を果たせばよいではないか?

また、朝鮮有事の際に、北朝鮮から大量の難民が押し寄せる云々については、ほとんど心配していない。

仮に、米軍が本気を出して戦火を交えるような事態になっても、大規模なミサイル攻撃や空爆が中心で、陸上戦が長期化するとは思えず、多くの北朝鮮国民は日常生活を継続することを選択するだろう。(ほとんどの国民は、戦争が始まったことすら気付けないうちに終戦を迎えるのではないか…)

北朝鮮国民が、巷間伝えられるとおり国家に熱い忠誠を尽くすのなら、戦争勃発時には持ち場を離れず戦闘に参加するはずだし、その逆なら、自国の敗北を見込んで、解放軍が救援物資を持ってくるのをのんびり自宅で待っている方が経済的だろう。

何れにしろ、戦争勃発ともなれば、自国戦勝の確率はゼロ未満であることくらい、北朝鮮国民も十分に理解しているはずだから、食糧も無いまま苦労して何十㎞、何百㎞も歩いたり、ボロ船に乗って洋上に漕ぎ出し命を危険に晒すような真似をするバカ者はごく少数に限られるだろう。

もし、我が国に難民が漂着したならば、適切な治療と食糧の提供を施したうえで、速やかに朝鮮半島に送還すればよいだけのことだ。

北朝鮮の消滅により、米中間の緩衝地帯が失われる云々についても、やや大袈裟な話だと思う。

今回の北朝鮮騒動を巡って千㎞以上を飛び越すミサイルの脅威が論じられているのに、いくら陸続きとはいえ、軍事的な緩衝地帯の重要性を語るのは、もはや時代遅れだと感じている。

北朝鮮の核ミサイル(たぶん中身はスカスカだと思うが…(´・ω・`))や米軍がアフガンに落とした非核兵器の威力が具体的に語られるにつけ、たかだか数百㎞程度の緩衝地帯の存在に大した意味があるとも思えない。

田岡氏のコラムでは、もはや米中ともに打つ手なしと匙を投げた格好だが、米軍がこのまま引き下がるようでは、ますます北朝鮮は増長するだけで、我が国も、恫喝まがいのくだらぬ瀬戸際外交ごっこに付き合わされる羽目になる。
そして、安倍ちゃんやその仲間たちは、「国際機関と緊密な連携を取り、事態を注視する」、「ミサイル発射という国連決議違反に厳重抗議する」とブツブツ言うだけで、事態は一mmも進展することはないだろう。

こういうことを言うと無責任だと非難を浴びるだろうが、筆者としては、トランプ大統領が迅速果敢に北朝鮮を攻撃して金政権を消滅させ、かの国を独裁政治から解放するきっかけとなることを望んでいる。

これは、戦火による人的被害が生じたとしても断行すべきだと思う。
本来なら、北朝鮮国民が独自に解決すべき(金正恩及び取り巻き連中の暗殺)問題だが、何年待ってもそうした慶賀の報を聞けそうになく、これ以上いたずらに時間をかけても事態を深刻化させるだけだ。

米軍による攻撃後に北朝鮮を別の人物が統治するのか、韓国との統一を図るのかについてまで語る知見を持ち得ていないが、そもそも数十年にもわたる動乱を惹き起こした当事国が責任を持って対処すればよいだろう。

染みついた「外国人依存性」

「「中国人客の空席は韓国人で埋める」観光苦境で破れかぶれの“自虐論”も出始めた」(産経新聞 4/11)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170410-00000530-san-bus_all
「米軍による高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に対する中国の報復で訪韓中国人客が激減する中、韓国では航空会社や観光地があれやこれやと対応に追われている。(中略)
だが、ここにきて、「中国人観光客の空席は韓国人観光客で埋める」という論調が出てきた。韓国紙、東亜日報は「国内旅行の活性化が(THAAD禍の)危機突破の解決策として注目されている」とした上で、「韓国国民がより多く、より頻繁に国内旅行に行けば、中国人観光客の空席を埋めることができる」と指摘する。同紙は産業研究院と韓国文化観光研究院による試算を持ち出している。それによれば、韓国国民が年間一日ずつでもさらに国内旅行に行けば、内需振興効果は最大で4兆ウォン(約3920億円)に迫るという。つまり、中国人観光客の激減による観光収入の損失推定額5兆5000億ウォンをかなり相殺できるわけである。(後略)」

米軍の高高度防衛ミサイル韓国配備に対する中国の報復措置は、自国民の韓国旅行取り扱い中止だけに止まらず、韓国企業に対する意図的な通関の遅延、理由のない契約保留・破棄、不買運動、代金決済の遅延など多岐に亘るほか、国内ホテルの入り口に韓国の国旗を敷いて旅行客に踏ませるという下品で子供じみたレベルだ。

しかし、実際に、韓国国内の免税店の売上が対前年比で20~30%減少、同国の有名な観光地である済州島を訪れた3月の外国人観光客数は前年同月比で▲56.4%、中国人は▲36.6%と大幅減少するなど、すでに大きな影響が出ている。

これを、過度な中国依存体質に縋った愚かな韓国の選択ミスだ、自業自得だと責めるのは容易いが、産経新聞が「中国人客の空席は韓国人で埋める」という選択肢を“自虐論”と切り捨てるのはまったく意味不明だ。

産経新聞の韓国嫌いを否定する気はないが、インバウンド減少の穴を自国民の旅行者増加で補おうという戦略を、あたかも、あり得ないモノであるかのように決めつけるのはおかしいだろう。

モナコやスイスのような小国ならいざ知らず、一定規模以上の国民数を抱え、観光産業への依存度がさほど高くない国なら、観光客の主軸は自国民で支え、インバウンドはプラスアルファに位置付けるのが当然であり、インバウンド無くして観光産業が成り立たなくなるような構造を放置する方がどうかしている。

これは、我が国の観光産業にも言えることで、政府は日本の観光立国化を進め、訪日外国人数を「2020年に4000万人、30年に6000万人」に増やすと意気込んでいるが、『インバウンド増加策の推進=インバウンド依存型の産業構造化』だと勘違いしてはならない。
インバウンド増加は、謂わば、ボーナスだと割り切り、国民による国内旅行者という“所定内給与”を着実に増やすことを主眼とすべきだ。

観光庁の資料によると、平成28年の訪日外国人全体の旅行消費額は3兆7,476億円と前年比で7.8%増加、訪日外国人旅行者数は2,404万人と、同じく21.7%も増加しており、一見好調に見える。

しかし、旅行消費額の上位四ヵ国の占める割合は70.8%(中国39.4%、台湾14.0%、韓国9.5%、香港7.9%)にも達し、非常に偏りが大きいうえに、いずれも、日本に対する直接的、あるいは、間接的にセンシティブな政治的リスクを抱える先であり、今後起こりうる朝鮮半島騒乱などの影響で激減するリスクが高く、とても安心できない。

また、中国による規制強化の影響から、訪日外国人1人当たり旅行支出は15万5,896円と、前年比で11.5%も減っている。
中でも、中国は23万1,504円/▲18.4%と最も減り幅が大きく、他国の支出額も、台湾▲11.1%、韓国▲6.5%、香港▲7.0%、タイ▲15.3%、シンガポール▲12.9%、英国▲13.7%、フランス▲9.7%等々、軒並み減っており、増えているのはロシアやオーストラリアくらいだ。

一方、国民による国内旅行者数はというと、平成27年ベースで、
・国内宿泊旅行延べ人数…3億1,673 万人(対前年比6.5%増)
・国内日帰り旅行延べ人数…2億9,705万人(同0.3%減)
・国内旅行消費額…20.7 兆円(同11.7%増)
と、一見好調に見えるが、いずれも、消費増税に影響で低調だった平成26年の落ち込みの反動でしかなく、それを証拠に、何れの数値も5年前の平成22年実績との比較では、横ばいか微減でしかない。(参照先)http://www.mlit.go.jp/common/001149495.pdf

この間に、国内では、富岡製糸場や平泉、長崎他の産業革命遺産などの世界遺産登録、北陸新幹線開業などといたトピックス、円安傾向による国内旅行への回帰の流れがあったにもかかわらず、国内旅行市場はほとんど成長できていないことになる。

いまはインバウンド増加で一息ついている観光産業だが、いつ何時、政治・軍事問題に端を発するインバウンド縮小というリスクを抱えていることを自覚する必要がある。

こうした政変リスクの大波を平準化するためには、インバウンド以外の国内旅行者という“幹”をしっかり養成し、拡充させる必要がある。

国民の多くは、安月給とバカげた長時間労働に縛られ旅行どころではない、というのが実情だろうから、中長期的な名目・実質所得増強策と真の働き方改革に取り組むことが不可欠だが、目前の即効策として、当面5年間ほどの間、一人当たり年10万円程度の旅行クーポン券の支給、高速道路の無料化、宿泊施設や観光施設の近代化整備助成、鉄道等のWifi整備促進などの需要喚起策と有給休暇取得状況への監視強化(&違反企業への罰則強化)を打ってはどうか。

世界有数の働き蜂たる我が国の国民は、もう少し余暇を満喫すべきだし、国民の観光需要が、給与水準の低い観光産業の所得向上、地方経済の活性化や高速道路の延長、地方鉄道網の利用客増加といった関連産業へ波及することも期待できる。

外国人だけが余暇を楽しむのを指を咥えて羨むだけでなく、世界第3位の経済大国の国民として、せめて、国内旅行を楽しめるくらいの余得があってもよいではないか。

口先だけの官僚なら要らない

「赤字バス路線補助削減へ 国交省 経費の40%上限に」(北海道新聞 04/08)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0387502.html
「全国の赤字バス路線への補助金をめぐり、国土交通省は、運行経費の45%までとしている上限を40%に引き下げる方針を固めた。2018年度分(今年10月~来年9月の運行が対象)から実施する方向で、すでに業界団体に説明を始めた。利用促進に取り組んだ事業者を支援する仕組みも盛り込み、補助金依存からの脱却を促す狙いだが、補助の割合が大きい道内事業者にとって、打撃は必至だ。
 補助金は、「地域間幹線系統確保維持費」と呼ばれ、複数の市町村にまたがる地域の生活路線などの赤字を国と道が2分の1ずつ負担する国の制度。上限引き下げで補助金は最大1割余り減る。その分、事業者や市町村の負担が増える。
利用促進に取り組み、前年より営業収入を改善させた事業者には補助を増やす仕組みも設ける。国交省は「営業努力で成果を上げれば減少分を取り戻せる。予算も前年並みを確保したい」(自動車局旅客課)と強調。事業者に運行形態見直しや路線合理化など、地域に適した路線の在り方を、9月までに市町村などと協議するよう求めている。(後略)」

北海道といえば、昨今、JR北海道の赤字路線廃止問題が大きくクローズアップされたばかりだが、北海道を含む全国の路線バスも深刻な財政問題を抱えている。

全国の路線バス運行の維持に要する国交省補助金(地域間幹線系統確保維持費)は2016年度に総額で90億円と、ここ5年間で20億円近く増加しているそうだ。
しかし、全国のバス路線維持にかかる費用が僅か90億円あまりと聞けば、削減するどころか、倍増させてもよいくらいだ。

公共交通機関というものは、そもそも、一部の都市部を除き黒字になるはずがない。
「安全運行・定時運行・利便性の確保」の3本柱を実現し、地域住民の生活向上に資することこそが公共交通機関の最大の使命だから、収支を理由に存廃論議をすること自体がおかしい。

税金の無駄遣い云々といった類のレベルの低いクレームに付き合っていたら、国土全体の毛細血管が寸断され、日本の交通体系はズタズタになってしまう。

特に豪雪地域では、路線バスの有無は、バスを通過する道路の除排雪の優先順位にも大きな影響を与えるから、赤字路線バスを無くすことは、道路管理レベルの低下に直結し、道路を利用する国民の利便性を低下させる。

路線バスの赤字は地方の問題だと高を括っている者も多いだろうが、都心部や大都市圏でもほとんどの路線バスは赤字なのだ。

実際に、東京都や横浜市川崎市神戸市などの例を拾ってみても、都営・市営バスの黒字路線は、東京都交通局127路線のうち29路線、横浜市150路線のうち36路線、川崎市31路線のうち7路線、神戸市82路線のうち26路線に止まる。

世界が誇る日本のメガロポリスでさえ、多くのバス路線が赤字なのだから、地方のバス路線を黒字化できると考える方がどうかしている。

この手の話になると、市営バスの運転手の人件費が高過ぎるのではないかというゲスなクレームが入るが、公営バス運転手の平均年収は440万円程度とされており、何の根拠もないし、一度に数十名もの命を運ぶ責任ある職業に就く者の給与水準が低くてよいはずがない。

バスや鉄道は公共交通機関として定時運行・安全運行・利便性向上のみを求めておればよい。

収支云々よりも、現に路線が存在し、いざとなれば人里離れた地域にも足を延ばせるという安心感を維持するのが重要で、地域における日常の足としてだけではなく、他地域からの流入者にとっても便利で心強い存在になる。

昨今、高齢者ドライバーの事故が社会問題化し、地域交通網の重要性は今後増すばかりで、路線バスの維持・拡充は、地域交通網の発展や大型バス運転者の運行技術を維持向上させる実践の場にもなる。

また、上記記事において、筆者が最も腹立たしく思うのは、バス事業者に「営業努力」というエサをぶら下げて補助率の差異を付けようとする国交省の役人の態度だ。
おまけに、“事業者に運行形態見直しや路線合理化など、地域に適した路線の在り方を、9月までに市町村などと協議するよう求め(る)”とは何事か。

官僚の思い上がりも甚だしく、当事者意識がまったく感じられない。
地方が補助金に甘えているという発想は、国家の財布を自分の財布だと勘違いした不遜な態度だ。

国交省の役人は、上から目線で地方のバス会社を見下し、誰にも不可能な自助努力を強要するのではなく、積極的に利用促進や営業収支改善の知恵を振り絞るべきだ。

地方のバス事業者が営業努力をしやすくなるように、路線の見直しや運行本数増便、停留所の増設や移設など変更手続きの簡素化を図るなど、役人サイドが努力すべき項目は山ほどある。(現状では、路線変更は新設と同様の手間と時間かかる)

他の省庁にも言えることだが、補助金支出権限を振りかざし、事業者や地方自治体に対して、“良い案を出してみろ”とばかりに踏ん反り返るだけなら、端から役人なんて要らない。

机上のあるべき論や理想論を語るだけなら誰にでも出来る。
偉そうな口を叩くなら、地方バス会社の増収に資するベストプランを自ら提案すべきだ。

論壇の衰退ぶりは最悪

『お前らの賃金は上がらないのに「完全雇用」で人手不足の日本~女性、高齢者が赤紙総動員 安全な経済的転び方はあるのか』(文春オンライン 山本一郎 4/6)
http://bunshun.jp/articles/-/2010
「(前略) 仕事や観光で地方都市にいくと、その地域ではどんな求人が出ているのかを調べるのが楽しみのひとつなんですけど、短期のリゾートバイトの給料が時給900円なのに対し、それ以外の求人は最低賃金に近い760円のものばかりが乱舞している状況でした。(中略)
それでいて、地方暮らしの物価はそれほど安くもない。安いのは家賃と地産の品々ぐらいでしょうか。(中略)
 しかしながら、実際に統計を見てみると2月の完全失業率は2.8%、有効求人倍率も1995年ごろの水準に迫る勢いで人手不足が深刻化しています。コンマ何%で賃上げ云々と言っている場合ではないぐらいに働き手が必要とされているのに、思った以上に雇用の安定はまだ実現できておらず、働く時間は減らす方向へ動いています。(後略)」

企業経営者は口を開けば“人手不足”を嘆くが、労働者の賃金が思った以上に上がっていないとの山本氏の指摘は正しい。
筆者も、スーパー、コンビニ、レストランなど行く先々で求人票をチェックするが、最低賃金付近の“安バイト”ばかりで、他人事ながらイライラさせられる。

東京辺りなら時給1,200~1,500円も珍しくないが、地域の賃金水準は800円にすら届かぬケースが多い。

都会の人間には、田舎は物価が安いと勘違いしている者も多いが、山本氏も指摘しているとおり、田舎は意外と物価が高い。

実際にスーパーやGSに行ってみれば判るが、食材、日用品、ガソリン、外食費、家賃(中核都市よりも割高)、服飾費、公共交通機関の運賃等々、都心や中核都市よりかなり割高で、筆者も出張で地方のスーパーに行くと、値札の高さに驚かされる。
『特売品』と銘打ったカップラーメンに、平気で150円くらいの値がついていることもザラだ。

こんな状態だから、地方や田舎の住民は『雇用なし・安月給・物価高』の三重苦で、アベノミクスのおかげで雇用改善云々といった類の根拠なき妄想を信じる者はいない。

人手不足の割に賃金が上がらないという山本氏の問題意識は良いのだが、コラムの後段になると、急に話が腰折れし、
「人手不足の日本は文字通り「完全雇用」なんだけど、人口も減っているので総需要が減少してて言われているほど売り上げは上がらない、という残念なスパイラルが発生している」、
「安倍政権が能無しというよりは、できること全部やったって人口減少局面の日本が猛烈な経済成長するなんてシナリオになるわけがない」、
「ドーンと賃金を上げようとするにしても、社会保障の受け皿を公的にしっかり用意したうえで、もう少し機動的に人を雇用したり解雇したりできる仕組みがないと厳しい」
などと諦めムード一色になっている。

山本氏は、“人口減少=需要減少”という初歩的な胃袋経済論に囚われ、マクロ経済政策の可能性を頭から否定しているが、日本の人口減少率は、当面の間年平均で0.5%未満でしかなく、この程度なら、適切な経済政策を打ち、一人当たりの所得を十分増やしてやれば十二分にカバーできる。

『人が減るから、カネがない。カネがないから、成長できない』なんてのは、経済のイロハを知らぬマヌケか、やる気のないナマケモノの吐くセリフだ。

人が居ようが居まいが、経済成長のために必要な資金なら、いくらでも創造できるのが、管理通貨制度下の国家や経済体制の在り方で、人口減少なんてまったく言い訳にならない。

また、彼は、「もう少し機動的に人を雇用したり解雇したりできる仕組みがないと厳しい」などと戯けたことを言っているが、コラム冒頭で地方の賃金水準が低すぎると嘆く態度と明らかに矛盾している。

さらに、彼は、「何かあっても誰も助けてくれないかもしれない。自衛せざるを得ない状況であるからこそ、日本のタンス預金は急増して2月末時点で43兆円(前年同月比8%増:第一生命経済研究所調べ)にもなってしまいました」と驚いているが、機動的に解雇されるような不安定な雇用条件の下では、家計は消費に対して、より慎重かつ保守的になり、マクロの需要は間違いなく縮小する。

恐らく、消費縮減のスピードは人口減少のそれを上回り、一方で、タンス預金はますます増え続けるだろう。

山本氏のコラムを眼にして、我が国の論壇には、本当にまともな人材がいないと嘆息せざるを得ない。

大手メディアで目にする政治経済系の論文やコラムは、アベノミクス礼賛型の幻覚論か、アベノミクス批判型の体を装いつつ成長放棄を促すようなインチキ論ばかりだ。

メディアには、してもいない成長をしたと言い張る「成長詐欺論」や、成長を嫌悪する「貧困運命論」、どうせ成長できぬならと隣人まで道連れにしようとする「平等貧困論」等々、くだらぬ愚論が溢れ返っている。

もはや悲観を超え、絶望感すら漂う現状ではあるが、経世済民の実現に向け機能的財政論を訴える気持ちが、却って滾ってくるから不思議なものだ。

金融緩和一本足打法の徒花

『アパートローン「プチバブル?」マイナス金利追い風で急増 増える空室…日銀など対策へ』(産経新聞 4/3)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170403-00000047-san-bus_all
「金融機関が貸家業向けに個人に融資するアパートローンが過熱気味で、「プチバブル」の様相を呈している。相続税対策とマイナス金利が背景にある。ただ、物件の供給が過剰になって空室が増え、賃料が下がる地域も出始めた。返済が滞ればローンは不良債権になりかねないことから、金融庁と日銀は対応に乗り出した。(中略)
投資用物件の増加を後押ししているのがアパートローンだ。日銀によると、平成28年12月末の国内銀行のアパートローン残高は前年比4・9%増の22兆1668億円に拡大している。27年の税制改正で、相続税基礎控除額が引き下げられ、課税対象者が広がった。アパートを建てれば更地などより課税時の土地の評価額が2割下がることから、節税目的で借り入れる人が増えた。
 金融機関も、日銀のマイナス金利政策が収益の下押し圧力となる中、特に地方銀行が収益源として着目するようになった。アパートローンは競争が激しい住宅ローンに比べて高めの金利が見込めるためだ。(後略)」

金融緩和政策で行き場を失ったマネーが、アパートローン市場に大量に流れ込んでいる。
筆者も、知り合いの金融機関担当者に聞いたところ、特に、優良な法人融資先に乏しい地方の信金や信組が、ここ数年にわたりアパートローンの開拓に熱を入れているらしい。

公共事業の枯渇や水産資源の不良などの影響により、土木事業者や水産加工業者など地方の基幹産業が衰退する中で、信金や信組は有力な法人融資先がなく、融資先の開拓や融資残高の維持に苦慮している。

なにせ、うかうかしていると、約定弁済により毎月の融資残高は減る一方だから、各行とも融資残高の維持向上に必死にならざるを得ないが、まともに貸せる先がほとんど見当たらないのが実情だ。

地方の信金・信組の中には、預貸率が20~30%しかない機関もザラにあり、止むを得ず国債などの債券運用で糊口を凌いできたが、昨年のマイナス金利政策により運用利率がガクンと落ち込み、もはや、アパートローンくらいしか収益の柱が見当たらない。

このため、営業エリアを飛び越え、近隣の政令指定都市や中核都市に進出し、アパートローンの掘り起こしのための営業部隊に人を割いているようだ。

産経新聞の記事にあるように、金融機関のアパートローンはここ7年ほどでおよそ2.5兆円も増えている。

しかも、“当初固定10年型の貸出金利で1%を切る融資は当たり前”、“土地持ちの富裕層の資産を背景とした安易な融資判断が横行”といった状態ゆえに、「このままでは80年代の不動産バブルやリーマンショック前のプチバブルの二の舞いになる。泥沼に陥る前に手を打つべき」と、金融庁も警戒するコメントを発している。

また、民間借家の一坪当たりの家賃は2016年で8,633円と、9,000円を超えていた2004年辺りをピークに漸減傾向にあり、単身者の増加に伴い増え続けてきた賃貸物件も、地域によっては明らかに過剰感が出始めている。

こうした矛盾が顕在化したのが、次のニュースだろう。

『家賃減収、大家が提訴へ レオパレス21「10年不変」』(朝日新聞デジタル 2/22)
http://www.asahi.com/articles/ASK2P5HZ6K2PUTIL04V.html
「(前略)訴状などによると、男性は愛知県知多市に2階建てアパート(20戸)を建て、2005年1月に同社と月額77万7800円のサブリース契約を結んだ。同社は「30年間、賃料は減額しない」と説明。契約書では「賃料は当初10年間は不変」と明記されたが、経営難を理由に11年10月に約10万円の減額を求め、男性はやむなく受け入れた。だが業績の回復後も家賃は戻らないことから、男性は家賃の増額と、交渉を始めた16年7月からの差額約81万円の支払いを求めている。
一部オーナーで作るレオパレス・オーナー会(名古屋市)によると、同様に減額された会員100人以上も訴訟を検討。前田和彦代表は「倒産すると言われ、やむなく減額を受け入れた人がほとんど」と話す。(後略)」

大量のTVCMを打ちまくっているレオパレスのような大手事業者ですら、入居者集めに苦心するありさまだから、賃貸物件の供給過剰感は相当に高まってきているとみてよい。
このままでは、競合の激しい都心部や周辺地域を中心に、アパートローンの不良化によるプチバブル崩壊が懸念される。

量的緩和政策による異常なまでの低金利と、緊縮政策の継続による実体経済の需資不足により、金融機関は収益の確保に苦労している。

そんな中で、アパートローンは、一般の事業性融資と比べて事業性や担保性の面で与信リスクが低く、爆発的に増えたマネタリーベースの出口戦略として金融機関が縋りつきたくなる気持ちはよく解る。

しかし、みずほコーポレート銀行のレポートでは、
① 我が国の賃貸住宅市場は、今後 2030 年に向けて大きく縮小することが予想される
(2010 年 12.6 兆円→2030 年 8.8 兆円、▲30%)
② 特にファミリー向け(40 ㎡以上)賃貸住宅市場の縮小が著しい
(2010 年 8.8 兆円→2030 年 5.6 兆円、▲37%)
と、非常に厳しい見方をしている。
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/mif_121.pdf

こうした指摘を踏まえると、最近のアパートローン戦争は明らかに常軌を逸しており、産経記事の指摘どおり、早晩行き詰まる可能性が高い。

これも“金融緩和一本足打法の徒花”と言えよう。

政府による積極的な財政拡大政策が打たれずに、せっかくの量的金融緩和政策が既発債の両替だけに終わってしまうようでは、この先も法人関連の資金需要が盛り上がるとは思えず、アパートローンバブルの崩壊は避けられまい。

「金融機関融資のアパートローンへの偏り→法人取引先の需資不足→成長期待不足→ビジネス機会不足→実体経済下の所得となるマネー不足→消極的&緊縮的な財政政策」といった具合に、結果から発生要因へと流れを遡及すれば、やるべき政策は必ず見えてくるはずだ。